古い英語と英単語をゲームで学ぶ(FFTWOTL – Chapter 3)

Final Fantasy Tactics: Belias the Gigas 英語をゲームで学ぼう

ファイナルファンタジータクティクス獅子戦争で使われている古い英語表現をご紹介しています。

このブログは「続きの記事」になります。

最初の内容から興味のある方は【 Prologue 】からどうぞ。

ファイナルファンタジータクティクス獅子戦争の各章

【 Prologue 

【 Chapter 1 – The Meager / 持たざる者 

【 Chapter 2 – The Manipulative and the Subservient / 利用する者される者 

【 Chapter 3 – The Valiant / 偽らざる者 

この記事です 

【 Chapter 4 – In the Name of Love / 愛にすべてを 

古い英語と英単語のご紹介

不規則変化動詞 forswear – forswore – forsworn

“Orlandeau: What see you in our plight that portends victory? Or have you forsworn the use of your eyes?”

『オルランドゥ伯「この状況のどこを見てそのように楽観的になれるのだ? 貴公の目は節穴ではないのか!』

文語表現で「誓ってやめる、偽誓する」という意味の動詞です。

forget も同じですが、for- が接頭辞辞の場合に「禁止」「除外」「無視」などを追加する場合があります。

英文は「貴公は自分の目の能力をわざわざ放棄したのか?」です。

祈願表現 Fortune be with you

“Ramza: I see. Fortune be with you, then.”

『剣士ラムザ「そうか…。じゃ、気をつけて。』

シェイクスピアのころにはよく使われていた祈願文で、動詞の原形をつかって話し手の「期待・願望」を発動します。

もともと昔のゲルマン語(英語のご先祖様)では「願望法・希求法 optative mood」と呼ばれる専用の動詞の変化形がありました。

これが「仮定法現在 subjunctive present」の動詞の形に取り込まれるようになり、最終的に「動詞の原形」で話し手の想定や願望を表現するようになりました。

想定と願望では違うことのように思えますが「こうなったいいな~」という「事実ではない想定」という共通点があります。

いまでもよくみるのは “God bless America!” です。

現代では法助動詞 may を文頭に置くこともよくあり “(May) fortune be with you” となります。

この「May を使った祈願文」は文法書などではイディオム表現として扱われています。

ところが、もともとは「仮定法現在(動詞の原形)による祈願文」で、そこから現代英語になって may が付け足されるようになりました。

ちなみに「幸運の女神」という意味で fortune を使いますが、ローマ神話の女神フォルトゥナに由来します。

古英語の「仮定法 subjunctive mood」については英語 Wikipedia を参照ください。

Old English subjunctive - Wikipedia

不規則変化動詞 gird – girt – girt

“Wiegraf: Do not be deceived by his youth. He is a worthy foe. Gird yourselves well for battle!”

『神殿騎士ウィーグラフ「よいか、子供だと思ってなめてかかると痛い目にあうぞ! 用心してかかれッ!!』

文語表現で「巻く、締める」という意味の不規則変化動詞で gird – girt – girt と変化します。

ここでは gird oneself で「覚悟をする、準備する」という意味で使っています。

英語は動詞ごとに5文型がセットされているので、テキトーに目的語をつなげられません。

そのため「他動詞 ⇔ 自動詞」を切り替える構造をもちます。

  • 自動詞+前置詞 ⇒ 他動詞
  • 他動詞+再帰代名詞(oneself) ⇒ 自動詞

この仕組みをつかって「他動詞+oneself」の形で「自分で○○する」という風に変化させられます。

また「(帯などを)緩める」という意味で ungirt もありますが、こちらも同じく不規則変化で ungird – ungirt – ungirt になります。

名詞 ire

“The Stone: Your ire and despair, their call I heed. And so once more I ask: With me do treat.”

『聖石「汝の絶望と悲憤が我を喚びだした…さあ、我と契約を結べ…』

文語表現で「強い怒り」です。語源はラテン語の ira になります。

「with me do treat」は強調の助動詞 の「do」をつかった倒置っぽい語順です。

より現代っぽい語順に戻すと「Do treat with me」となります。

treat with で「取引する」となります。また名詞 treaty で「条約」を意味します。

感嘆詞 alas

“Belias: You hurry towards your end, alas too soon.”

『魔人ベリアス「あわてるな……楽しみは後にとっておけ……!』

感嘆詞で「悲しみや哀れみ」を示す表現です。Oxford Dictionary には ARCHAIC•HUMOROUS と注記がありました。

ここの英訳は「それほどまでに死に急ぐか!哀れなことよ!」ぐらいでしょうか。

形容詞 meet

“Ramza: For a man of his high station to so prey upon the weak – it is not meet.”

『剣士ラムザ「…………。』

形容詞の meet は古語「適切な、ふさわしい」という意味があります。

原文の日本語には対応するセリフがないので、勝手に和訳をすると・・・

『高い地位にいる人間がそうやって弱者を食い物にしていいわけがない。』

というような感じでしょうか。

副詞 oft

“Their leaders give them no more than that for which they clamor. It is history’s oldest and most oft-repeated tale.”

『神殿騎士ウィーグラフ「そうした民衆が望むものを執政者たちが用意する…。歴史などその繰り返しにすぎん。』

しばしば」という意味の古語で often の語源。 

過去分詞と一体になり oft-repeated で「頻繁に繰り返された」となります。

現在完了 I am come

“Belias: I am come.”

『魔人ベリアス「待たせたな…。』

ご存じのように学校で習う範囲では “I have come.” です。

しかし、実は「自動詞の完了形」は昔は「have + 過去分詞」ではなく、「be動詞 + 過去分詞」なんです。

現代の英語でも “He is gone.” とか “I am done with you.” のように、聖書などの堅い文章に限らず、実はけっこうあるので注意してください!

動詞 behold / 形容詞 fell

“Belias: The battle is now joined, Ramza Beoulve! Behold for true fell pow’r of the Dark!”

『魔人ベリアス「さあ、行くぞ、ラムザ! おまえに魔界の力を見せてやろうッ!』

動詞 behold は「よく見る、刮目する」という意味の古語、文語表現です。

ゲームをやっていると begone と behold は相当な頻度で聞くことになります。

  • 形容詞 fell:邪悪な、凶悪な(文語表現)
  • 動詞 fell:(木などを)切り倒す

同じく「落ちる」という意味の動詞も不規則変化で過去形が fell なので、混同しないように注意です。

  • 切り倒す(規則変化)fell – felled – felled
  • 落ちる(不規則変化)fall – fell – fallen

ベリアスのセリフで「the battle is now joined」とありますが、一騎打ちから仲間を加えた連戦へと移るシーンで使われているので、和訳と対応はしていません。

ちなみに “is now joined” の表現ですが、他動詞 join は「受動態」をとることができますが、同時に「現在完了」の意味も強く含んでいます。 

続きは第4章へ

 Chapter 4 – In the Name of Love / 愛にすべてを 

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