京都の中でも紅葉で有名な真正極楽寺(真如堂)さんに行ってまいりました。
紅葉は文句なしに美しいです。
もちろんそれだけでなく、お寺の歴史や言い伝えには仏教の強いメッセージを感じることができます。
またユニークなお庭など、紅葉以外にも見所満載です。
うなずきの弥陀 the Nodding Amitabha
真如堂さんに一年に一度だけ11月15日に一般公開される「うなずきの弥陀 the Nodding Amitabha」という阿弥陀様がいらっしゃいます。
この阿弥陀様は比叡山の第3代目のトップである慈覚大師円仁によって彫られた仏様です。
円仁さんが「比叡山の修行僧のための本尊になって下さい」とお願いされたところ阿弥陀様は拒否をされます。
「それでは都に下って、すべての人々をお救い下さい。特に女の人をお救い下さい」と言われたときに、阿弥陀様がうなづかれたことから「うなづきの弥陀」とも呼ばれているそうです。
仏教の本質は人々を救うこと
日本の仏教の歴史を学んでいると、権力とのつながりや純粋な学問としての要素は大きいと感じます。
しかし、それでもやはり「困っているひとびとを救う」という強烈なメッセージはかなり大きな位置を占めていたと感じることができます。
この真如堂さんもほかの多くのお寺のように戦乱で大きな被害をうけたことがあったそうですが、そのたびに復興されています。
それは真如堂さんに限らず人々の思いを仏教が受け止めていたからこそ、多くの人たちが復興に尽力したのだと思います。
「人々を救う。特に、インドなどの仏教では見捨てられがちだった女性を救う」というような思いを持った仏様、お坊さん、お寺が1000年以上前に確かに自分たちの文明の中に存在します。
天台宗の三代目の座主である慈覚大師円仁さんはあらゆる学問を納められた超インテリであると同時に「超行動派」です。
日本仏教を支えてきた高僧たちのなかにも幕末明治の志士と同じく思想を高く持ち、現実世界で価値を生み出すことにフォーカスし、「世のため、人のため」とハードワークをしてきた方々がたくさんいたのです。
「学問と実践」「知と行」「文武両道」
言葉や時代は違えども、このような理論と実践のフィードバックループを回して成長するスタイルこそが今も昔も変わらず目指すべきモデルだな、と思います。
涅槃の庭 Nirvana Garden
真如堂さんには「涅槃(ねはん)の庭 Nirvana Garden」というお庭があります。
Nirvana(ニルヴァーナ)は「煩悩が吹き消された blown out」を意味するサンスクリット語ですが、英語でも「nirvana」で使います。
写真ではわかりにくいのですが、借景(borrowing landscape)になっている背後の山がお釈迦様が横になっておられる姿に似ていることから「涅槃の庭」となったとのこと。
借景の美学 Aesthetics of Borrowing Landscape
借景のとても重要なコンセプトは何かというと「人間のつくる美と自然の生み出す美の本質は同じ」という感覚が働いているということです。
日本人の美的感覚は自然と調和する生き方を通して培われてきたものです。
一方で西洋哲学では「理性と論理を通して自然を理解し、人間の都合に合わせて征服し利用する」という発想があります。
だからこそ左右対称や直線を多用した幾何学模様などによる「美」が評価されていたわけです。
日本的な美意識は人間も自然も「和を以て美となす」です。
随縁の庭 Zuien Garden
「幾何学模様=欧米の美意識」という話をしておいてなんですが、実はこれまた珍しい「幾何学模様の近代日本庭園」が真如堂さんにあります。
重森千青さんが仏堂の家紋にちなんでデザインにされた「隨縁の庭 Zuien Garden」です。
隨縁とは「縁に従うこと」という意味だそうです。
家紋は幾何学模様ではありますが日本のものですので、近代的なデザインであり日本的な美しさでもあります。
ちなみに家紋は英語で「family crest」と言います。
欧米には「coat of arms」という家紋に似たものがあります。
ライオンやドラゴンなどを旗などのいろいろな形を組み合わせたものが代表的ですね。
家紋に限らず、国や個人、団体のシンボルとして使われています。
真如堂(真正極楽寺) に関連する英語表現
天台宗: Tendai sect
阿弥陀如来: Amitabha Buddha
阿弥陀さまの名前はサンスクリット語の「アミターバ(無限の光)」もしくは「アミターユス(無限の寿命)」から来ています。
うなずきの弥陀: the Nodding Amitabha
木造立像: wooden standing statue
座像は seated statue です。動詞 seat は「座らせる」という意味なので、過去分詞 seated にして「座らされた=座った」という受動態でつかいます。
本尊: principal image
仏像の「像」が image ですね。
念仏行者: ascetic monk chanting Buddhist invocation
ascetic は「禁欲的な」 という意味です。
不断念仏: chanting a prayer to the Buddha all day long without a break
break は「壊す」と習いますが、本質的なイメージは「本来ある形にひびを入れる」ような感じです。それゆえ「休憩」の意味でも使えます。
衆生(しゅじょう): common people
涅槃図: painting of Great Nirvana
nirvana はサンスクリット語ですが、英語でも通じます。
枯山水庭園: dry-landscape garden
沙羅双樹:sal-trees
sal だけで検索しても「サラノキ(植物)」としかわかりませんでした。「お釈迦様が沙羅双樹のもとで入滅された」ということを知らなければわからないですよね。
足利幕府: Ashiakaga Shogunate
日本の「将軍」って英語で「general 軍司令官」にするには厄介な立ち位置なんです。実際は京都には天皇という正当な日本のトップがいるのですから「(将軍が実権を握る) 幕府」は「軍事政権」ですよね。
日本の幕府はあくまでも戦場の将軍が権限を大きく拡大していったもので政治の権威は朝廷にある、という特殊な事情を示すために shogunate がおそらく使われているのでしょう。
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