日常的な英語に使われる動詞の70%は不規則変化動詞だそうです。
英語はいろんな言語が歴史的に混じり合って成り立っています。
よく使う動詞ほど古い歴史があるために、いろんな言語のユニークな特徴がそのまま残っているというわけです。
そうなると不規則変化動詞を見極めることは、英語を習得するうえで非常に大切なポイントになります。
不規則変化動詞(Irregular Verb)とは何か?
まず、ほぼすべての動詞は「現在形」「過去形」「過去分詞形」に対応して規則的に変化します。
これを「規則変化動詞 regular verb」といいます。
(例)help – helped – helped
一方で、「現在形」「過去形」「過去分詞形」が不規則に変化する動詞があります。
これを「不規則変化動詞 irregular verb」といいます。
(例)speak – spoke – spoken
規則や不規則とありますが、どちらもタダの動詞です。
どのように形が変化するパターンでの区別でしかありません。
ちなみに「過去分詞形」は誤解が多いので、すこし解説します。
過去分詞の名前の意味
- 過去・・・規則動詞の過去形と同じ形から命名された(talk – talked – talked)
- 分詞・・・動詞が変化した形容詞
過去分詞は「過去時制」や「過去の時間」とは無関係です。
また「分詞」というのは「動詞を形容詞に変えたもの」という意味です。
過去分詞のもつ機能
- 完了相(Perfect Aspect):行動が実現していること(行動の実行度 100%)
- 受動態(Passive Voice):主語と目的語を逆にした文の構造(する ⇒ される)
英文法では「過去分詞」と「動詞の過去形」が全然違うものということをまずは確認お願い致します。
では不規則変化動詞に進みます。
不規則変化動詞は困りもの
一般動詞の不規則変化は大きく分ける4パターンあります。
- A-B-C : choose – chose – chosen
- A-B-B : catch – caught – caught
- A-B-A : come – came – come
- A-A-A : cut – cut – cut
しかし、この不規則変化動詞を丸暗記するだけでは困ってしまうポイントがあります。
それは変化パターンによっては「現在形」「過去形」「過去分詞形」が同じ形になるパターンがあることです。
この「同じ形」をもつ場合の見分けるポイントを、変化のパターンごとに解説します。
ちなみに「完了」というパターンでも「過去分詞」は使いますが、必ず「have/has/had + 過去分詞」のペアで使います。
そのため「have/has/had」の有無で判断できます。
それでは、完了形以外の見分けにくいパターンを見ていきましょう。
① A-B-C タイプの見分け方
A-B-C タイプとは「現在形」「過去形」「過去分詞形」がすべて違う形をしているものです。
- do – did – done (する)
- break – broke – broken (こわす)
- hide – hid – hidden (隠れる)
覚えるのにすこし苦労するかもしれません。
全部違う形なので、文章の中での役割を見分けやすいです。
A-B-C タイプを見分けるポイント
特になし。
全部形が違うので覚えてしまえば、間違うことはなくなります。
② A-B-B タイプの見分け方
A-B-B タイプとは「過去形」と「過去分詞形」が同じ形をしているものです。
- catch – caught – caught (つかまえる)
- feel – felt – felt (感じる)
- hear – heard – heard (聞く)
「talk – talked – talked」のような普通の動詞もこのパターンになりますね。
A-B-B タイプを見分けるポイント
「過去形」と 「過去分詞形」が同じ形なので「動詞」と「形容詞」の使い方で見分けます。
- 過去形 ⇒ 動詞
- 過去分詞形 ⇒ 形容詞
動詞は主語の行動をあらわし、主語のすぐ後ろに置かれます。
- I used his car.
- 私は つかった 彼の車を
形容詞は「① 名詞を説明」と「② 補語になる」の2つの使い方です。
- ① My car is used.
- ① 私の車は = 使われた。
- ② This is a used car.
- ② これは = 使われた状態の車 / 中古車。
ここが区別できればOKです。
① My car is used. は「受動態」と習いますが、文法上は「SVC」になります。
③ A-B-A タイプの見分け方
A-B-A タイプとは「現在形」と「過去分詞形」が同じ形をしているものです。
- come – came – come (来る、至る)
- become – became – become (~になる)
- run – ran – run (走る、走らせる)
A-B-A タイプの動詞は非常にすくないので楽です。
A-B-A タイプを見分けるポイント
これも A – B – B タイプと同じ考えで対応できますね。
「現在形」と 「過去分詞形」が同じということは「動詞」と「形容詞」を見分けるだけです。
④ A-A-A タイプの見分け方
A-A-A タイプとは「現在形」「過去形」「過去分詞形」がすべて同じ形をしているものです。
- cost – cost – cost (費用などが掛かる)
- put – put – put (置く)
- quit – quit – quit (やめる)
すべて同じ形なのでまとめて覚えるのは楽です。
その分、逆に見分けるのは難しくなります。
A-A-A タイプを見分けるポイント
「現在形」「過去形」はどちらも動詞です。
「過去分詞形」は形容詞なので、動詞ではない使い方になっているところを見分けます。
その次のステップがクセモノなのですが「現在形」「過去形」はみわけにくいです。
なぜなら両方とも「動詞」なので全く同じ使い方になってしまうからです。
- I put the book on a table.
- 私は 置く / 置いた その本を テーブルに。
この put が「現在」か「過去」かは文法ルールだけでは判断できません。
文脈や状況などから判断する必要があります。
しかし、あるパターンだけは明確に「過去」か「現在」を区別できます。
それは「三人称単数の主語」つまり「he」「she」「it」のいずれかが主語になる場合です。
- He put the book on a table.
- 彼は 置いた その本を テーブルに。
この文は確実に「過去形」だと判断できます。
なぜなら「三人称単数の主語」は現在形の動詞に「s」をつけて puts とするからです。
英語初心者は「三単現のS」を嫌う人が多いですが、こんなところで助けてくれることもあるんです。
三単現のSは、文章が複雑になればなるほど、動詞と主語をつなぐマーカーの役目になることもあります。
ちょっと注意するだけで大きな力になるので、ぜひマスターしてください。
意外と難しい read の見分け方
「読む」という意味の「read」は一見 A-A-A タイプですが、すこし特殊です。
「read – read – read」の発音が「 read – red – red」となるからです。
発音は違うのですが、文章では A-A-A タイプの見分け方を利用してください。
- He read it.
- 彼は 読んだ それを。
- He reads it.
- 彼は 読む それを。
He が主語だと、三単現 reads がヒントになるのでカンタンですね。
- I read it last night.
- 私は 読んだ それを 昨晩。
- I read it every night.
- 私は 読む それを 毎晩。
三単現がヒントにならない場合は、文脈や状況での判断になります。
リスニングの場合は read – red – red という発音になるので、文章より楽に見分けられそうです。
しかし実は日本人にとっては発音がクセモノです。
過去形・過去分詞の read と「赤」の red は発音が同じです。
また「導く」という意味の動詞 lead – led – led もあります。
さらに「鉛」という意味での lead は発音が「led」になります。
他の動詞と間違いやすい不規則変化動詞
ただでさえ混乱する不規則変化動詞の中には、他の動詞と形が被ってしまうものがあります。
- fall – fell – fallen (落ちる)
- fell – felled – felled (切り倒す)
「fell」は形容詞で「凶悪な」という意味もあります。
- see – saw – seen (見る)
- saw – sawed – sawed (のこぎりで切る)
「saw」自体で「のこぎり」という名詞にもなります。
このような動詞は「過去形」か「現在形」かで別の動詞に変わってしまうので要注意です。
そこで、対処法は A-A-A タイプの動詞の見分け方と同じにならざるえません。
さらに文脈からどちらの意味が適切かを判断する必要もでてきますね。
~ound の動詞にご用心
さらに ~ound の形をしている動詞はもっとややこしいです。
「現在形」「過去形」「過去分詞」で形が同じものがでてきます。
見分け方はやはり A-A-A タイプになりますが、これまた別の動詞と形がかぶっているので要注意です。
- bind – bound – bound (拘束する)
- bound – bounded – bounded (はねる)
また名詞の「bound」は限度、境界という意味があるので注意です。
- find – found – found (みつける)
- found – founded – founded (設立する)
ちなみに「lost and found」は遺失物保管場所のことです。
「無くなったけど見つかった」という意味ですね。
- grind – ground – ground (粉をひく)
- ground – grounded – grounded (地面に置く)
しつけなどで外出禁止である場合には I am grounded. などと言います。
- wind – wound – wound (うねる)
- wound – wounded – wounded (傷つける)
lie と lay の見極めは最高難度
動詞 wind は「waind」と発音します。風ではないので注意です。
最後に、一番ややこしい不規則変化動詞を解説します。
- lie – lay – lain (横たわる 自動詞)
- lay – laid – laid (横たえる 他動詞)
「lie 横たわる」と「lay 横たえる」の2つは日本語自体もわかりにくい感じがします。
ですが、他動詞は目的語をもつことを前提とした動詞なので、実際に読んでいけばわかります。
どっちがどっちかわからなくなったら layout レイアウト という言葉を思い出してください。
「ものを配置して目の前に広げる」イメージをもてばわかりやすいと思います。
じつは「lie」は「lay」との区別よりもむずかしいパターンがあります。
それは「lie」には「うそをつく」という動詞の場合もあるからです。
- lie – lied – lied – lying (ウソをつく)
- lie – lay – lain – lying (横たわる)
- lay – laid – laid – laying (横たえる)
過去形と過去分詞形は形が違いますが「現在形」と「ING形」は同じ形になるので要注意です。
ちなみに「ウソつき」は「liar」と書きます。
こうしてみてみると不規則変化動詞はリストの丸暗記だけではまったく英語力UPにつながりません。
不規則変化動詞を丸暗記ではなく、文法的に分析できることが最も重要です。
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