岡山にある備前長船の資料館に行ってきました。
備前は戦国期にかけて刀剣の名産地となり、全国にその名が知れ渡るほどでした。
資料館は「刀剣の里」という敷地内にあり博物館に加え、鍛冶工房、お土産物店もあります。
とくに鍛冶工房は実際の制作現場をみたり、予約をすれば刀鍛冶体験もできるようです。
博物館では、実際の備前長船のコレクションを見ることができます。
さらに刀の製作工程も詳しく解説されていて非常に興味をそそられます。
日本刀工房 Japanese Sword Workshop
刀ってどれも同じような形状ですし、個々の良し悪しはあまりわからないのですが、なんとも惹かれる魅力があります。
博物館には刀を実際に作る工房が隣接しています。
鞘(さや)や鍔(つば)の製作・装飾も拝見できるようなのですが、残念ながら私が訪れたときはお休みでした。
備前長船は英語で何と翻訳されているか?
日本刀と一口に言っても日本語でも、剣(けん)、日本刀(にほんとう)、刀(かたな)と言い方がいろいろあります。
英語でものようにいろんな言い方があります。
- Japanese sword
- katana
- samurai sword
海外でも人気のRPGであるファイナルファンタジーシリーズの中にも備前長船は登場します。
しかしシリーズによって訳がばらつくので調べた範囲でいくつか紹介します。
① Bizen’s Pride
FF5の初期版ではこの名前だったそうです。
戦国無双2(Samurai Warriors 2)で出てくる雑賀孫市の使う鉄砲で「Marksman’s Pride 狙撃手の誇り」というものがありました。
英語的に「~’s Pride」ってカッコよく聞こえる表現なんだと思います。
② Bizen Boat
FFタクティクスの時の名前です。当初、誰もツッコミ入れなかったことのほうが驚きです。
リメイク版では Osafune に変更されてました。最初からそうしておけば・・・との思いが禁じえません。
③ Bizen Osafune
私は日本人的に「びぜんおさふね」と読めるのでこれが一番いいですね。
スペルが長くなりすぎるので嫌がられるのでしょうか?
漢字って発音できなくても、一目見るだけで意味がわかりますし省スペースなんですよね。
④ Osafune
英語版FFで現在の主流(?)の表現です。
よりによって「備前」を抜くか~という気がします。
名刀のライバル?である「正宗 Masamune」とか「村正 Muramasa」みたいな語感にしたいのかもしれません
日本の歴史コンテンツの英語翻訳に一定の方針が必要
備前長船の英訳ですが同じ日本のコンテンツなのに、一つの会社のシリーズですら翻訳がバラついています。
ゲームに限った話ではなく、神社・仏閣・城郭でつかわれる用語も英語訳がバラバラです。
各団体が勝手気ままに、我田引水な感覚で観光アピールや世界遺産化を目指している気がします。
これでは日本各地を旅して回る外国人がいたとしても、それらすべてが同じものであったり、繋がりがあっても気づいてもらえるでしょうか?
全体を俯瞰して外国語の解説を充実させる視点を作るべきだと思います。
せっかく日本の歴史・文化は外国人にも楽しんでもらえるレベルにあるのですから、英語翻訳のばらつきによって本来の価値が発揮されないのはもったいないです。
備前長船・日本刀に関する英語表現
備前長船刀剣博物館: Bizen Osafune Japanese Sword Museum
備前国: Bizen Province
備前は「吉備の国」を都みてから「手前」になります。ですので西から東へ向けて「備後、備中、備前」ですね。「越の国」は逆に、都から見て越前が「手前」にあるため、西から東へ「越前、越中、越後」の並びですね。
「province」は古代ローマでの外国における行政権の及ぶ範囲のことをあらわすラテン語が由来だそうです。現在の日本の県のことは「prefecture」と訳しますが、どんな理由でこの訳語が選ばれたのかわかりません。
ちなみに中国では「province 省」「prefecture 地区」「county 県」だそうです。
刀匠: swordsmith
smith は職人の意味で「goldsmith 金細工師」「blacksmith 鍛冶屋」「locksmith 鍵師」などのように、英語でもたくさんあります。
イギリスでは「日本太郎」のような一般的に示す人物名のことを John Smith といいます。Smith は英語圏では「佐藤・田中・鈴木」のような数の多い名前です。
鍛刀: sword forge
forge は「物事を作り出す」の意ですが、そこから「偽造する」という意味になり forgery だと「偽物」という意味になります。
玉鋼(たまはがね): steel
「iron 鉄」を鍛えて強化し「steel 鋼鉄」になります。
英語版のwikiを調べて見ると『The word tama means “round and precious”, like a gem 「玉 たま」玉石のように丸く貴重の意』と載っていました。
ちなみにFF12では gemsteel となっていました。こっちのほうがカッコいいですね!
残念ながら「玉鋼 gemsteel」は備前長船ではなく最強の刀・正宗をつくるために必要なアイテムなんですよね・・・。
刀身: blade
「プロペラの羽根」や「稲の葉」などにも使います。語源は古英語で「葉」だそうです。
鍔(つば): guard
「警戒する」という意味がつよい言葉です。
日本語で攻撃を防ぐことを「ガードする」といっているのをよく見かけますが、これは英語では「block ブロックする」のほうがしっくりきます。
鎺(はばき): blade collar
collar は「襟 えり」の意味で、刀の根元の部分のことです。
はばきが鞘としっかりとフィットすることで、刀身は鞘に触れず、さらに逆さにしても落ちないで収まっているそうです。
かといって抜刀するときにひっかかるようではダメなので、これらを両立する精度でつくってあるそうです。さすがは職人技ですね。
柄(つか): hilt
「guard 鍔」や「grip 握り」を含む部分をすべてまとめて hilt というようです。
鞘(さや): scabbard
さやのことは sheath ともいいますが、こちらのほうは「かぶせるもの」という意味で広く使うのに対し scabbard は刀剣など武器の鞘の意味で使います。
研ぎ:polishing and sharpening
大文字で Polish だと「ポーランド人の~」という意味の形容詞になります。
ポーランド人も Poles というので「pole 棒」の複数形と間違わないようにしないとダメですね。
砥石:whetstone
職人を意味する Smith と同じく、姓・苗字の Whetstone としてもよくあるようです。
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