英語に未来時制はない?will と be going to が未来を意味する理由

英語の「未来の文」がよくわからなくなった経験はありませんか?

私自身も日本の英文法解説にある「未来の文」が何が言いたいのかわからない時期がありました。

実は「英語の未来」にはすこしややこしいカラクリが隠れているんです。

というわけで、それをこれから解明していこうと思います。

一般的に「未来 future」と呼ばれる文は、次の2つの形で解説されます。

  • We will go there again.
  • 我々はもう一度そこにいくつもりだ
  • They are going to come here again.
  • 彼らは、もう1回ここにやってくるだろう

これら willbe going to をつかった文が、英語で「未来」を表現する一般的な形です。

この will は単に「助動詞 auxiliary verb」と呼ばれることが多いのですが、より正確には「助動詞 modal auxiliary verb」といいます。

法助動詞の「法 mood」とは「話し手の判断・認識」を意味する文法用語です。

英語ではこの「」という文法用語で示す「話し手の認識・判断」が未来と深く関係しています。

その理由は後ほど解説しますので、ここでは「法助動詞 will」という用語だけしっかりと覚えておいてください。

英語の「未来時制」はヘンテコな形

さて、これらの未来を表現する文は「未来時制 future tense」とも呼ばれています。

この「時制 tense」という言葉は「行動がいつ起きるものなのか?」を表現する文法用語です。

一般的に英語の時制とされるのは次の3つです。

  1. 現在時制 present tense
  2. 過去時制 past tense
  3. 未来時制 future tense

我々の日常の感覚なら、この3つの区別はわかりやすいかと思います。

  • 今のこと ≒ 現在
  • これまでのこと ≒ 過去
  • これからのこと ≒ 未来

しかし英文をみるとそんな単純な話では終わりそうにありません。

実際に「未来の文」だけがなにやらヘンテコな形をしています。

それは「現在時制」や「過去時制」と並べると一目瞭然です。

  1. Alex knows the answer.(現在
  2. Becky knew the answer.(過去
  3. Charlie will know the answer.(未来?
  4. Debra is going to know the answer.(未来?

現在過去の場合は「動詞の形」でそれぞれ表現しています。

それなのに未来の文では willbe going to がいきなり出現します。

さらに法助動詞 will が「未来形」になるのであれば、さらに困った事態になります。

法助動詞 will の「過去形」は would ですから、ほかの法助動詞と同じように理解できなくなってしまいます。

英語は動詞も法助動詞も「現在形」と「過去形」の2つに分かれます。

  1. 法助動詞の現在形
    • can
    • may
    • shall
    • must
  2. 法助動詞の過去形
    • could
    • might
    • should

そうなると will や would に関して、次のような疑問が湧いてきます。

  1. なぜ法助動詞 will だけが「未来形」なのか?
  2. 法助動詞 will の過去形である would はどう理解すればよいのか?

さらに be going to にも大きな問題があります。

未来時制と言いつつ、この表現で be動詞を「過去形」に変えた文章は当たり前のように存在するからです。

  • I am going to do it.
  • 私はそれをするつもりです。
    • be動詞は現在形
    • よくある英語解説では未来時制
  • I was going to do it.
  • 私はそれをするつもりでした。
    • be動詞は過去形
    • 普通に考えると過去時制になりそうです

こうなるとまた疑問が湧いてきます。

  1. be going to の中で、どの部分が「未来」になるの?
  2. be動詞が「過去形」でも「未来」と関係あるの?

このように「未来形」や「未来時制」はまともに考えるとうまくいかないことだらけです。

これでは『英語の「未来」ってどうなってんの!?』となるのも当然です。

ですがご心配には及びません!

なんと実は、英語から「未来時制」を消してしまうことが可能なんです!

ではこんなことができるカラクリを一緒に見ていきましょう。

英語の「未来時制」に2つの視点

まず文法に関して、とても重要なことをお伝えします。

そもそも全ての言語に通用するカンペキな文法解釈はありません

英語の中でも様々な視点が存在して、議論が分かれているものもあります。

かといって自分勝手なことを言っていいわけではありません。

なぜなら英単語には「品詞 part of speech」という単語の使用ルールがあり、これに合わせて文を組むのが基本ルールだからです。

これは英語の仲間であるヨーロッパ系言語でも、ごく当たり前の文法解釈の前提となります。

とはいえ現実の英語にはイディオム古い表現そして新たに生まれた用法なども混ざっています。

それゆえ品詞のルールに合わせた基本の仕組みだけではキレイに文法説明できないところもあります。

そこで文法を解釈する中心軸になるのは、次の2つの視点です。

  1. 意味論文法 semantics
    • 意味・ニュアンス重視の文法解釈
  2. 統語論文法 syntax
    • ルール・システム重視の文法解釈

これらは対立するものではなく、言葉を理解するための大きな2つの視点と考えてください。

  • 統語論文法が有効:基本応用
    • 品詞の使用ルールで理解できるので広範囲で機能する
  • 意味論文法が有効:例外 & 特殊表現
    • 品詞の使用ルールから外れた表現への対処になる

言語の構造を理解する場合は統語論」と「意味論」を連携させると効果が高いです。

しかし私見では、日本の英文法解説は何でも「意味論文法 semantics」がベースになっています。

そのため「英文と和訳」がずらずらと並び、ちょっと基本から外れるだけでも苦し紛れに思える解説が目立ちます。

一方で「統語論 syntax」の視点をもてば、品詞の仕組みや文の構造を重視した解釈も可能です。

イディオムや例外表現を除いた部分では「統語論 syntax」だけでもかなり複雑な文も正確に作れます。

そのため「和訳」をムリヤリ覚えなくても「英語のカラクリ」の中心部が見切れるようになります。

もう一度、英語の未来表現を見てみましょう。

  1. Alex knows the answer.(現在
  2. Becky knew the answer.(過去
  3. Charlie will know the answer. (未来
  4. Debra is going to know the answer.(未来

英語の未来だけが面倒な形をしていますよね?

その理由はカンタンです!

英語の未来がややこしい理由は・・・

動詞が未来形に変化しないから

・・・ってだけなんです。

そもそも厳密な文法解釈では「時制は動詞の形で表す」というものがあります。

そのため英語には未来形変化がないため「英語に未来時制は存在しない」という解釈も可能になるんです。

つまり「未来時制に2つの視点」を持つことができます。

  1. 英語に未来時制がある意味論文法 semantics)
    • 未来表現を「未来時制」と柔軟に解釈する
  2. 英語に未来時制がない統語論文法 syntax)
    • 英語の動詞に「未来形」が存在しない

そのため英語の未来時制は人によって解釈が分かれるポイントになっています。

ですが前述のように英文法にたった一つのカンペキな正解を期待しなくても全然OKです!

なぜなら「意味論文法 semantics」と「統語論文法 syntax」の両方をうまく組み合わせれば、英語の未来表現はちゃんと理解できるからです!

ではここから時制 tense」の仕組みから探っていきましょう。

時制は「動詞の形」で表現する

文法用語の「時制 tense」とは、ある言語が「動詞の形 verb form」で「行動が起きる時」を表現できる機能の1つです。

要注意のポイントとしては「時制 tense」は、我々が日常的に考える「時間 time」の感覚と合わない場合があります。

なぜなら「時制」はあくまでも「言語に備わっている機能」にすぎないからです。

そのため言語によって発動可能な「時制」に違いが生まれます。

実際に英語の Wikipedia の記事を参照してみましょう。

In grammar, tense is a category that expresses time reference. Tenses are usually manifested by the use of specific forms of verbs, particularly in their conjugation patterns.

時制とは(動詞が示す行動の内容が)いつのことなのかを表現できる文法上のカテゴリーです。 通常、時制は動詞のもつ変化形のパターンの中から特定の形の使用することよって明示されます。』

*()内は補足

Grammatical tense – Wikipedia

英語をはじめヨーロッパ系言語の動詞は「主語 subject」や「時制 tense」などに合わせて変化します。

  • I am here.(一人称数・現在時制)
  • I was here.(一人称数・過去時制)
  • We are here.(一人称数・現在時制)
  • We were here.(一人称数・過去時制)

このような動詞のカラクリは、英語とその仲間たちのもつ「言語の仕組み」としてご理解ください。

そのため「時制 tense」を発動させるためには、それに対応する「動詞の形 verb form」が存在する必要があります。

  1. 動詞に現在形がある ⇒ 現在時制が発動可能
  2. 動詞に過去形がある ⇒ 過去時制が発動可能
  3. 動詞に未来形がある ⇒ 未来時制が発動可能

これを逆に言うと動詞の変化パターンにない時制は発動できないことになります。

では時制の仕組みが英語の未来時制にちゃんと機能するのか調べてみましょう。

英語の動詞の機能を調べるのに一番適任なのは be動詞です。

英語の動詞の中でもっとも形が変化する be動詞をみれば、未来形の有り無しはすぐにわかります。

  • 原形:be
  • 現在形:am, are, is
  • 過去形:was, were
  • 未来形:なし

こうみると当然ですが、英語の be動詞には「未来形」がありません。

もちろんほかの英語の動詞にも「未来形」は存在しません。

そのため「動詞に未来形がないので、英語に未来時制が存在しない」という解釈が可能というわけです。

ここで注意ですが、英語以外の言語をみると「未来時制」は特にめずらしい物ではありません。

例を挙げると、フランス語動詞は未来形に変化します

つまりフランス語には正真正銘の「未来時制」があるということです。

ではここからフランス語の力を借りて、未来時制の仕組みをみていきましょう。

フランス語には未来時制がある

イギリスとフランスはドーバー海峡を挟んで位置するヨーロッパのご近所さん同士です。

一見するとよく似た仕組みや語源の同じ単語をたくさん共有しています。

しかし2つの言語は成り立ちが大きく異なった歴史を持っています。

詳しく学ぶと、英語とフランス語では単語や文法でも大きく異なる点もあり、同じスペルなのに意味が全く違う言葉もかなりあります。

そのためフランス語をみると、英語に存在しない「未来時制」の仕組みを学ぶことができます。

ではまず「未来時制 future tense」の定義を知るため、英語 Wikipedia を参照してみます。

In grammar, a future tense is a verb form that generally marks the event described by the verb as not having happened yet, but expected to happen in the future.

『文法において未来時制とは、一般に動詞で表現する出来事について、まだ起こっていないけれども、これから将来起こることが予期されるものを示す動詞の形です。』

Future tense – Wikipedia

まず「未来時制 future tense」を発動するのは「動詞の形 verb form」です。

注意としては未来時制があるとはいうものの、それで「未来の話」ができるわけではありません。

あくまでも会話の時点から見て「まだ起こっていないけれども、これから将来起こることが予期されるもの」になります。

つまり「未来のことを話し手が存在する時点から述べる」という感覚を忘れないでください。

そしてフランス語に「未来時制」があることが意味するのは、動詞が未来形に変化するということです。

French conjugation - Wikipedia

ではフランス語の「一人称単数の代名詞 je(英語の “I“)」を主語にして、英語との違いを見ていきます。

まず現在時制の場合は、フランス語の動詞 visiter(原形)が visite(現在形)になります。

  • I visit the Louvre.(英)
  • Je visite le Louvre.(仏)
  • 私は 訪れる ルーブル美術館を。

英語でもフランス語でも、現在時制の場合はほぼ同じ構造です。

次にフランス語の未来時制ですが「これから起こることが予期されること」を示す動詞の未来形を使います。

フランス語は visiter(原形)を visiterai(未来形)に変化させればOKです。

ところが英語の動詞には未来形がないので「法助動詞 will 動詞の原形」で置き換えることになります。

  • I will visit the Louvre.(英)
  • Je visiterai le Louvre.(仏)
  • 私は 訪れるつもり ルーブル美術館を。

このようにフランス語の動詞には未来形が基本の仕組みとしてセットされています。

たとえば be動詞に相当する être(原形)も serai(未来形)のように変化します。

  • I will be in Paris.(英)
  • Je serai à Paris.(仏)
  • 私は いるでしょう パリに。

このように言語によって動詞に未来形がある場合とない場合があります。

そうなると英語とフランス語の「未来時制」を同じように考えることは難しそうです。

そのため英語の未来表現を考えるうえで、言語のグループという視点が参考になります。

ゲルマン語とロマンス語の未来表現

まず英語に近い親戚のヨーロッパ系の言語は大きく2つのグループに分かれます。

  1. ゲルマン語グループ Germanic languages
    • 英語 English(英)
    • ドイツ語 German(独)
    • オランダ語 Dutch(蘭)
  2. ロマンス語グループ Romance languages
    • フランス語 French(仏)
    • スペイン語 Spanish(西)
    • ポルトガル語 Portuguese(葡)
    • イタリア語 Italian(伊)

西ヨーロッパの地理でいうと「のあたりがゲルマン語」と「のあたりがロマンス語」ぐらいの大まかな感覚でも大きな間違いではないかと思います。

これらは元々の成り立ちが異なる言語グループなので、昔から使っている言葉や文法の仕組みにそれぞれの個性が残っています。

そして「動詞の未来形」をみても、2つのグループの区別は分かれます。

  1. ゲルマン語グループ英語など)
    • 動詞が未来形に変化しない
    • 厳密に言うと未来時制が存在しない
  2. ロマンス語グループフランス語など)
    • 動詞が未来形に変化する
    • 正真正銘の未来時制が存在する

動詞に未来形が無いのは英語を含めたゲルマン語グループ(Germanic languages)の特徴です。

そのため英語と同じくドイツ語にもオランダ語にも「動詞の未来形」はありません

German conjugation - Wikipedia
Dutch conjugation - Wikipedia

そのため「動詞の未来形を使わずに未来表現をする」という仕組みを持っています。

その際に重要になるのが「現在 present」という視点になります。

ではここから「現在」から未来表現が生まれるカラクリを解説していきます。

英語の「未来」は現在から見る

まず次の2点を確認しておきます。

  1. 英語に「未来時制を表す動詞の形」は存在しない
  2. 英語に「未来を表現する方法」は存在する

これを踏まえて英語の Wikipedia の「Future tense(未来時制)」をみていきましょう。

“English does not have an inflectional future tense, though it has a variety of grammatical and lexical means for expressing future-related meanings.

『英語には動詞を変化させて表現する未来時制(an inflectional future tense)が存在しません、とはいえ未来に関連することを表現したい場合、文法的な方法でも語彙的な方法でも様々なものがあります。

Future tense – Wikipedia

ちょっと難しい言い方をしていますが、内容はシンプルです。

英語の動詞には未来形がないので、他のやり方で「未来表現」をつくります!

そのためどんなことになるかというと・・・

英語で未来を表そうとすると、バラバラな表現の寄せ集めになってしまう!

そもそも英語の未来表現の解説がわかりにくい原因は、そもそも寄せ集めグループだったからなんです。

とはいえちゃんと「未来を表現する共通点」が存在します。

では英語の Wikipedia を参照してみましょう。

The “future” expressed by the future tense usually means the future relative to the moment of speaking.

『未来時制で表される「未来」は、通常は発話時点からみた相対的な「未来」を意味します』

Future tense – Wikipedia

さきほどのフランス語の時にみた未来時制の解説と並べてみます。

  • 発話時点から見た相対的な「未来」
  • これから起こることが予期されること

どちらも「未来の時間の話」は一切していないですよね?

ここで少し寄り道をして、漢文の書き下し文で「未来(みらい)」を読んでみます。

  • 未だ来ず(いまだこず)
  • 未だ来たらず(いまだきたらず)

どちらも「まだ起こっていない」という意味になります。 

重要なポイントは「現在からみた未来」という視点ですが、これには漢字と同じ感覚が通用します。

そして未来形を持たない英語でも動詞の「現在形」を応用して未来表現をつくります。

では未来形のある言語とない言語をいくつかみてましょう。

未来表現方法:法助動詞と動詞の未来形(英・独・仏・羅・世)
未来表現方法:法助動詞と動詞の未来形(英 独 蘭 仏 羅 世)

事実、英語やドイツ語も含めたゲルマン語の現在形には「現在未来」のことをゆるく表現できるため「非過去 non-past」という言い方もあります。

  1. 現在 present ⇒ 非過去(non-past)とも呼ぶ
  2. 過去 past

なぜなら動詞の「現在形」が意味する範囲は「現在」のことだけではないからです。

では実際に「現在」が法助動詞 willbe going to とどう関係しているのか?をみていきましょう。

① 法助動詞 will

英語の未来表現で一番よく見る「法助動詞 will」を見ていきます。

まずここで誤解を招きがちな文法用語の定義を確認しておきます。

  1. : mood
  2. 助動詞: auxiliary verb

まず「法 mood」ですが、ラテン語で「手段、方式」を意味する modus(英語の mode)に由来します。

日本の英文法用語でも「仮定 subjunctive mood」で使われている「 mood」のことです。

つまり英文法の「 mood」とは「話し手の判断・認識を伝える方」という意味です。

そのため「話法」や「叙法」とも日本語に訳されることもありますが、どれも文法用語の「 mood」を意味しています。

では次に「助動詞 auxiliary verb」の意味に進んでいきます。

日本の一般的な英語解説でよくみる「助動詞」の解釈は誤解を招きがちです。

実際に「助動詞」は英語で auxiliary verb という動詞の一種の扱いです。

  • auxiliary 補助的な
  • verb 動詞

英語の助動詞は「助ける動詞」という意味なんです。

この助動詞の解釈は英語だけでなくドイツ語やフランス語などでも共通です。

英語と日本語の助動詞の解説をみていると解釈に違いがあるので、絶対にしっかり区別してください。

  1. 助ける動詞(英語の助動詞の意味)
  2. 動詞を助ける(日本語でよくみる助動詞の解説)

英語の助動詞が「助ける動詞」である理由の解説はこちらをどうぞ。

とはいえ現実をみると法助動詞 will や can などは普通の動詞のようには使いません。

その理由は法助動詞の使い方が昔と変わってしまったからです。

1000年ほど前までの英語は「古英語 Old English」と呼ばれていて、実は現代英語よりも現代ドイツ語に近い文法をもっている言語になります。

英語の歴史についてはデュオリンゴのブログがとても参考になります。

Where did English come from?
Ever wonder why English shares a few words with the language you're learning? Find out why in this week's Dear Duolingo!

古英語では法助動詞普通の動詞と同じように機能していました。

例えば法助動詞 can「~のやり方を知っている」という意味の動詞でした。

そして古英語では「動詞の原形 base form」は名詞用法(~すること)でした。

これは英語の「不定詞 infinitive」が「to + 動詞の原形」になっている理由ともつながっています。

では古英語の文法解釈を確認します。

  1. can do動詞名詞
    • ~することの方法を知っている
  2. to do前置詞名詞
    • ~することの方向へ

現代英語の「動詞の原形」は古英語から変化した使い方になっているので、なんともとらえどころがないのが実情です。

英語の不定詞が変化してきた経緯の解説はこちらをご覧ください。

さて法助動詞 will は「~することを願う」という古英語の動詞 willan から派生して生まれました。

つまり法助動詞 willwantwish のような意味合いの動詞として機能していたんです。

法助動詞はゲルマン語グループで語源を共有しているので、似た形になっています(意味はそれぞれ違うので注意!)。

  • 現在英語 will
  • 古英語 willan
  • ドイツ語 wollen
  • オランダ語 willen
willan - Wiktionary, the free dictionary

古英語の時代は、すべての法助動詞は「普通の動詞」と同じように機能していました。

もちろん will 以外の法助動詞の語源もよく似ています。

法助動詞の語源:英語・独語・蘭語 will shall can may must
法助動詞の語源:英語・独語・蘭語 will shall can may must

ではもともと動詞だった will が未来表現になった背景を見ていきましょう。

そもそもの話として「未来は不確定」という前提があります。

英語の Wikipedia の「Future tense 未来時制」を引用します。

The nature of the future, necessarily uncertain and at varying distances ahead, means that the speaker may refer to future events with the modality either of probability (what the speaker expects to happen) or intent (what the speaker plans to make happen).

『未来の性質そのものが、必然的に不確実であり、どの程度先のことなのかについても異なる距離感があるため、話し手は「見込み probability(話し手が起こると予期するもの)」もしくは「意図 intent(話し手が起こそうと計画するもの)」のいずれかの「(modality ≒ mood)」をつかって未来の内容を示すことになりうる。』

Future tense – Wikipedia

現代英語の法助動詞は「助ける動詞」であることよりも「 mood(話し手の判断・認識)」に中心的な役割が移りつつあります。

そのため次のような解釈の変化が生まれました。

意図や願望(動詞 willan)⇒ 未来への意志(法助動詞 will)』

また現代英語の法助動詞は「動詞の原形とペアでしか使えない」ので、文法解釈も変わります。

  1. I will run there.(古英語の解釈)
    1. 私は 意図する 走ること そこで。
  2. I will run there.(現代英語の解釈)
    1. 私は 未来へ向けて 走るつもり そこで。

このように「現在から未来への意志」という形を応用して「未来時制の代用」になっていたんです。

ただ will は「未来時制の代用」の専用表現ではありません。

話し手の「意志」を現在時制で表現できることに変わりはありません。

  • If you don’t tell him, I will.
  • もし君が彼に言わないなら、僕が言う。

ここに法助動詞 will を追加することはよくあります。

  • If you will not tell him, I will.
  • もし君が彼に言うつもりがないなら、僕が言う。

これはそもそも will が未来表現も含めた「意志」に意味の重点をもっているからです。

私たちの日常の感覚では「未来」は「現在から進んだ先に起こること」です。

しかし文法の仕組みでの「未来」とは「発話時点から起こりそうだと思うこと」なのは忘れないでください。

そのため法助動詞も2種類の時制に合わせて使用可能です。

  • will:現在からの未来への意志
  • would:過去からの未来への意志

注意点として、英語の法助動詞の過去形の意味する範囲は広く、あいまいな表現を担当します。

ここでは触れませんが、これは法助動詞の特徴なので「時制 tense」よりも mood」の機能を優先させて理解することを覚えておいてください。

② be going to

では次に「未来表現」をつくる be going to を見ていきます。

元々の成り立ちは going to do の形は「~するために外出する」という表現でした。

そのため文の構造は「未来時制」というよりも「現在時制」にしか見えないような表現となります。

  1. am going to the place.
    • 私は ○○である 向かっている その場所へ
  2. am going to do it.
    • 私は ○○である 向かっている する方向へ それを。
    • 私はそれをするつもりです

このように「be going to do(不定詞)」は複数の単語の連係表現です。

もちろん「統語論文法 syntax」の視点で理解することも可能です。

ではパーツごとに分解して解釈してみます。

  1. be ⇒ ホンモノの動詞
  2. going ⇒ 現在分詞
  3. to do ⇒ 不定詞

英語の「時制 tense」は動詞で表現していました。

一方で現在分詞不定詞には「行動の進行度」を意味する機能があります。

この機能は文法用語で「相 アスペクト Aspect」として説明されます。

  • 現在分詞 going(向かっている)
    • 進行相 Progressive Aspect
    • 行動が進行している
  • 不定詞 to do(~する方向へ)
    • 未然相 Prospective Aspect
    • 行動が行われる予定

つまり be going to do は「○○する予定で進行中です」という意味です。

また英語の「相 aspect」については過去分詞が発動可能な「完了相 perfect aspect」も重要です。

分詞の機能は「相 aspect」だけではなく「態 voice」と合わせて確認ください。

英語の不定詞・現在分詞・過去分詞の「相 aspect」と「態 voice」
英語の不定詞・現在分詞・過去分詞の「相 aspect」と「態 voice」

不定詞のもつ「未然相 prospective aspect」はあまりなじみがないかと思われます。

ところがラテン語、サンスクリット語そしてエスペラント語などには「未来分詞 future participle」が存在します。

たとえばラテン語は「動詞の未来形」と「未来分詞」のどちらも持っています。

では参考にいくつか比べてみましょう。表現はいろいろありますが、ほぼ同じような機能を発動可能です。

未然・進行・完了分詞:英語・ラテン語・エスペラント語
未然・進行・完了分詞:英語・ラテン語・エスペラント語

これらのラテン語などの未来分詞の英訳には不定詞がよく利用されます。

Latin syntax - Wikipedia

それは「~する方向へ(未然相)」という英語の不定詞の機能がうまく合うからです。

そのため「話し手の意志」よりも「行動の予定」というニュアンスがつよくなる場合があります。

もちろん「現在から未来へ向かうこと」に限定された表現ではありません。

そのため be going to do を「過去時制 past tense」で使うこともできます。

  • was going to do it.
  • 私は ○○であった 向かっている する方向へ それを。
  • ⇒ 私はそれをするつもりでした。

このように不定詞 to do のもつ「~する方向へ」は現在時制過去時制のどちらでも機能します。

この表現も「時制は動詞の形で決まる」という原則に従います。

  1. I am going to do it.
    • 現在時制未然相
  2. I was going to do it.
    • 過去時制未然相

2つの時制とあわせて使用可能です。

次のブログでは be going to do の文法解説(統語論文法 Syntax)を詳しく載せています。

ちなみにフランス語にも「近接未来 near future」と呼ばれる英語の be going to と似た表現があります。

フランス語の動詞 aller(英語の go に相当)に動詞の原形をつなげば「近接未来」を発動できます。

つまりムリヤリ英語に置き換えて言うと動詞 go のすぐあとに動詞の原形を置くだけになります。

  • I am going to buy a chocolate cake.(英)
  • Je vais acheter un gâteau au chocolat.(仏)
    • 動詞の原形 aller は不規則変化をして現在形 vais になっています
  • 私はチョコレートケーキ(ガトーショコラ)を買うつもりです。

フランス語でも現在時制の動詞を使って「現在から~することへ向かう」という表現が可能です。

英語でもフランス語でも「現在から進む先にある」という未来の感覚が共通なのがお判りいただけると思います。

③ 現在時制(非過去)

最後に現在形がそのまま未来表現になる例をお伝えします。

さきほど現在時制は「非過去 non-past」と呼ばれることがよくあるとお伝えしました。

その理由は英語やドイツ語のようなゲルマン語の動詞には「過去~現在~未来」という区別ができないからです。

ですので英語の動詞の時制を理解する視点は2つにまとめるとうまくいきます。

  1. 動く
    • 現在時制(非過去)
  2. 動かない
    • 過去時制(過去)

文法用語の「現在」と「過去」は、時間そのものよりも「動詞の機能を分類するための用語」としての意味あいが強くなります。

この2つのイメージを持っておくと柔軟に対応できるます。

動詞と分詞:現在時制と過去時制 & 現在分詞(進行相)と過去分詞(完了相)
動詞と分詞:現在時制と過去時制 & 現在分詞(進行相)と過去分詞(完了相)

未来時制はロマンス語であるフランス語やイタリア語を学ぶときには便利です。

しかしゲルマン語である英語やドイツ語を学ぶなら、時制は2つだけにしたほうが、文法的にも感覚的にも理解しやすいです。

実際に英語 Wikipedia から「非過去 non-past」について書いてある記事を参照してみます。

English has only two morphological tenses: the present (or non-past), as in he goes, and the past (or preterite), as in he went. The non-past usually references the present, but sometimes references the future (as in the bus leaves tomorrow).

『英語には動詞の形を変えて表現する時制は2つしかありません。1つ目は現在(または非過去)であり、もう1つ目は過去(または点過去で、それぞれ “he goes” と “he went” のようになります。通常「非過去」は現在を示しますが、未来を示すこともあります。例を挙げると “the bus leaves tomorrow.” となります。』

Grammatical tense – Wikipedia

このように非過去 non-pastであれば「現在~未来(まだ動くこと)」のようにとらえることができます。

  • We go hiking tomorrow.
    • 我々は 行く ハイキングに 明日。
  • The press conference starts at 5:30.
    • その記者会見は はじまる 5時半に。

このように話し手が未来のことに確信をもって伝える表現では、現在形動詞をよく使います。

これは「現在時制」が「現在のこと」だけにきっちり限定されているわけではないことを意味します。

話し手が「当然そうなることは明白だ」と判断すれば、未来であっても現在時制(非過去)で表現するのは自然なことなんです。

ここで「非過去」つまり「その行動はまだっていませんよ」という大きな視点でとらえるとうまくいきます。

  • 現在:いま動く(過ぎ去っていない)
  • 未来:これから動く(過ぎ去っていない)

こうしてみると現在と未来がよく似ているのが感覚的につかめるかと思います。

これと似たような仕組みで「現在分詞 present participle」をつかった「進行相 progressive aspect」と連携した表現でも未来を表することが可能です。

行動が進行近い未来に実現する

では例文を見ていきます。

  • Our coming of age ceremony is coming soon.
  • 私たちの成人式がすぐにやって来るね

英語と日本語がうまく対応しないのですが、それもそれぞれの言語の特徴です。

現時点でだんだんとその動作が実現する方向へ進行中だととらえればわかりやすいかと思います。

時制は「時間の感覚」や「文法」などから自動的に決まるのではなく「話し手が表現を選択する」ということを覚えておいてください。

Whether future expression is realis or irrealis depends not so much on an objective ontological notion of future reality, but rather on the degree of the speaker’s conviction that the event will in fact come about.

未来表現現実的に起こりそう(事実法 realis mood)なのか、それとも起こりそうにない(非事実法 irrealis mood)のか、についてどちらの「法 mood」を採用するかは、未来に実際に起きることに対し話し手がもっている客観的な認識にはそれほど依存しておらず、むしろその出来事が実際に起こりそうかについて、話し手の意見やそれを信じる度合いに準拠する。』

*かなり意味を補って、かつ意訳してあるので注意ください。

Future tense – Wikipedia

未来表現は英語の動詞の形でわかる「時制」だけをみていてもうまく理解できません。

まして和訳に頼ってもあまりいい結果にはならないと思います。

我々一人一人が「自分の意図を適切に表すにはどんな表現がいいかな?」と普段から考えて英語と向き合っていくのが最善だと考えています。

複合時制 VS 時制・法・相

ここまでいろいろな未来表現は「現在時制」から応用された表現だとわかりました。

ところが日本でよくみる英語解説では「未来時制」が詳しく解説されているものは少ない印象です。

なぜなら日本で「時制」と呼ばれるものは実際には「複合時制 compound tense」という解釈だからです。

実際に英語 Wikipedia にも解説が載っています。

In some contexts, particularly in English language teaching, various tense–aspect combinations are referred to loosely as tenses. Similarly, the term future tense is sometimes loosely applied to cases where modals such as will are used to talk about future points in time.

『一部の領域では、特に英語教育では、さまざまな時制と相の組み合わせ大まかに時制と呼ばれます。 同様に「未来時制」という用語は、将来の時点について話すために will などのが使用される場合に大まかに適用されることがあります。』

Grammatical tense – Wikipedia 

ここまで見たように「時制・相・法 tense aspect mood」の組み合わせが「時制」として扱われています。

もちろん英文法では「未来完了進行形」などを「時制」としてとらえているものもあります。

日本でよくみる英語解説であれば、むしろこちらの解釈にしか出会う機会はないかもしれません。

ですがこれは初心者向きに分かりやすさを優先した「時制」のゆるい解釈で「複合時制 compound tense」と呼ばれます。

複合時制は「完了相」や「進行相」という「相 Aspect」まで「時制」に組み込んだ表現です。

フランス語などロマンス語のグループは時制と相の違いが曖昧であり、未来時制もあるので、このような理解のほうが都合がいいんです。

ところが英語は「法・時制・相」を別々の単語を連携させて発動する言語です。

そのため単語同士が連携する仕組みを「時制」でまとめるとどこかで無理が生じます。

  • 未来完了形: I will have done it. 
  • 仮定法過去完了: I would have done it, if I had been there.

こうなってしまうとなにがなんだかわからないのは当たり前です。

そのため英語は「動詞の機能」を連係する仕組みとして解釈することで、理解しやすくなります。

詳しくはこちらのブログを参考にしてください。

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