高知・高知城で英語の表現を学ぼう

日本を学べる英語の表現

高知県にある現存12天守のひとつである高知城に行ってまいりました。

天守閣が残っているお城は12ありますが、その中でも高知城は、本丸の建築物が現存している日本で唯一のお城です。

そのほかにも山内一豊や板垣退助といった有名な人物の銅像もたっており、お城以外にも歴史を学ぶきっかけを持つお城でもあります。

苦労してたてられた高知城

高知城の歴史は古く、南北朝時代(西暦1300年中頃)にさかのぼります。

南朝側の大高坂松王丸(おおだかさ まつおうまる)が建てた大高坂城(おおたかさじょう)が現在の高知城の地に建てられました。

戦国時代に入り、長宗我部元親がこちらに移り築城を開始しますが、治水工事がうまくいかず、結局3年後に本拠地を移してしまいます。

その後、関ヶ原の戦いで功績を認められた山内一豊が、築城を開始し、二代藩主の時に完成したのが現在の高知城です。

山内一豊は、高知城築城の際に築城の名手として知られた百々綱家(どど つないえ)を任命し、10年間の難工事の結果、完成させています。

高知城のある場所は四国山地が横切る四国の南半分の中心にあたり、海にも近く、周辺には平野部が存在します。

土佐だけでなく四国全体を見たうえで、街づくりの中心にでき、近畿圏への太平洋側の海路と四国南部の抑えとして重要な位置にあるように見えます。

南北朝時代から戦国時代にかけて、日本の中での高知城の地理的重要性が非常に高く評価されたからこそ、この地に城を築くために難工事を行ったのではないでしょうか。

高知城本丸御殿

日本のお城では天守閣と本丸御殿が別々のところに立っていることがよくあります。

それゆえ天守閣は残っているけれども、本丸御殿のあった場所には礎石しか残っていないということはよくあります。

しかし高知城は天守閣と本丸御殿が隣接した建物になっており、さらに天守と本丸御殿の両方が残っています。

創建当時は金などで装飾され「豪華絢爛」という様相だったようですが、火災で焼失した際に再建されたものが現在の本丸御殿になります。

現存するものは一見すると質素な雰囲気ですが、江戸時代の雰囲気が伝わってきて感動します。

ほかに名古屋城や熊本城では規模も装飾もまさに「絢爛豪華」と呼べる本丸御殿が近年になって再建されました。

それでもやはり、江戸時代の御殿などがそのまま残っているところが高知城の大きな魅力といえます。

その意味でも高知城は他では得られない貴重な体験ができるお城であるといっても過言ではないと思います。

山内一豊

高知の基礎を築いたのが、司馬遼太郎さんの著書「功名が辻」でも有名な山内一豊です。

徳川の配下として土佐の領主になった人物ですが、その立身出世を妻の千代が支えたので、前田利家とその妻、まつと並んで夫婦で有名な人物だと思います。

一豊が土佐を拝領した時点では、長宗我部の遺臣たちによる独立気質が非常に強く、たびたび一揆が起こっているような状況でした。

それゆえ坂本龍馬の活躍する幕末になっても、山内一豊の配下の末裔の家臣と、長宗我部時代から土佐にいた家臣とで非常に大きな溝があったようです。

江戸時代に戦いはなくなり平和な時代となりますが、幕末にはその藩の戦国~江戸初期に生まれた特色が大きくでます。

薩摩、長州、会津などを見れば、その様子はよくわかります。

また「山内一豊」の名前の読みですが、最近の研究によって「やまのうち かずとよ」ではなく「やまうち かつとよ」と読むのが正しいとわかってきました。

歴史は過去のことのように見えて、常に新しいことの発見が続きます。

科学調査や新しい資料の発見によって一気に既成概念がつくがえっていきます。

知っていると思ったことでも、ときどきアップデートする必要があると考えて人生を生きていくのが賢明だと感じます。

板垣退助

「板垣死すとも自由は死せず」の名言で有名な板垣退助の銅像が高知城内にたっています。

板垣退助は土佐藩士で明治維新にも功績があり、その後は私財をなげうって自由民権運動に尽力しています。

明治維新で「勝ち組」となったにもかかわらず、その「勝ち組」による政治ではなく、民衆の力を全日本レベルで結集するための政治を目指しました。

自由民権運動というと平和主義者のようにみえますが、板垣退助の藩士時代はかなりの武闘派的な側面もあったようです。

戦後の日本に蔓延していた「念仏平和主義」とは違った、人々の意思を政治に届けることの本質的な価値を自由民権運動に感じていたのでしょう。

歴史学者の磯田道史さんが「明治の日本人は必要なものがなければ自分たちでつくるという人たちで、平成の日本人は政治家がやれという人たち」というような内容をおっしゃっていたのが印象的に残っています(あくまで記憶なのですこし違う可能性はあります)。

デモを起こしたりやネットやツイッターでなにをいっても自由です。それは図晴らしいことだと思います。

でも歴史は志ある人たちが自腹を切り、粉骨砕身努力した結果が切り開いたものだとわかります。

現代は意見を言うのが非常に軽くできる時代です。

だからこそ、意見を実行に移す行動力、思いを具現化する気概そのものが、いままでよりもはるかに求められている時代に入っていると日々感じています。

わたしも板垣退助の志のひとかけらといえども継がねばと思います。

高知城に関連する英語表現

場内の看板とパンフレットで2つ表記がわかれていたので、併記してあります。

天守(てんしゅ): main keep / castle tower

外観は4重、内部3層6階の天守で、別名「咸臨閣」と呼ばれています。

実質「三重天守(さんじゅうてんしゅ)」なので、英語では three-storeyed と表記されていました。

「~階」は、ヨーロッパの御屋敷は「お話の場面の絵」が各階ごとにあったことに由来し story といいますが、storey の表記はイギリス英語(British)で正しいようです。

本丸(ほんまる):innermost bailey / main citadel

bailey は壁で囲われた中庭のことです。citadel は「城塞」といって、要塞化された都市の中のもっとも防御の強化されたエリアのことだそうです。城下町全体を「城」と考えると、お城の部分だけが「城塞」でしょうか。

  • 二の丸(にのまる):second bailey / second citadel
  • 三の丸(さんのまる):third bailey / third citadel
太鼓丸(たいこまる):drum bailey

連絡用の太鼓が近くにあったことに由来します。

西の丸(にしのまる):western palace
御殿(ごてん):lord’s residence / palace 
鉄門(てつもん):iron gate / iron turret

門の上部が櫓の廊下になっており、そこから射撃できるようになっています。turret は銃座の意味なので、そちらを重視した英訳が併存していました。

詰門(つめもん):guardroom gate / turret used as a bridge

門の上部が櫓の廊下になっており、そこから射撃できるようになっています。こちらも turret を使った訳がありました。詰門の名の由来は、2階が家老たちの詰所であったことからきているようです。

搦め手門(からめてもん):postern gate

城の背後にある門です。postern は「裏口、裏門」の意味。

橋廊下(はしろうか):bridge hallway
桝形(ますがた):box-shaped defense / square enclosure protecting a castle entrance

日本の戦国期の城の特徴といえば枡形です。

城の入口へとつながる四角の広場のことで、大人数の攻め手をまとめて四方から攻撃するための防御施設です。

櫓(やぐら):watchtower
空堀(からぼり):waterless moat

「塹壕」という意味では trench もよく見ます。

石垣(いしがき):rampart

特に石垣の中でも上部が広く歩行可能な構造のことを rampart と呼ぶようです。

高知城の石垣は、信長の配下として有名な築城集団「穴太衆 あのうしゅう」によるものです。高知城築城の責任者になった百々綱家は近江で穴太衆を配下にしていたことから山内一豊に請われて使えることになります。

柵(さく)と土塁(どるい):fence and mound
矢狭間(やざま):porthole
矢狭間塀(やざまべい):arrow-slit wall
鉄砲狭間(てっぽうざま):gunhole
忍び返し(しのびがえし):wall spike

建物からトゲが突き出ているので、スパイクの訳は分かりやすいです。

現存するものとしては高知城のものが日本唯一とのこと。

物見窓(ものみまど):lookout window
石落とし(いしおとし):stone drop
漆喰(しっくい):lime plaster

lime が石灰石のことです。柑橘類のライムも同じスペルです。

欄間(らんま):transom

英語だと「扉とその上の窓を仕切る部分(横木など)」を意味するようです。

御化粧の間(おけしょうのま):dressing room
雪隠の間(せっちんのま):lavatory
武者隠し(むしゃかくし):warriors’ hideout / warriors hiding place
上段の間(じょうだんのま):raised floor room
床の間(とこのま):alcove

alcove はアラビア語が語源です。

畳(たたみ):rush mat

「ラッシュアワー rush hour」の「rush 急ぐ」と同じスペル・発音ですが意味が違います。こちらの rush は畳に使われる「イグサ」を意味します。

「rush 急ぐ」は古フランス語が語源で、「rush イグサ」はゲルマン語が語源です。

書院(しょいん):study

名詞で study は「書斎」の意味にもなります。もちろん「研究」という意味でも使います。

襖(ふすま):sliding door
障子(しょうじ):screen partition
礎石(そせき):cornerstone

隅石(すみいし)ともよばれ、建物の重要な支えになる石のことです。

ちなみに「corner」は「逃げ場のない場所に追いつめる」という動詞でも使います。The cornered rat will bite the cat. という表現は「窮鼠猫を噛む」という意味です。

柱(はしら):pillar 

英語では、ただの構造物ですが、日本語だと「神様を数える数助詞」になります。人柱などはその文脈で使います。明治以降の軍人の死者も「軍神」として「柱」で数えます。

「柱」や「社」などに深い意味があることが、日本人が「森」とともに文明を築いてきた証でしょう。

冠木(かぶらぎ):lintel

英語の lintel は「2つの柱の上に渡す構造物」のことのようです。時に材質が木材である必要はありません。

鴨居(かもい):upper lintel

引き戸があるところなどの開口部に上枠として取り付けられる横木のことです。英語だと「窓や扉の上部を支える構造物」なので upper をつけてもつけなくても lintel と同じ意味になりそうな感じです。

長押(なげし):horizontal central beam

柱を水平方向につなぐ部材のことです。beam だけだと「梁 はり」と訳されます。

入母屋造(いりもやづくり):half-hipped gable 

破風は英語で gable と訳されるのをよく見ます。

とはいえ言葉だけではよくわからないので、みてみるのが一番です。

千鳥破風(ちどりはふ):dormer gable
欅(けやき):zelkova
平山城(ひらやまじろ):low mountain castle
平城(ひらじろ):flatland castle
築城(ちくじょう):castle construction
地鎮(じちん):Shinto ceremony to purify a building site 
縄張り(なわばり):castle grounds design

「建設予定地に縄を張って建物の位置を決めること」を「縄張り」といいます。

「勢力範囲」という意味での「縄張り」は territory になります。

砦(とりで):fort
城下町(じょうかまち):castle town
大名屋敷(だいみょうやしき):daimyo mansion

英語だと mansion は「お屋敷」です。フランス語だと chateau(シャトー)は「城」ですが、英語では「大きな屋敷」も意味するようになります。

堰堤(えんてい):levee

堤防の意味では bank も使います。「銀行」以外の意味もあるので注意です。

合戦時(かっせんじ):wartime
平時(へいじ):ordinary time
中世(ちゅうせい):medieval times
近世(きんせい):early modern times
南朝(なんちょう):Southern Court
北朝(ほくちょう):Northern Court
戦国時代:Warring States Period
明治維新:Meiji Restoration
版籍奉還(はんせきほうかん):Return of the domains to the Emperor
廃城(はいじょう):castle abandonment

村の長老などは village elder といいます。もともと elder は older(oldの 比較級) の古い言い方で、名詞(年長者)や形容詞(年上の)でも使います。

老中(ろうじゅう):Tokugawa Shogunate Elder
讃岐守(さぬきのかみ):Provincial Governor of Sanuki

「守 かみ」は幕府からその土地の監督者としての役割を示す「守護 しゅご」から来ています。のちに幕府から与えられる官職が主な意味となりました。

讃岐守といっても江戸時代は香川の藩主ではありません。あくまでも官職です。大岡越前守は江戸在住でした。

藩主(はんしゅ):clan head
家臣(かしん):retainer
家老(かろう):chief
中老(ちゅうろう):deputy

deputy は役職などにつけて「副~」という意味で使います。同じような英単語に vice があります。(副大統領 vice president)

deputy は「代理で職務を実行するもの」というニュアンスがあり、一方で vice は「組織の中の順位が次点」という意味があるようです。

また vice は「悪徳、邪悪な」という全く違う意味の形容詞の場合もあるので注意です。

さらにラテン語で vice versa というと「逆もまた然り」という意味で、英語でもつかいます。

平侍(ひらざむらい):common retainer
番人(ばんにん):armed guard

arm は武器を意味します。firearm で「銃火器」のことで、arm race だと「軍拡競争」になります。ここでは過去分詞として「武装した」という形容詞扱いになります。

足軽(あしがる):foot soldier
石工(いしく):stonemason

mason だけで「石工」を意味します。陰謀説で有名な「free mason フリーメーソン」は「石工たちの組合」が原義です。

江戸後期の名工:Late Edo master craftsman
駕籠(かご):palanquin
馬印(うまじるし):horse insignia

ラテン語に由来する insignia は「紋章、シンボル」を意味します。

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