英文法の「〇〇形」の意味:現在形・過去形・未来形・原形・進行形・完了形

verb form & verbal paradigm 英文法の仕組み

英文法にはいろいろな用語があります。よく似ている用語もあり、何がどう違うのかわかりにくいです。 

こんな疑問を感じたことはないでしょうか?

  • 現在形」と「現在進行形」はどう違うのか?
  • 現在形」と「現在時制」はどう違うのか?
  • なぜ “I am going to do it.” は「未来形」なのか? 
  • なぜ will は「未来形」で would は「過去形」なのか?

これらは英語を学んでいる人が、一度は疑問に思うことではないでしょうか?

私見では、その理由は「日本の英文法がなんでもかんでも 『〇〇形』 と呼ぶから」だと思います。

日本語の英文法用語「形」は英語と対応していない

英語で英文法を学んでみるとわかるのですが、日本の英文法では「〇〇形」が一定のルールもなく使われています。

英語の「form」の有り無しを文法用語ごとに比較します。

英語表記に「形 form」がない
  • 未来「形」(future)
  • 現在進行「形」(present progressive)
  • 過去進行「形」(past progressive)
  • 現在完了「形」(present perfect)
  • 過去完了「形」(past perfect)
  • 未来完了進行「形」(future perfect progressive)

英語を習うと必ず出会うことになる「未来」「完了」「現在進行」などです。

これらの用語についている「形」というのは、英語の英文法ではもう使われていません。

Google で「progressive form」で検索してみるとドイツとスウェーデンの大学の英文法解説でみつかりました。

もしかするとドイツ語やスウェーデン語のゲルマン語には現在分詞を使った「進行形」がないので、それが日本語に入ってきたのかもしれません。

いずれにせよ英語の Wikipedia を見た限りでは、どこにもない表現です。

なぜなら progressive form は「現在分詞(正式な由来の名称)」もしくは「動詞の ing形(実際の形)」と呼ばれているからです。

英語表記に「形 form」がある
  • 現在「形」(present form
  • 過去「形」(past form
  • 動詞の原「形」(base form
  • 動詞の変化「形」(verb form
  • 名詞の単数「形」(singular form
  • 名詞の複数「形」(plural form

これらの用語には「form 形」があります。

なぜなら「形(見た目)」が重要だからです。

「〇〇形」を「時制・態・相」で区別する

日本語についている「形」には一貫した意味合いはありません。

それゆえ日本の英文法用語だけで「〇〇形」を区別するのは不可能です。 

しかし、次の3つの用語をつかえばカンタンに見分けることができます。

① 時制(じせい):tense 

行動の内容がいつ起こったのかを分類する用語です。

  • 現在時制(present tense)
  • 過去時制(past tense)
② 態(たい):voice

行動が「する」か「される」かを分類する用語です。

あくまで文法用語なので「声 voice」とは無関係です。

  • 能動態(active voice)
  • 受動態(passive voice)
③ 相(そう):aspect

行動の進行度(0~100%)を分類する用語です。

  • 未然相(prospective aspect) 
  • 進行相(progressive aspect)
  • 完了相(perfect aspect)

日本の英文法用語は「時制・態・相」が入り乱れています。

それゆえこんな疑問が良く見られます。

  • 現在形と進行形はどう見分けるんですか?
  • 過去形と現在完了はどう違うんですか?

このような視点は本来の英文法の理解にはあまり意味を成しません。

  • 現在は「時制 tense」です。なので動詞の形を見ればわかります。
  • 過去は「時制 tense」です。なので動詞の形を見ればわかります。
  • 進行は「相 aspect」です。なので準動詞(動詞の変化形)の現在分詞の機能です。
  • 完了は「相 apsect」です。なので準動詞(動詞の変化形)の過去分詞の機能です。

英語の英文法用語は「時制+相」を区別してコンビネーション表現としています。

日本語の英文法用語と英語の英文法用語では「英文法をとらえる視点そのものが違う」ということが言えます。

これまで「英文法は意味不明!!」と思われていた方でも心配いりません。

英語の英文法用語をヒントに全体の整合性を取り戻すことが可能です。

英語の英文法の「form 形」を理解する

まず本来の正しい英語の「形 form」からスタートします。

英語の英文法用語では「form 形」は「単語の変化形」だけに限定されています。

  • 原形(base form)
  • 現在形(present form)
  • 過去形(past form)
  • 単数形(singular form)
  • 複数形(plural form) 

英語の「form 形」が使われるのは動詞や名詞の「形」に限定されています。 

名詞の「形」は2種類です。

  1. 単数形(singular form)
  2. 複数形(plural form)

英語は多くの名詞が cup(単数)と cups(複数)のように単数・複数で違う「形」をしています。

これらの単数・複数を区別するために名詞の「形」が利用されます。

次に、動詞の「形」には3種類あります。

  1. 原形(base form)
  2. 現在形(present form)
  3. 過去形(past form)

「現在形」「過去形」は分かりやすいと思います。

この2つは「時制」に対応する動詞の形です(*時制については後で詳しく紹介します)

動詞を「現在形」に変化させると「現在時制」を表現できます。

  • have it.
  • You have it.
  • am hungry.

「現在形」の動詞で気を付けることがあります。それは主語によって形が変わることです。

  • He has it.
  • He is funny.
  • You are funny.

動詞を「過去形」に変化させると「過去時制」を表現できます。

「過去形」の動詞の場合も、主語によって形が変わる場合があります。

  • had it.
  • You had it.
  • She had it.
  • was funny.
  • He was funny.
  • They were funny.

さいごに「原形」をみていきましょう。 

動詞の「原形」が使われるパターンは6つです。

① 助動詞(より正確には法助動詞 modal verbs)とペアのとき
  • He can have it.
  • She might be funny.
② 不定詞を作るとき
  • She wants to have it.
  • They want to be funny.
③ ING形を作るとき
  • He is doing it. 
  • We were being serious.
④ 命令文を作るとき
  • Help me!
  • Please, be nice to them.
⑤ 祈願文を作るとき
  • God bless America!
  • So help me God!
  • So be it.
  • Be that as it may.
⑥ 仮定法を作るとき
  • We suggest it be removed.
  • If it be rainy tomorrow, I won’t go hiking.
  • Far be it from me to turn it down.

原形が使われるパターンには共通点があります。 

大きく2グループにわけるとわかりやすいです。

  1. 助動詞(法助動詞)・不定詞・ING形
  2. 命令文・祈願文・仮定法

① 助動詞(法助動詞)・不定詞・ING形

不定詞とING形は「動詞の変化形」で「準動詞 nonfinite verb」と呼ばれます。

この動詞が変化した準動詞は「品詞」が変わります。

それゆえ厳密な文法解釈で to do / doing / done に動詞用法は存在しません。

つまり不定詞と ING形の品詞はもう「動詞」ではないので「〇〇形」は見た目だけの話です。

次に法助動詞の場合は、同じく「動詞の原形」が昔は「名詞用法」だったことに由来します。

いまでは「助動詞」となっていますが昔は「動詞」だったので「動詞+動詞の名詞用法」という構造でした。

不定詞で「to + 動詞の原形」となるのも「前置詞 to +動詞の名詞用法」の名残です。

命令文・祈願文・仮定法

この3種類は歴史的にもともと別々の形があったものが「原形」にまとまってきました。

フランス語やドイツ語の場合「専用の形」が残っているパターンがあります。

英語の場合は「動詞の原形」を使う時の共通点は「事実ではない」となります。

この「事実ではない」ということを「irrealis 非事実」といいます。 

命令文・祈願文・仮定法は「現在」のことのように見えます。

しかし “Help me!” をみればわかりますが、”help” は「現在の事実」ではありません。 

まだ助けてもらえていないから「原形」で “help” を使うんです。

この「事実ではない」という表現は「~であれ!」という意味の祈願文も同様です。

命令も祈願も仮定も、結局のところ「事実ではない」んです。

もちろん例外はありますが「動詞の原形」が適応されるのは「非事実 irrealis」が理由になると考えてよいです。

この「事実 VS 非事実」は「時制」と大きな関係があります。

くわしくは後述しますのでここは参考でお願いします。

日本の英文法の「〇〇形」には3パターンある

英語の「形 form」は動詞や名詞が変化する「形」のことでした。

テキトーにみえる日本の英文法の「〇〇形」にも一定のパターンが存在します。

大きく分けて3パターンになるので、実際に見ていきましょう。

  1. 単語の変化形に「形」をつける
  2. 時制と区別せずにつかう
  3. 動詞のコンビネーション表現につかう

では日本の英文法の〇〇形の正体を一つ一つ見ていきます。

〇〇形①:単語の変化形の『形』

このパターンは英語の form と同じです。

  • am の原が be
  • be の現在が am/are/is
  • do/does の過去が did
  • 「未来への意志」を意味する助動詞 will は現在
  • 助動詞 will の過去が would
  • 動詞 will の過去と過去分詞が willed
  • 動詞 will のINGが willing
  • 名詞 pen は単数、pens になると複数

このように動詞や名詞の「形」に対して適応されます。

英単語 will には「動詞」の品詞もあります。

それゆえ willed(過去形・過去分詞)や willing(ING形)も存在します。

英単語の品詞の仕組みの基本ルールで対応できるので、次に進みます。

〇〇形②:時制と区別せずに使う

個人的に一番キケンだとおもうのが「時制 tense」と「形 form」を混同するパターンです。

英語の「時制」は2つだけです。

  1. 現在時制(present tense)
  2. 過去時制(past tense)

英語の Wikipedia の「Grammatical Tense 文法の時制」から引用します。

“English has only two morphological tensesthe present (or non-past), as in he goes, and the past (or preterite), as in he went. The non-past usually references the present, but sometimes references the future (as in the bus leaves tomorrow). “

『英語の時制には2つの形しかありません。現在時制(非過去)と過去時制(点過去)です。 非過去は通常、現在時制を示しますが、未来を示すこともあります。(例文は省略)』

Grammatical tense – Wikipedia

*preterite:点過去(過去と完了を併せ持つような概念で、現在より前に終了していること全てを表す)

時制 Tense

行動の内容がいつ起こったのかを分類する用語です

  • 現在:今の話
  • 過去:昔の話
時制の種類
  • 現在時制 Present Tense
  • 過去時制 Past Tense
  • 未来時制なし(理由は後述)
時制の表現方法

時制は「動詞」もしくは「助動詞(法助動詞)」の「形 form」で表します。

英文法では「時制」に対応する「動詞の形 verb form」が存在します

  • 動詞の現在形(Present Form)⇒ 現在時制 
  • 動詞の過去形(Present Form)⇒ 過去時制
  • 動詞の原形(Base Form)⇒ 時制と関係しない使用法

では「be動詞」を例にとります。

  • am / are / is:現在時制(Present Tense)
  • was / were:過去時制(Past Tense)
  • be:時制なし(Tenseless)

厳密には英語に未来時制は存在しません。

原則として時制は動詞が決定します。

動詞 speak の活用形 speak – spoke – spoken に「未来形」がないのが証拠です。

時制は「動詞の形」で表現するので「未来形 future form」がないなら「未来時制」もありません。

英語に未来時制は存在しない理由をくわしく知りたい方はこちら。

したがって、先ほどの例のように「未来」を語るには「現在時制」を使うことなります。

ただ英語教育では「未来時制」という表現はゆるく使われています。 

“(T)he term “future tense” is sometimes loosely applied to cases where modals such as will are used to talk about future points in time.”

『「未来時制」という用語は、will などの法助動詞をつかって未来の時点のことを表現する例に対して、厳密な「時制」の定義に従わないまま使用されることがあります。』

Grammatical Tense – Wikipedia

「未来形」や「未来時制」は最初はいいのですが、英文法をシステムで運用するには支障がでてきます。

なぜなら動詞の変化「形」と「時制」が完全にゴチャゴチャになってしまうからです。

そして「形」と「時制」を区別して運用できないとさらなる問題を引き起こします。

それが仮定につかわれている「法 mood」の理解を妨げることになります。

ではまず「形」と「時制」が区別できないことによる混乱を見ていきましょう。

未来が過去形になる(?) 
  • He was going to do it.
  • He would do it.

未来が過去になりはしません。

正しい理解はこうなります。

“He was going to do it.”

was は be動詞の過去形なので「過去時制」です。

“He would do it.”

would は助動詞 will の過去形です。

助動詞の過去形は「現在時制」と「過去時制」の両方の可能性があります。

助動詞は「法 mood」という「話し手の主観」を発動させます。

助動詞 will は「意志」という「法 mood」を発動させます。

それゆえ will や can などは「法助動詞 modal verb」と呼ばれます。

法助動詞 will
  • 形:現在形
  • 法:意志
  • 時制:現在
法助動詞 would
パターンその1
  • I thought he would help her.
  • They would do their best at that time.
  1. 形:過去形
  2. 法:意志
  3. 時制:過去
パターンその2
  • I would be somewhere else if he didn’t ask me to come here.
  • If I were you, I would not say that .
  1. 形:過去形
  2. 法:反事実・想定(いわゆる仮定法・条件法)
  3. 時制:現在

法助動詞の「過去形」は「現在時制」でも「過去時制」でも使います。

「法」は「未来への意思」や「反事実の想定」でも使えます。

これが「丁寧な表現」や「仮定法」で使用される理由です。

日本語でも英語でも「仮定法」は定義にブレがありますが、ここでは一旦「仮定法」で統一します。

動詞の「形 form」は「法 mood」を発動する

法助動詞だけでなく普通の動詞でも「法 mood」を発動できます。

いわゆる「現在時制」「過去時制」の文章は「直説法 indicative mood」が発動しています。

直説法は「事実モード realis mood(事実法)」を反映する文法用語です。

つまり「動詞の形」が「時制」と同時に「法」も発動させています。

しかしここからがややこしい話で「時制と関係なく法」を発動させるパターンがあります。

  • 命令法 imperative mood
  • 仮定法 subjunctive mood

この2つは「事実モード(直説法)」でない特別な「動詞の形」があります。

それでは「命令法」の「動詞の形」からみていきます。

命令文と呼ばれる文章には「動詞の原形 base form」を使います。

命令「形」と呼ばないのは「動詞の原形」を使うからです。

英語は「命令法」をつくるために動詞を変化させないからです。

  • Be nice to them.
  • Come here now.

命令表現には「命令 imperative mood」という「法」が発動しています。

なぜなら「動詞の原形」は「時制ではなく法」を発動させるからです。

  1. 形:動詞の原形
  2. 時制:なし(tenseless)
  3. 法:命令

これは「仮定 subjunctive mood」も同じ仕組みです。

  • I wish I were there for you.
  • If it were not for you, I would be dead by now.

仮定法過去の「過去」は「過去形」をつかって「現在時制」の「想定モード(仮定法)」を表現します。

  1. 形:動詞の過去形
  2. 時制:現在
  3. 法:事実でないこと(仮定・非事実)

仮定法過去の「過去」とは「時制」ではなく「形」のことです。

「過去時制」ではなく「仮定」を発動する「動詞の過去」です。

なぜ「事実でないこと」に「過去形」をつかうかについて2つ説があるようです。

  1. 現在~過去の距離感を「事実~非事実」の距離感に応用するから
  2. 非事実の現在に進むためにいったん過去に戻す必要があるから
Counterfactual conditional - Wikipedia

この「非事実モードの過去形」は英語でも活発な議論があります。

英語を学習する側としては「過去形」と「過去時制」は意味が違うケースがあると知っておくことはとても大切です。

このように「時制」と「形」に違いがでる場合に限って「形」が省略されています。

もはや日本の英文法用語では「形」に対応する「時制」と「法」を機能的に運用することは不可能です。

徹底的に「形」の表す意味と「時制(と法)」を分離して考える癖をつけてください。

〇〇形③:動詞のコンビネーション表現

このパターンも「形」でまとめるとキケンなことがおきます。

よく「時制」や「~形」としてまとまっているものを見てみます。

  • 現在完了形 I have been here.
  • 現在進行形 I am doing.
  • 現在完了進行形 I have been doing it.
  • 過去完了形 I had been here.
  • 過去進行形 I was doing it.
  • 過去完了進行形 I had been doing it

しかしこれらは「時制+相」のコンビネーション表現なんです。

ここで「相 Aspect」というあまりなじみのない文法用語を解説します。

ブログの前半で紹介した内容を再確認です。

相 Aspect
  • 行動の進行度(0~100%)を示す用語
  • 英語の「相」は3種類
  1. 未然 Prospective(0%)
  2. 進行 Progressive(1~99%)
  3. 完了 Perfect(100%)

動詞の変化形(non-finite verbs 準動詞)が担当

  1. 未然相:to do(不定詞)
  2. 進行相:doing(現在分詞)
  3. 完了相:done(過去分詞)

では「現在進行形」や「過去進行形」を言い換えてみます。

現在時制 + 進行相(現在分詞)
  • am doing it.
  • He seems doing that.
過去時制 + 進行相(現在分詞)
  • was doing it.
  • He seemed doing that.

実際に英語の Wikipedia の「Continuous and progressive aspect(進行相)」にもこう載っています。

“The continuous aspect is constructed by using a form of the copula, “to be“, together with the present participle (marked with the suffix -ing).”

進行相は<主語と補語をつなぐ役割をもつ>コピュラである be動詞現在分詞(動詞+ING)と共につかうことで構成されている。」

https://en.wikipedia.org/wiki/Continuous_and_progressive_aspects

進行形とよばれる be+現在分詞は「進行相」を確実に意味する表現です。

いつもというわけではないですが現在分詞には「進行相」を発動する機能があることを覚えておいてください。

ただ厳密にいうと、すべての現在分詞に進行相があるわけではないのです。

・This looks interesting to me.

この interesting は完全に形容詞化されています。

辞書にも「形容詞」と記載されている代表例です。

つまり「相」は存在しないものと考えてもよいと思います。

しかし interesting には「相」だけでなくて、もうひとつの重要な要素が隠れています。

それが「受動態」のときに目にする「態 voice」です。

英語では「受動態」は「過去分詞」だけが発動できる機能です。

そのため「過去分詞」は受動態に目がいきがちですが「完了相」も発動できます。

それでは「現在完了形」や「過去完了形」を言い換えてみます。

現在時制 + 完了相(過去分詞)
  • have done it.
  • It is done by him.
過去時制 + 完了相(過去分詞)
  • had done it.
  • It was done by him.

ここで注意なのですが「受動態」の文章と「完了相」の文が似ています。

次の例文を見ていきましょう。

  • It is done by him.
  • It was done by him.

この2つは「受動態」と習っていませんか?

確かに「be動詞 + 過去分詞」は「受動態」と考えてもよいです。

しかし、その答えでは50%しか正解ではありません。

その理由はカンタンです。

それは「相 aspect」と「態 voice」は同時に発動できるからです。

動詞の変化形(準動詞)は「相」と「態」をもつ

“This car is used by my brother.”

この文章は「受動態 passive voice」でしょうか?

それとも「完了相 perfect aspect」でしょうか?

結論から言うと「どちらともいえる」です。

なぜなら「態」と「相」は別物なので同時に成立するのです。

しかし日本の英文法は「進行形」と「受動態」をパターンで習います。

  • I am doing. (進行形)
  • It is done. (受動態)

この2つに再分析をかけます。

現在分詞 doing
  • 相:進行 progressive
  • 態:能動 active
過去分詞 done
  • 相:完了 perfect
  • 態:受動 passive

このように「相」と「態」は別々の要素として理解する必要があります。

それでは「態」について詳しく見ていきましょう。

態(たい)voice

・行動が「する」か「される」かを分類する用語です。

・態は2種類:

  • ① 能動態(active voice)
  • ② 受動態(passive voice)

最初に確認ですが、この voice は文法用語で「声 voice」とは関係ありません。

さて「態 voice」とはシンプルにいえば、行動について “する” or “される” を区別するだけです。

具体例とし形容詞 interesting を見ていきましょう。

まず「interest (興味をわかせる)」という動詞が存在しています。

この interest を現在分詞と過去分詞に変えてみます。

  • 現在分詞化:interesting
  • 過去分詞化:interested

しかし辞書にも載っているように、この2つは「完全に形容詞」になる場合がほとんどです。

つまり「相」ではなく「形容詞化」と「態」がメインなんです。

  • interesting(おもしろい、興味深い)
  • 態:能動 ⇒ 興味をわかせる
  • interested(興味がある)
  • 態:受動 ⇒ 興味をわかされた

このように英語の辞書では形容詞扱いなのに、動詞の「現在分詞」や「過去分詞」と同じ形のものが多くあります。

その場合は「態」と「形容詞」の品詞ルールに従うことで運用できます。

ただ使い方によっては「相」の意味がある場合もあるので注意してください。

  • 現在分詞・進行相あり
  • He is annoying me.

動詞 annoy(いらいらさせる)の目的語に me があります。

これは annoying が動詞の特性をもつ形容詞である現在分詞であることを意味します。

  • 形容詞・進行相なし
  • He is annoying to me.

一方、こちらは to me となっていて、annoy(いらいらさせる)の目的語には me がなっていないことになります。

つまり完全に形容詞化していて、動詞の特徴をひきついで目的語をとることができていないんです。

つまり現在分詞(動詞の変化形)としての機能が消失していると考えてよいと思います。

過去分詞の「受動態」の発動条件

「態」の理解をまとめるとこうなります。

能動態 ⇔ 受動態
  • する ⇔ される
  • させる ⇔ させられる

しかし、英語で「能動態」と「受動態」をマスターするには、もうすこし細かい説明が必要です。

なぜなら「能動態」というのは「目的語をもつ動詞」に適応されることだからです。

この「目的語を持つ / 持たない」を区別した動詞の分類があります。

  • 目的語を持つ動詞:他動詞(transitive verbs)
  • 目的語を持たない動詞:自動詞(intransitive verbs)

ただ「自動詞 or 他動詞」だけを分類して受動態を考えるのは、完全に正確とはいえません。

英語の動詞の分類は「五文型」が基本になります。

それゆえ SVOC で動詞は分類せねばなりません。 

  • ① SV(目的語なし)
  • ② SVC(目的語なし)
  • ③ SVO(目的語あり)
  • ④ SVOO(目的語あり)
  • ⑤ SVOC(目的語あり)

受動態は「目的語を主語にする」というものです。

となると ① SV そして ② SVC の過去分詞は「受動」の意味がないことになります。

それゆえ、五文型をもう一度、整理するとこうなります。

SV / SVC の過去分詞
  • 態:なし
  • 相:完了
  • ① He is gone.
  • ② It is become common.

*このパターンは古英語に多く、現代では「be ⇒ have」に変えるのが正式。

歴史的経緯を知りたい方はこちらをどうぞ。

SVO / SVOO / SVOC の過去分詞
  • 態:受動
  • 相:完了
  • ③ I was worried.
  • ④ I was given a task.
  • ⑤ He was made angry.

つまり「受動態」は他動詞だけのオプション機能なんです。

ここで「自動詞の過去分詞」の注意点をまとめてみます。

  1. SV・SVC の過去分詞に「受動態」はありません
  2. SV・SVC の過去分詞はつくれます
  3. SV・SVC の過去分詞は「完了相」だけを発動する

このように動詞の過去分詞をつくるパターンは五文型ごとにすこし複雑になります。

不定詞は「未然相」を発動する

ここまで「時制」「相」「態」を見てきました。

しかし実は英語でもっとも重要な項目の一つが抜けています。

それが「不定詞 to do」です。

不定詞は「未来」と関係して語られることが多いです。

しかし英語に「未来時制」は存在しません。

上述したように英語の「動詞」に未来時制の変化形がないからです。

英語では「未来時制」の変わりに「未然相」を使います。

まず「未来」を「時制 tense」のカテゴリーから外します。

そして「未然(未来)」の表現を「相 aspect」のカテゴリーで扱います。

つまり一般的には次のようになっているのを・・・

  • 過去 past
  • 現在 present
  • 未来 future

ここから「未来」を「未然」に変えまして・・・

  • 未然 prospective
  • 進行 progressive
  • 完了 perfect

不用意に「時制」に入っているところから「相」で再解釈してみます。

SYN_to-do-doing-done(未来⇒未然)
英語は未来時制を未然相で表現する

不定詞は「動詞の変化形」です。

そして「~する方向 to do」という意味を持ちます。 

英語では「未然」「進行」「完了」を「動詞の変化形」で表現します。

あまり見慣れないかもしれませんが「不定詞」に「未然相」適用します。

SYN_to-do-doing-done(時制&相)
時制(現在・過去)&相(未然・進行・完了)

英文法の「未来時制」は実際には「現時点の未来への方向性」です。

英語には「未来形」も「未来時制」も存在していません。

be going to が「未来表現」になるのは不定詞を使うからです。

  • I am going to do it.(現在時制+未然相
  • I was going to do it.(過去時制+未然相

しかし動詞の変化形(準動詞)である「不定詞 to do」には「未然相」があります。

「未然相」は「時制」とのコンビネーション表現で使えます。

だから未来時制とも未来形とも関係ありません。

英語・ラテン語・エスペラント語の「相」

英語の「不定詞(より正確には『to 不定詞』」が「未然相」を持つのはムリヤリな解釈ではありません。

英語のご先祖様の一つで、ヨーロッパ圏の共通語だった「ラテン語 Latin」も同じような構造を持っています。

また世界の人々が平等につかうための人工言語としてつくられた「エスペラント語 Esperanto」も同様です。 

では実際にイラストで見ていきましょう。

*「分詞 participle」の文字が大きすぎて入らなかったので割愛しています。

未然・進行・完了分詞:英語・ラテン語・エスペラント語
未然・進行・完了分詞:英語・ラテン語・エスペラント語

如何でしょうか?

たまたま英語では「to 動詞の原形」なので「不定詞 infinitive」と言っているだけなんです。

ほかの2言語では「未来分詞 future participle」や「未然分詞 prospective particple」という言い方もあります。

【 未然相 Prospective Aspect 】

  • 不定詞(英語)
  • 未来分詞(ラテン語)
  • 未然分詞(エスペラント語)

【 進行相 Progressive Aspect 】

  • 現在分詞(英語)
  • 現在分詞(ラテン語)
  • 進行分詞(エスペラント語)

【 完了相 Perfect Aspect 】

  • 過去分詞(英語)
  • 完了分詞(ラテン語)
  • 完了分詞(エスペラント語)

この3言語では「動詞の形容詞変化」を「相」でキレイに対応させることができます。

すこし補足をするとエスペラントの分詞には「能動 active」と「受動 passive」も追加できます。

つまり「2つの態 voice」を「3つの相 aspect」と組みあわせて「6パターン表現」できます!

英語の「受動態」は「過去分詞」にしかセットされていません。

そう考えると、エスペラント語の分詞はとっても便利です!!

Esperanto grammar - Wikipedia

*上記記事内では現状 “predictive” と “prospective” が両方使われていますが、意味はほぼ同じなので “prospective” の名称を「未然」として採用しています。

未然相・進行相・完了相で視点が変わる

ここまで見てきたとおり、日本語の英文法用語はバラバラでした。

  • 進行形
  • 受動態
  • be to 構文

この3つの共通点はわかりにくいです。

しましバラバラだった用語でも視点を変えるだけで機能し始めます

では「進行形」「受動態」「be to 構文」を「相 aspect」で再解釈してみます。

進行形 ⇒ 進行相
  • 主語 + be動詞 + 現在分詞(能動+進行)
  • A kid is breaking a window.
  • ある子供は窓を壊している。
受動態 ⇒ 完了相+受動態
  • 主語 + be動詞 + 過去分詞(受動+完了)
  • A window is broken (by a kid).
  • 窓は壊された。
be to 構文 ⇒ 未然相
  • 主語 + be動詞 +不定詞(能動+未然)
  • A kid is to break a window.
  • ある子供は窓を壊することになるだろう。

上記の3つはすべて「主語 be動詞 補語」つまり 第2文型(SVC)です。

そして補語には「形容詞用法」の動詞の変化形が入っています。

その動詞の変化形は「break 壊す」という「他動詞 SVO」から派生しています。

それゆえ「過去分詞」に受動態が発動します。

受動態が入るとわかりにくいので「自動詞」の準動詞なら「相」だけ発動できます。

今度は「fall 落ちる」という「自動詞 SV」の変化形で見ていきます。

目的語の無い自動詞なので「態 voice」の適応外になるのがポイントです。

進行形 ⇒ 進行相
  • 主語 + be動詞 + 現在分詞(進行のみ)
  • The bridge is falling.
  • その橋は落下している。
自動詞の過去分詞 ⇒ 完了相(✖受動態)
  • 主語 + be動詞 + 過去分詞(完了のみ)
  • The bridge is fallen.
  • その橋は落ちてしまった。
be to 構文 ⇒ 未然相
  • 主語 + be動詞 +不定詞(未然のみ)
  • The bridge is to fall.
  • その橋は落ちることになるだろう。

いかがでしょうか?

「進行形」や「受動態」そして「構文」などバラバラの用語で分類すると全体像は見えません。

文法用語の意味をとらえなおすことで英文法を見る視点」が切り替わります

英語 Wikipedia の英文法に希望あり

日本語の英文法用語は「形」が入ったり入らなかったりで整合性が崩壊しています。

その整合性の崩壊から逃げて「構文!熟語!例外!」と言い続けてきている気がしてなりません。

全体の整合性の破綻した日本語の運用が英文法用語だけの話であることを強く願っています。

そこから一転して、英語の Wikipedia で英文法用語を勉強すると、議論の余地のある項目にはちゃんと記載があります。

言葉の定義や由来は etymology といってギリシャ語・ラテン語・ゲルマン祖語などからの変遷も含めちゃんと書いてあります。

  • その言葉は何を意味するのか? 
  • どこでそう言葉や用法が生まれたのか? 
  • だれがつくった用語なのか? 
  • その用語は本来の意味を反映しているのか?
  • 複数の解釈や使用法があり混乱の要因になっていないか?
  • 現在討議中の項目で定義について議論の余地があるのか?
  • 伝統的な用語と現代文法の解釈で差が生じていないか?
  • 他の言語と比べて英語の文法の機能はどのように位置づけられるか?

このような要点・論点を明確に記述してあることが多くあります。

英語の Wikipedia の文法項目には日本語がないものが多くあります。

かりに和訳があってもその和訳の情報そのものが足りていない事実に多々遭遇しています。

英語で英文法を勉強するのはしんどいかもしれません。

ですが「全体の整合性」や「ほかの言語と比べた英語の仕組み」がみえると視点が切り替わります。

私もまだまだ勉強中で大きなことは言えませんが、英語の Wikipedia に大いに助けてもらっています。

もちろん直接ご質問いただければ私に可能な範囲でお答えさせていただきます。

私は研究機関に所属しているわけでも、特殊な能力があるわけでもありませんので、間違いや思い違いもあるかと思います。

その際はご指摘いただけると幸いです。

Copied title and URL