神社にお参りして英語を学ぶ(岡山・吉備津神社 鬼の城)

日本を学べる英語の表現

桃太郎伝説と縁のある岡山の吉備津神社に行って参りました。

もともとこの地方には温羅(うら)という鬼がおり、その鬼を退治したのがここ吉備津神社で祀られている吉備津彦命(きびつひこのみこと)とされています。

このお話は桃太郎伝説の由来とされると同時に、古代日本の状況が伺える興味深い逸話にもなっています。

鬼とは何者!?

そもそも、鬼の正体と言うのは中央権力に逆らった地方豪族や先住民とも言われています。

大江山の酒呑童子も地方豪族であり、朝廷がだまし討ちをして倒しています。

この温羅(うら)も大和朝廷の支配が及ばない吉備(現在の岡山)の支配者と言われています。

岡山にある「鬼ノ城」

吉備津神社の近くに鬼ノ城と呼ばれる場所があります。

その復元された姿は朝鮮系の山城によく似ています。

温羅は他の地域からやってきたとの言い伝えもあり、朝鮮系ではないかいう説も出ているそうです。

また鬼ノ城の近くには、半島で発展していた金属加工の工房の跡も見つかっているそうです。

ますます「鬼 = 外国人説」の説得力が増してきそうな感じです。

そうみると日本の成立期と半島、大陸との関係が推察できて面白いですね。

この不思議な文様は九州の地方豪族「隼人 はやと」のものだそうです。

当時の大和朝廷に従わない部族の文化を推察してつけられたようです。

鬼も祀れば、味方になる

さてこの温羅ですが、吉備津彦に倒された後も完全には死なず、骨を犬に食べさせたり、地中深くに埋めても

うなり声を上げ続けたそうです。

ある日、温羅が吉備津彦の夢枕に立ち、「(温羅の)妻にお供え物を炊くようにするように」と告げ、その通りにするとうなり声は収まったとのことです。

今でも吉備津神社ではここ温羅の話に由来するとされる「鳴釜神事」という吉兆を占う神事が行われているそうです。

日本は「鬼」を絶対悪としない

さて、日本によくある「倒した敵をあえて祀ることで怒りを鎮めてもらう」というのはよくあるお話です。

ですが世界に目を向けると、それが珍しいことだとわかります。

例えば中国では天が正統な支配者を選ぶという天命思想(Heaven’s Mandate)があり、勝者(天に選ばれたといいつつ実際は暴力で政権を取っただけ)が敗者を徹底的に断罪します。

キリスト教圏である欧米は「神 God VS 悪魔 Devil」「善 Good VS 悪 Evil」のような二元論(dualism)で物事を見る傾向がとても強いです。

それゆえでしょうか、日本人特有(?)の傾向である「グレーゾーンでごまかす(臭いものに蓋をする)」であったり「敵でも断罪せず、あとで恨みを買わないようにする(敵を手厚く葬る)」という発想は欧米人にあまりないようにみえます。

一神教文化圏では、みんなが自分が絶対に正しいと主張するので、最終的に正義と正義の泥仕合になる」とよくいろんな方に話をするのですが、まさしくそんな状況が中東情勢のニュースを通してもよく見えてくる時代になったのではないでしょうか。

温羅の話も事実だけ見れば、大和朝廷が地方豪族を討伐しただけの話なのかもしれません。

しかし、そこで敵であってもこちらの味方に引き入れたことにして、治めてしまおうという意図があったのでしょう。

「負けてしまったら将来ずっと悪者扱いされてしまう」となれば抵抗もより一層激しかったでしょう。

「敵ながらあっぱれ」「敵に塩を送る」「昨日の敵は今日の友」など日本には「敵を断罪しない」表現があります。

「鬼」ついても同じで、鬼は完全な悪ではなく「鬼の目にも涙」や「泣いた赤鬼」のお話しもあります。

そこらあたりも日本人らしくていいな、と思います。

日本語の「鬼」を英語に訳すことは難しい

実はこの「鬼」というのはとても英語に困る言葉です。

英語では「demon, devil, orge」などのように「悪」のイメージが強いのですが、日本の「鬼」は決して絶対悪ではなく「人間を超える存在」というイメージが強いです。

英語は基本的に善悪二元論の発想なので「神も悪魔もひっくるめて人智を超える」という表現はめずらしいのではないでしょうか。

このあたり「God」と一緒で絶対神的なイメージが日本語の「神」にないのと似ているかもしれませんね。

吉備津神社から少し離れた参道沿いに桃太郎伝説についての看板が英語併記で乗っていました。

ここには伝説の鬼、温羅の話も載っていてなかなか興味深いものでした。

ここにある英語だけだと物足りない感はあるので、ネットで調べたものも含めて「桃太郎」とその「お供」に関する言葉の英訳をご紹介したいと思います。

桃太郎 イヌ・サル・キジ は英語で何という?

桃太郎: Peach Boy  

ひじょうに雑な感じがしますが「クモ人」「コウモリ人」「超人」「鉄人」が映画でも大人気になるのですから、意外と英語的にもしっくりきているのかもしれません。

桃は道教(Taoism)では「不老長寿」や「悪を祓う」ものとされ「鬼を退治」のイメージはここから来たという説があります。

それゆえ道教の理想郷も「桃源郷 とうげんきょう」といいます。

きびだんご: millet dumpling  

dumpling はもちろん団子のことなんですが、餃子や肉まんのような水と粉を練ってつくった食べ物のことです。

イヌ: dog + その他

オオカミやジャッカルなどを含めたイヌ科のことを canine と言います。犬歯のことは canine teeth です。

警察犬などを「K9」とよんだりもします。

「おおいぬ座」を canis major、「こいぬ座」を canis minor と言い、おおいぬ座で一番明るい星である星はシリウス(Sirius)といいます。

ちなみにシリウスは中国語で天狼星といいます。同じ「イヌ科」ということはどこかでつながりがあるのでしょうか?

サル:monkey + その他

primate は霊長類、ape は類人猿、などいろいろあります。

中国ではさらに細かく「猿 えん」「狙 そ」「猶 ゆう」「狒々 ひひ」「猩々 しょうじょう」など詳しい分け方があります。

キリスト教が「人間があらゆるほかの動物よりも優れた存在であり、彼らを搾取して構わない」と教えているのは「ヨーロッパや中東では霊長類がいないせいで、知的な生物が自分たちだけだと勘違いをした」からだ、と霊長類学者のフランス・ドゥ・ヴァール(Frans de Waal)が著書で言っているのを拝見したことがあります。

桃太郎もそうですが「鶴の恩返し」や「さるかに合戦」をみていると、日本人には動物と人間の違いはあまりありません。

聖書には「動物を支配せよ」と書いてあるので、どうしても「動物を管理する」という視点が欧米では強いように思います。その反動が過激な動物愛護にも見える気がします。

キジ: pheasant  

スペルが似ているだけで全然関係ありませんが peasant だと「身分の低い貧しい人々」をあらわす表現になるので注意です。英語の響きとしては「下賤のもの」といった感じでしょうか。

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