未来を意味する「be going to」の意味に悩んだことはありませんか?
- I am going to school.(現在進行形)
- I am going to do it.(未来形)
この2つはほとんど同じ形をしているのに意味が違います。
- ① I am going to school.
- ① 私は学校に向かっています。
- ② I am going to do it.
- ② 私はそれをするつもりです。
こうなってしまう理由は和訳の問題もあると思います。
しかし一番の理由は英語には「未来形」が存在しないからです。
be going to は未来形ではない
「未来形」が存在していない理由は「時制 tense」のルールにあります。
英語の基本ルールとして「時制 tense」は「動詞」の時制に対応する表す形で表現します。
英語の Wikipedia から「grammatical tense(文法用語の時制)」を引用します。
“In grammar, tense is a category that expresses time reference. Tenses are usually manifested by the use of specific forms of verbs, particularly in their conjugation patterns.”
『時制とは(動詞が示す「行動」の内容が)いつのことなのかを表現できる文法上のカテゴリーです。 通常、時制は動詞のもつ変化形のパターンの中から特定の形の使用することよって明示されます。』
Grammatical tense – Wikipedia
時制に対応する英語の動詞の形を見ていきましょう。
- 現在形 ⇒ 現在時制(present tense)
- 過去形 ⇒ 過去時制(past tense)
- 原形 ⇒ 時制なし(tenseless)
これを be動詞に当てはめてみます。
- 現在形 ⇒ am / are / is
- 過去形 ⇒ was / were
- 原形 ⇒ be
be動詞に「未来時制の変化形」はありません。
だから英語には「未来時制 future tense」が存在しないことになります。
これは英語がドイツ語やオランダ語とおなじゲルマン語グループに入るからです。
ゲルマン語には未来時制変化は存在しません。それゆえドイツ語もオランダ語も未来時制はありません。
これは英語 Wikipedia をみればすぐにわかる基本知識なのでご確認をお願いします。
一方、フランス語には「未来時制」が存在します。
なぜなら動詞が「未来形(≒ 未来時制を表現する特殊な形)」に変化するからです。
実際に be動詞に相当する être(すごい不規則変化なので注意!)を使ってやって見ます。
- Je suis ≒ I am
- Je serai ≒ I will be
このようにフランス語には動詞の未来時制の変化形があります。
これは英語 Wikipedia で「French conjugation(フランス語の動詞の活用)」を翻訳すればすぐに確認できます。
さてフランス語、イタリア語、スペイン語などはロマンス語と言ってラテン語に起源をもつ言語グループに入ります。
ラテン語には未来時制があるので、その子供たちにも当然、未来時制があります。
ではこの事実を踏まえて英語の未来を整理してみます。
【 英文法の基本 】
- 時制は「動詞の形」で表現する
- 英語の動詞は「未来形」に変化しない
- 動詞の未来形がないので「未来時制」は存在しない
これは未来表現の助動詞 will も同じで「未来時制」という扱いにはなりません。
英語に「動詞の未来形がない」ので、その代わりに法助動詞 will をつかいます。
「法 mood」とは「話し手の主観・想定」を表現する文法用語です。
助動詞 will は「未来への意志」を示す「法」を発動できるので、より正確には「法助動詞 modal auxiliary verb」と呼ばれます。
【 英語の未来形のホントの話 】
- 法助動詞 will ⇒「未来時制」にならない
- be going to ⇒「未来時制」にならない
ここから未来時制をつくれない英語で「未来」を表現する be going to を詳しく見ています。
英語の未来とは「話の時点から先のこと」
英語の未来表現を理解するためには「時制」をしっかり理解する必要があります。
そして「時制」は「日常的な時間間隔」とは別物なので2つを比べてみます。
【 日常的な時間の感覚 】
- 時間が流れている感覚
- 過去 ⇒ 現在 ⇒ 未来
- 昨日・今日・明日のイメージ
【 時制 tense 】
- 動詞の形(Verb Form)で表す
- 英語の時制は「過去」と「現在」のみ
- 未来時制はない
ここで「日常感覚の未来」をいったん忘れて英語の「未来」を漢文のように読んでみます。
【 未来の訓読文 】
- 未だ来たらず(いまだきたらず)
- 未だ来ず(いまだこず)
つまり「まだ起こっていない」というのが「未来」の意味になります。
【 英語の未来表現 】
- 現在から「未だ来たらず(未来)」
- 過去から「未だ来たらず(未来)」
be going to を成り立ちから解説
英語の「未来表現」は「過去時制」も「現在時制」の両方と組み合わせることができます。
ちゃんと英語の Wikipedia に “Going-to future” として記事があるのでご参照ください。
原則として時制は「動詞」で決まります。
この基本ルールは “be going to” にも当てはまります。
be 動詞の時制は「現在 am are is」もしくは「過去 was were」にしかなりません。
では be動詞を「時制」にあわせて変化させてみます。
【 現在形 am 】
- I am going to do it.
- (私はそれをするつもりです)
【過去形 was 】
- I was going to say that.
- (私はそのことを言うつもりでした)
ちゃんと be going to は「過去時制」でも使えます。
be動詞に「過去の変化形 was were」が存在するからです。
そして be going to の “to” は「不定詞」をつくります。
それゆえ必ず I am going to do it のように「to 動詞の原形」で使われます。
つまり「現在分詞 going」と「不定詞の to do」のコンビネーションなんです。
現在分詞も不定詞も「動詞の変化形」です。
動詞を変化させて使うものを「非定形動詞 nonfinite verb」といいます。
日本の文法用語では「準動詞」と言いますが、英語では「非定形=nonfinite」というのが一般的です。
非定形 nonfinite の意味は「主語や時制によって形を定めない」という意味です。
つまり「常に同じ形で使用する」という意味なんです。
実際に be going to do をみていきましょう。
- I am going to do it.
- I was going to do it.
- You are going to do it.
- You were going to do it.
現在分詞 going と不定詞 to do は主語や時制によって変化していませんよね?
これこそが「非定形 nonfinite」と呼ばれる由来です。
ですから「準動詞」ではなく「非定形動詞 nonfinite verb」という言い方を覚えておいて下さい。
英語で英文法を学ぶ時に必ず役に立つはずです。
そして「非定形動詞(準動詞)」には「ホンモノの動詞」にはない機能があります。
それが「相 アスペクト aspect」という機能がデフォルトでセットされています。
文法用語の「相 aspect」は「行動の進行度」を表す言葉です。
- 未然相 prospective aspect
- 進行相 progressive aspect
- 完了相 perfect aspect
3種類の動詞の変化形が表す「未然・進行・完了」はこちらになります。
おそらく「未然相 prospective aspect」はなじみがないと思われます。
それは日本の英文法書の多くが不定詞の機能を「未来イメージ」や「予定」といったあいまいな言葉で説明しようとするからです。
英語圏での本格的な英文法は「なんとなくなイメージ」で誤魔化したりしません。
ちゃんと明確な文法用語をつかって機能を分類しようとします。
実際に「prospective aspect」という記事が英語の Wikipedia にも載っています。
不定詞の「やるつもり & まだやっていない」の意味を「未然相」で表現します。
これで「未来時制 future tense」を消して「未然相 prospective aspect」をつくることができます。
つまり「現在時制+未然相(現時点で~する予定)」でも「未来」を表現できるんです。
未来形とは「 ING(進行相)+ 不定詞(未然相)」の合わせ技のことなんです。
ですので文法を解説するとこうなります。
英文法の解釈は基本的には2種類あります。
- 統語論文法(Syntax)ルール・システム重視の文法解釈
- 意味論文法(Semantics)意味・ニュアンス重視の文法解釈
英文法にはこのような2つの見方がすでに存在しています。
統語論文法の場合「be動詞+ going(進行)+ to do(不定詞)」の組み合わせで表現できます。
そうなると「未来」ではなく「進行+未然」を「時制」と組み合わせることができます。
それでは先ほどの例文を訳してみましょう。
- I am going to do it. (現在形)
- 私は(現時点で)= 向かっています する方向へ それを
- (私はそれをするつもりです。)
つまり「現在時制で未来の行動について話している」ということです。
英語の Wikipedia にもこう載っています。
“The basic form of the going-to construction is in fact in the present tense . . . It may therefore be described as expressing prospective aspect“
「未来表現の going to の基本形は実際には現在時制である(中略)それは『未然相 prospective aspect』を表現するものとして解説されることもある」
Going-to future – Wikipedia
英語の Wikipedia に「実質的に現在時制 in fact in the present tense」そして「未然相 prospective aspect」と書いてあります。
基本的には英文は「動詞が現在形」なら「現在時制」です。
統語論文法(Syntax)の解釈をとると「未来」はこうなります。
・現在時制 + 未然相 ⇒ 未来表現
つまり「現在において行動を予定している」ということです。
では be going to の動詞を「過去時制」に変更してみます。
もちろん be動詞が過去形になれば、過去の時点での話へと変わります。
- I was going to say that. (過去形)
- 私は(過去の時点で)= 向かっていました 言う方向へ そのことを
- (私はそのことを言うつもりでした)
つまり「過去時制で未来の行動(未然)について話している」ことになります。
「be going to」が「時制+進行+未然」の表現と理解すれば、何の問題も起こりません。
be going to の表現の由来
とはいえ going to だけだと「前置詞 to」なのか「不定詞 to」なのかわかりにくいかもしれまえん。
しかし、この分類はあまり深刻に考えなくても大丈夫です。
- 前置詞 to 名詞
- 不定詞 to 動詞の原形
実はこのどちらも同じような感覚で理解することが可能だからです。
では実際に例文を見ていきましょう。
- A: I am going to school.
- B: I am going to go to school.
- C: I am going to school him.
この3つの文章の意味はパッと見ただけならカンタンそうに見えます。
ところが最後の C がちょっと難しいかと思います。
~ going の行き先が場所(名詞が目標)~
- A: I am going to school.
- A: 私は = 向かっています ⇒ 学校へ
~ going の行き先が不定詞(動詞が目標)~
- B: I am going to go to school.
- B: 私は = 向かっています 行く方向へ 学校へ
- C: I am going to school him.
- C: 私は = 向かっています 教育する方向へ 彼を
*動詞の school には「教育する」という意味があります。
いかがでしょうか?
前置詞 to でも不定詞 to でも「~の方向へ」と訳せばうまくいきます。
上のすべての例で英語の語順通りに理解すれば大丈夫です。
古英語では「前置詞 to」と「動詞の原形(名詞用法)」を組み合わせてつかっていました。
それが現代英語では「to + 動詞の原形」とワンセットでしか使用できなくなりました。
つまり「~する方向へ」という理解は前置詞 to と同じでOKなんです。
不定詞の成り立ちを踏まえて「be going to」の成り立ちを見ていきます。
実際に英語の Wikipedia から記事を引用します。
“The original construction involved physical movement with an intention, such as “I am going [outside] to harvest the crop.” The location later became unnecessary, and the expression was reinterpreted to represent a near future.”
「もともとの(going to)の構造は(行動しようとする)意図と共に物理的な動きを含んだ意味をもっていた。例としては『 I am going (outside) to harvest the crop 私は収穫をしに外へ向かう』のようなものがある。後に「場所(に移動するという)」の概念が無くなり、この表現は近未来を示す表現に再解釈された。」
Going-to future – Wikipedia
実は「going どこかに to するために」という意味から「未来表現」が生まれました。
もともと「行動」も「場所」も「going」の行先だったんです。
未来表現だけが分離されたものを「be going to は未来形」と丸暗記してしまうと、応用ができません。
しかし形を見ただけでは「行動」か「場所」かを区別できません。
この表現をしっかりと理解するには「方向の to」が示す「go」の行先は何なのか?ということを適切に判断することが重要です。
不定詞(未然相)をつかった未来表現
ここからは「不定詞」をつかったいろいろな未来表現をみていきます。
英語のご先祖様のひとつにラテン語という言葉があります。
そのラテン語には「未然相」をつくる「未来分詞 future participle」があります。
私がいろいろ調べた限りではこの「未来分詞」の英訳は「to do / to be(不定詞)」を含んだ表現がほとんどです。
さて、それでは英語の「不定詞(≒未来分詞)」に進みます。
be to 構文(be to do)
みなさんよくご存じの「be to 構文」です。
では、さっそくみていきましょう。
- I’m to report to the principal this afternoon. (duty)
- 私は今日の午後、校長に報告することになっている。
- The Prime Minister is to visit the West Bank. (plan)
- 首相はヨルダン川西岸地区を訪問する予定だ。
上記の2つの例文は英語の Wikipedia の「going-to-future」の記事から拝借しました。
この記事の中で「be to 構文」も「未来表現」として解説されています。
“This is similar in form to the going-to future, with the omission of the word going. […] The meaning of this construction is to indicate that something is expected to happen at a future time”
「これ(be to 構文)は『going to の未来表現』から going を抜くと、形が似ている。(中略)この構文の意味は物事が未来において起こることが予期されていることを示す。」
Going-to-future – Wikipedia
よく日本の英語教育では「be to 構文」について・・・
「予定・可能・運命・意志・義務」の5つの意味を覚えよう!
・・・と言われていますが、その必要は全く必要ありません!
文法書には構文やイディオムとして載っています。
しかし文構造はただの「be + 不定詞の形容詞用法」です。
それゆえ、さきほどの Wikipedia の記事にある通り「be to 構文」は「未然(やる予定だが、まだやっていない)」ですべて説明可能です。
be about to
こちらもよく見るイディオムですが、ただの不定詞をつかった「未来表現」です。
- The castle is about to fall.
- その城は = もうすぐ陥落しそうだ
前置詞と副詞で使う about には「周辺、約」という大きな意味があります。
これを「未然相」とミックスすると「ほぼ~しそうな状況」つまり「いますぐにも~しそう(まだやってないけど)」となります。
というわけで、この表現も「about(周辺)+ to do(未然相)」と捉えてよいと思います。
文法構造は be to 構文に about を加えた表現とみてもよいでしょう。
be yet to
こちらも同様に不定詞が入る「未来表現」です。
- The best is yet to come.
- 「最高のことは = まだこれから 来る予定(まだ起きていない)」
副詞 yet には「まだ(完了していない)」というニュアンスがあります。
これが「未然相」の不定詞とペアになって「まだこれから起こる(まだ起きていない)」という表現を作ります。
こちらも文法構造は be to 構文に yet を加えた表現とみることも可能です。
さて、ここまで be going to 以外の「未来表現」で代表的なものを紹介させていただきました。
これらのほかにも不定詞を使えば「未来っぽい表現」をたくさんつくることができます。
どんな表現であっても「未来時制」ではなく「未然相」であることをおさえておけば大丈夫です!
現在分詞(進行相)をつかった未来表現
では次に「進行相」をつかった未来表現です。
早速ですが、このような例文を高校で習ったことはありませんか?
- She is having a baby soon.
- 彼女はもうすぐお母さんになる
- (彼女は= 持つことになる 赤ちゃんを すぐに)
- We are winning this game tonight!
- 今夜のこの試合、絶対勝つぞ!
これは「近未来を表す進行形」と文法書に載っているものです。
しかし、なぜ「現在進行形」が「未来」になるのか理由はわかりませんよね?
英語における「進行形」とは「進行相 progressive aspect」といって「時制」とは区別できるものです。
そして「進行相」とは行動が「実行中 1~99%」であるというニュアンスを持ちます。
つまり「完了相 100%」に向かって「進行中」というわけです。
では、再確認のため「相 aspect」の一覧を見ていきます。
「進行相」には「やっているけど、まだおわっていない」という意味があります。
そうなると「進行 = 未完了」という意味を表現することも可能です。
これを「現在時制+進行相」につかうことで「もうすぐ完了する予定です」という「近未来表現」が可能になります。
この「近未来」は過去から近未来にも応用可能です。
では「was/were + doing(進行相)」 をつかってみましょう。
【 過去時制+進行相 past tense + progressive aspect】
- I was helping her.
- 私は彼女を助けようとしていた。
- ⇒ 過去において、完了に向けて進行中だった
このように「進行 ≒ 完了途中」というニュアンスが含まれています。
これは「未然相(不定詞)」が「やる予定」だけど「まだやってない」というニュアンスを持つのと同様です。
このように「進行中 ≒ 完了途中」となれば「未来においてもうすぐ完了する」という「近未来」に応用できます。
これを否定文に応用すると・・・
- You are not going anywhere.
- あなたは = 向かうことにならない どこか別の場所に
- ⇒「お前に逃げ場はないぞ」
・・・のように使うこともできます。
このように「完了相」を「行動の到着点」という視点をもって「進行相」をとらえることで「未来表現」をつくることができます。
「時制 tense」と「相 aspect」を分離して考えると英語の「未来」が見えてきます。
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