論理的思考のキホン!帰納法・演繹法・仮説形成を解説

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自分の主張を成立させるために、なにかしら妥当性のある論理的根拠が必要になります。

それらの代表的なものが以下になります。

  • 推論(演繹法、帰納法、仮説形成)
  • 具体例
  • 事実
  • 統計
  • 類推
  • 論駁(ろんばく)

小論文などに「根拠」を書くときは、これらのうちいくつかを組み合わせて使うことになります。

このブログでは「推論」を構成する3つの論理的思考法について解説します。

  1. 演繹法
  2. 帰納法
  3. 仮説形成

ではまず一番大きな「推論」の話からです。

推論 Reasoning

論理的根拠として最も一般的なものに「推論 reasoning」があります。

一般的に「推理」や「論理展開」そして「論理的思考」と呼ばれるものはほぼこれです。

どうしてそう言えるのか?

なぜそれが正しいと判断できるのか?

といった疑問に対して、回答を導く手段が推論です。

また推論には inference という訳があてられることもあります。

これは「前提から結論」へとつながる過程のことです。

つまり reasoning に含まれるひとつの過程として inference があると考えてください。

そして「推論」には以下の3つのパターンに分かれます。

  1. 演繹(deduction / deductive reasoning)
  2. 帰納(induction / inductive reasoning)
  3. 仮説形成(abduction / hypothesis)

これら3つは「論理構造」の組み合わせ方によって決まります。

  • 結果 Result
  • 法則 Rule
  • 事例 Case

これらをどの順番でつなぐかによって「帰納」「演繹」「仮説」が決まります。

それでは実際にみていきましょう。

推論① 演繹法 Deduction

It is simple deduction, my dear Watson.

Sherlock Holmes

まずは「演繹 Deduction」の意味を、英語版と日本語版の Wikipedia をつかってみていきましょう。

Deductive reasoning, also deductive logic, is the process of reasoning from one or more statements (premises) to reach a logical conclusion.”

演繹(えんえき、英: deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である。

英語版と日本語版の Wikipedia

すこし小難しいですが、カンタンにいうとこうなります。

★ある「法則」に当てはまる「事例」をあげて「結果」を導く

(法則) Rule:このグループのものは全部Aやで。

(事例)Case:そのグループ中から実際にサンプル選んでみた。

(結果)Result:そういうことで、当然サンプルはAになる。

では、例をみていきましょう。

(法則)イギリス連邦の統治下にあった国では、イギリスのスポーツであるクリケットが人気がある。
(事例)インド、パキスタン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドはイギリス連邦の統治下にあった。
(結果)そういうことならば、これらの国ではクリケットが人気スポーツであるだろう。

演繹法は広く知られている事柄を利用して自分のテーマに応用できます。

  • 一般論
  • 法則
  • 世界共通の認識

つまり普段から「世の中のことを広く知るようにする」ことが、演繹法を身に着ける重要なステップになります。

ちなみに deduction という英単語には「控除」という意味もあります。

全体から一部を引き出す」という意味があるからです。

ここで注意なのが、動詞だとそれぞれ別の形になることです。

  • deduce:演繹的に推論する
  • deduct:控除する

ちょっとしたことですが、頭の片隅に置いておくだけでもプラスだと思います。

推論② 帰納法 Induction

あらゆる戦術書を読み、万巻の戦史を読めば、諸原理、諸原則はおのずから引き出されてくる。みなが個々に自分の戦術をうちたてよ。戦術は借りものではいざという時に応用がきかない。

秋山 真之

帰納法 Induction とはいくつかの事例における結果をみて、それらに共通する法則を導くことです。

さっそく「事例」「結果」「法則」の組み合わせを見ていきます。

(事例)Case:このグループからいろんなサンプルをとったで。

(結果)Result:そしたら、全部Aやったよ。

(法則)Rule:それやったら、そのグループものは全部Aのはずやね!

では、例をみていきましょう。

(事例)イギリス連邦の統治下にあった国を調べたら、インド、オーストラリア、ニュージーランドが見つかったよ!
(結果)これらの国では、イギリスのスポーツであるクリケットが人気である。
(法則)であれば、ほかのイギリス連邦の統治下の国であるオーストラリアや南アフリカなどでも、クリケットが人気スポーツであるはずだ。

帰納法は「現場主義」に近いものがあります。

ルールや法則、一般論も重要ですが、いろいろな経験が積みあがって生まれていく「自分独自の視点」も大切です。

自分の足で歩いて、自分の手で触って自分の目で見て確かめる!

実際にこういうコツコツ努力を積み上げていくと、自分の中から「法則」が浮き上がってくることがあります。

世の中が何と言っていようと、独自の説明で妥当性が見いだせるならそれでOKです!

推論③ 仮説形成 Abduction

If you love someone, set them free. If they come back, they are yours; if they don’t, they never were.

Richard Back

仮説形成 Abduction はある結果から法則を仮定し、事例に当てはめることです。

普通に Hypothesis(仮説)と呼ばれることもあります。

(結果)Result:いくつかサンプルみたら、なんと全部Aやん!

(法則)Rule:もし仮に、このグループのものが全部Aやとしたら・・・

(事例)Case:サンプルはそのグループからとったものやってなるね。

では、例をみていきましょう。

(結果)インド、パキスタン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドでは、クリケットが人気スポーツである
(法則)もし仮に、イギリス連邦の統治下の国ではイギリスのスポーツであるクリケットが共通の人気スポーツであるとすると・・・
(事例)インド、パキスタン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドはイギリス連邦の統治下にあった国々から選ばれたといえるであろう。

帰納法と演繹法はよく使うのですが「仮説形成」はあまり見ないかもしれません。

その理由は「仮説」であるために検証がしにくいのだと思います。

ですが一見、論理的に見えない「仮説形成」がとても重要なケースがあるんです。

仮説形成が有効なケース

仮説形成が有効なパターンがあります。

それは「帰納法」と「演繹法」のどちらもうまく機能しないときです。

  • 法則そのものがわからない!
  • 事例を見ても何も導けない!

こんなケースでは「仮説」しか頼るものがありません。

あくまでも「仮説」が出てきた時点では、それが正しい保証はどこにもありません。

自分の全力を振り絞って「法則」を「仮定」します。

では実際にやってみましょう。

仮説形成を機能させてみる

では次の結果が提示されたとします。

日本のある中学校において、5教科のテストを行った結果、上位10%は全て女子生徒だった

一見するとこのような推論になりそうです。

この学校では女子生徒は圧倒的に優秀だ』

しかし、一般的に見れば、学力に於いて男女差はほぼ見られません。

なぜこんな偏ったデータになるのか?おかしい!

ここで仮説を立ててみます。

もしかしてこの学校女子校ではないのか?

そう考えた場合、検証する手段が必要になります。

  • 女子校だと確認する
  • サンプル全体の性別をみる

こういった「仮説」が正しいとなった場合、推論自体のやり直しになります。

上位10%は女子生徒」という結果に意味がなくなります。

なぜなら「どの範囲でサンプルをとっても女子生徒になる」からです。

(結果)成績上位10%は全員が女子生徒

(法則)ある中学校は女子校なので、全校生徒が女子生徒

(事例)全校生徒の中から5教科の成績上位10%が選ばれた

こうして全体が見えると、至極当然の話に見えます。

しかし勝手に「男子生徒が存在するはず」という固定概念を持つと全体像をとらえる際に障害となります。

仮説はうまく機能するとインパクトが大きいだけに「ひらめき勝負」なところはあります。

「太陽が地球の周りをまわっているのでなく、地球が太陽の周りをまわっている」

天動説が否定され、地動説が正しいとなると、地球が宇宙の中心する概念すべてが瓦解します。

一般論や常識を崩す「仮説」はそう簡単にはできません。

しかし「固定概念」をひっくりがえす「仮説」をいつも考えながら、物事と向き合う習慣は身に着けたいものです。

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