このブログは五文型の例文を見ながら「文の要素 SVOC」と「品詞」の仕組みを解説します。
そのため「文の要素 SVOC」と「品詞」の基礎知識が必要になると思います。
まず文法用語の意味や機能を確認されたい方はこちらをどうぞ。
英文の基本は SVOC の組み合わせ
英文法で「文の要素」とは「英文の基本構造」のことでした。
そこに「おまけ要素」を追加することで、さらに意味を広げることができます。
しかし「文の要素」の主語や目的語などをバラバラに並べても英語に意味は生まれません。
文の要素にでてくる「主語 S」や「動語 V(述語動詞)」を正しい語順で組み合わせることで、初めて英文が機能します。
① 文の要素は全部で4つ:
- 主語 Subject 英文における主体・主人公を示す
- 動語 Verb 主語の行動を示す
- 目的語 Object 行動の対象を示す
- 補語 Complement 主語と目的語に説明を加える
② 文の要素の並べ方は5パターン「五文型」
「主語(S)+動語(V)」は共通で、そこから5パターンの意味の違いを生みます。
- 第1文型:SV「行動を表現する」
- 第2文型:SVC「主語に説明を加える」
- 第3文型:SVO「行動の対象を表現する」
- 第4文型:SVOO「行動の相手と内容をセットで表現する」
- 第5文型:SVOC「行動の対象とその説明をセットで表現する」
これら五文型のパターンは動詞によって決まっています。
ここが英語の動詞と日本語の動詞の大きく違うところです。
~ 日本語の動詞 ~
- 行動を表す
~ 英語の動詞 ~
- 行動を表す
- 5文型のパターンを決定する(動語 V)
英語の動詞は行動を表現することだけが役割ではありません。
この「文型を決定する」という英語の「動詞の機能(動語 V)」を忘れないでください。
五文型の例文
ここから五文型に入っていきますが、1つの英単語には2つ以上の品詞が設定されている場合があります。
このような英単語を「多義語」といって、それぞれのパターンを区別する必要が出てきます。
また、同じ動詞でも「2つ以上の文型」で使うものもたくさんあります。
多義語(Polysemy)はどんな英単語?
- 同じスペルでも品詞が違う英単語
- 品詞が違うと意味が全く違うものになる
- 同じ動詞でも2つ以上の五文型のパターンをとるケースも多い
しかしご心配には及びません。英語の文型は「動詞(動語 V)」で決まっています。
それぞれの動詞が発動できる英語の文型をちゃんと見抜くことで多義語も見抜けるようになります。
せっかくなので「おまけ要素」や「多義語」をまぜながら五文型の例文を見ていきましょう。
第1文型 SV:主語+動語
第1文型 SV の構造
- 主語(S)動語(V)
- 主語は ~する
「主語 S」と「動語 V」だけの一番シンプルな文型です。
文の要素としては「主語」と「動語」だけですが「おまけ要素」が追加されることがよくあります。
第1文型 SV の be動詞
be動詞の意味は「linking & existential(連結 & 存在)」と呼ばれています。
第1文型の be動詞は「存在 existential」と理解するとうまくいきます。
和訳は「在る、居る(ある、いる)」でよいと思います。
第1文型 SV の例文
- I live here.
- 私はここに住んでいる。
- I walk in the garden.
- 私はその庭で散歩する
- I am here.
- 私はここにいる。
- I am in the garden.
- 私はその庭にいる。
- A sound mind is in a sound body.
- 健全なる精神は健全なる肉体に宿る
第2文型 SVC:主語+動語+補語
第2文型 SVC の構造
- 主語(S)動語(V)補語(C)
- 主語は ~である / ~する 主語の説明
「主語 S」に対して「補語 C」による説明を加える形の文章です。
「補語 C」を表す Complement は「何かを補って完全な形にする」という意味を持ちます。
補語 Complement の意味
- 〇 補完する(Complement)
- ✖ 補足する(Supplement)
「補足」するのは「おまけ要素」の役割です。
主語や目的語をしっかりと説明するのが「補完する語 Complement」の役割になります。
第2文型でよくみるパターンは「be動詞(am / are / is)」をつかった文章です。
英語には「be 動詞 + 補語(名詞 or 形容詞)」という形がたくさんあります。
be動詞の基本的な意味は「linking & existential 連結 & 存在」です。
第2文型 SVC の be動詞は「連結 linking」の機能を持っています。
そのためラテン語に由来する用語で「copula 連結詞 コピュラ」といわれることもあります。
be動詞の和訳はシンプルに「=(イコール)」や「~である」と理解するとうまくいきます。
【 第2文型 SVC の例文 】
① 補語に名詞
- My English teacher is English.
- 私の英語の先生は英国人だ。
- Nice is a city in France.
- ニースはフランスにある街です
- My little sister became a mother of four.
- 私の妹は4人の母になった。
「名詞 of 名詞」の形は「まとめて名詞」と理解するとうまくいくことが多いです。
前置詞 of 以外は「おまけ要素 M」になるのが前置詞の基本機能なのでご注意下さい。
② 補語に形容詞
- Your big sister is very kind.
- 君の姉ちゃんすごく親切やね。
- I am good with the faces.
- 私は顔を覚えるのは得意だ。
- This news is live now.
- このニュースはライブ配信だ。
- Your plan looks nice on paper.
- 君の計画は紙の上ではよさげに見える。
- His story sounds great to me.
- 彼の話は僕には素晴らしく聞こえる。
be動詞以外の SVC の動詞
例文の look / become / sound のように be動詞以外にも第2文型をとる動詞があります。
ほかの文型でも使用可能な動詞がほとんどなので、内容をよく見て判断してください。
- become(~になる)
- look(~に見える *外見)
- seems(~に見える *様子)
- taste(~の味がする)
- sound(~に聞こえる)
- feel(~と感じる)
- get(~になる ≒ ~な状態を得る)
- go(~になる ≒ ~な状態に向かう)
第3文型 SVO(主語+動語+目的語)
第3文型 SVO の構造
- 主語(S)動語(V)目的語(O)
- 主語は ~する 〇〇を
主語の行動と対象を表現する文型です。
英語の動詞は SVO パターンが圧倒的に多いので、英語を機能させる主力メンバーになってくれます。
数が多いだけあって別の文型をとる動詞も多くあるので、確認していきます。
【 第3文型 SVO 例文 】
- I live my life here.
- 私はここで自分の人生を生きている
- I walked my dog in the park yesterday.
- 私はその公園で自分のイヌを昨日、散歩させた。
- I will ring the bell on the New Year’s Eve.
- 私は大みそかに鐘をならすつもりでいる。
- He booked a guesthouse for us a week ago.
- 彼は私たちのために一週間前にゲストハウスを予約した。
絶対に知っておいてほしい「目的語」と「受動態」の関係
動詞を過去分詞に変化させると2つの機能を発動できます。
- 完了相 perfect aspect
- 受動態 passive voice
しかし目的語をとらない動詞(SV と SVC)の過去分詞には「受動態」は発動しません。
なぜなら「目的語 ⇒ 主語」の変換機能をそもそも発動できないからです。
ちゃんと英文法には「目的語をとる動詞 / とらない動詞」を区別した用語があります。
- 自動詞(intransitive verb):SV / SVC
- 他動詞(transitive verb):SVO / SVOO / SVOC
過去分詞の「受動態」は、変化前の動詞の文型によって決まるオプション機能です。
- 自動詞:過去分詞は「完了相」のみ発動
- 他動詞:過去分詞は「完了相」と「受動態」の両方を発動
第4文型 SVOO:主語+動語+目的語+目的語
第4文型 SVOO の構造
- 主語(S)動語(V)目的語(O)目的語(O)
- 主語は ~する 〇〇に △△を
行動の「相手」と「内容」をセットで表現できる文型です。
英語ではこのタイプの動詞を “ditransitive verb” といいます。
目的語の語順は「〇〇に ⇒ △△を」になります。
2つ目的語が連続するのですが、それぞれ別の文法用語があります。
- 1つ目(~に):間接目的語(Indirect Object)
- 2つ目(~を):直接目的語(Direct Object)
英語ではただ「名詞」が連続で並んでいるだけに見えます。
そこで「見た目」で区別がつかない代わりに「語順」で区別します。
- 間接目的語(1番目の O)⇒「〇〇に」
- 直接目的語(2番目の O)⇒「△△を」
英語は「語順」が意味を表す言葉なので、これを踏まえて確認していきます。
第4文型 SVOO の例文
- I will give you two the count of ten.
- 君たち2人に10を数える時間をあげよう。
- Don’t give me that look.
- 私にそんな表情をくれるな。
- (≒ そんな顔つきで僕を見るなよ。)
- She made you all some tea.
- 彼女が君たち全員にお茶を入れてくれたよ。
- 数が不明確⇒「いくつか」
- 量が不明確⇒「いくらか」
- 内容が不明確⇒「なんらか」
- He got everyone some food.
- 彼がみんなに食べ物をもってきてくれた。
第5文型 SVOC(主語+動語+目的語+補語)
第5文型 SVOC の構造
- 主語(S)動語(V)目的語(O)補語(C)
- 主語は ~する 行動の対象 ←説明を追加
目的語とその説明をセットで表現できる文型です。
英語ではこのタイプの動詞を “double transitive verb” といいます。
- 第2文型 SVC の「補語 C」は「主語の説明」
- 第5文型 SVOC の「補語 C」は「目的語の説明」
意味としては「目的語=補語」をひとまとめで理解するとうまくいきます。
第5文型 SVOC の例文
① 補語 C に名詞
- Tough times make you a stronger person.
- 苦しい時期は君をもっと強い人にする
- The queen named her baby daughter Snow White.
- 王妃は赤子の娘を「白雪姫」と名付けました。
- One mistake could make it the last.
- 1つの間違いがそれを最後の間違いにするかもしれない。
- (≒ 1つのミスが命取りになりえる)
② 補語 C に形容詞
- We found our teacher very difficult.
- 我々は自分たちの先生がひどく気難しいのだとわかった。
- Someday, I shall prove you wrong.
- いつの日か、私が君が間違っていると証明してみせるさ。
中学で習う “Shall I ~?” や “Shall we ~?” は古英語の用法に由来する表現です。
- Will you ~ ?(依頼)
- Shall I ~ ? (提案)
- Shall we ~ ?(勧誘)
- Keep your friends close and enemies closer.
- 仲間は近くに、そして敵はもっと近くにおいておけ。
第5文型を理解するコツ
SVOC パターンの動詞は、第4文型 SVOO や第3文型 SVO も同時に取れる動詞が多くあります。
わざわざ和訳を入れ替えていると、ネイティブレベルのリスニングスピードに対応できません。
そこで「目的語 + 補語」を丸ごとワンセットで受け止めるとうまくいきます。
「彼女=怒っている」という状況を作る
- He made her angry.
- 彼は彼女を怒らせた。
「私=間違っている」という内容を得る
- Don’t get me wrong.
- 僕のことを誤解しないでね
いろんな品詞の使用ルール
英語は英単語の形を変化させずに「語順」と「品詞の使用ルール」で意味を決めることができます。
そのため、単語を覚える量が少なくて済みます。
逆の言い方だと「英文の丸暗記にはほぼ意味がない」のです。
なぜなら「語順」と「品詞」の役割に英語のシステムの基礎が置かれているからです。
そこで「なんとなくの和訳」から「文の要素」と「品詞の使用ルール」をマスターした英語に切り替える必要があります。
あらゆることに応用できるものが本当の基礎です
英文法は覚えることは多そうですが、基本が固まれば、応用でいくらでも遊ぶことができます。
ジョークでもディスカッションでも、英語を自由自在にアウトプットしてもらえれば良いと思います。
英語の「基礎」は「文の要素」と「品詞」です。
ここをおさえることで英語をシステムとして機能させられます。
最初にあなたがなにかの分野や領域について学ぼうとするとき、とんでもない数のことを暗記なければいけないように見える。だが実はそんなことはしなくていい。
John T. Reed
やるべきことは、あなたが学ぼうとする分野や領域に常に強い影響を与えている中心的な原理や原則を見抜くことだ。だいたい3~12個ぐらいだ。
あなたが暗記すべきと思い込んでいた膨大な数のことは単に中心的な原理や原則を組み合わせたものにすぎない。
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