歴史を訪ねて英語を学ぼう(島根・石見銀山)

英語で日本を学ぼう

島根県にある石見銀山に行って参りました。

世界遺産に登録されているだけあって、地区全体の景観にも歴史的な重要性にも、行ってはじめて感動をうけました。

ぱっと見わかるような壮大な建築物や雄大な自然もいいですが、こういうシブい世界遺産もやはりいいものです。

なにより歴史を縦の出来事のつながりではなく、銀という経済の基盤となるものに視点をもつことで、そこから広く深いテーマが生まれます。

そして石見銀山の歴史は大航海時代へつながっていきます。

大航海時代 Age of Discovery

この時代まではシルクロードを中心としてユーラシア大陸における東西交易が中心でした。

しかし科学の発展などにより海洋航路をつかって世界規模でおこなわれることになり、その時代を大航海時代と呼びます。

日本では「室町末期~戦国~安土・桃山~江戸初期」にあたります。

その当時は日本国内でも、海外との交易がとても盛んであった時期であり、様々な勢力が覇権を争っていた時期でもあります。

当然、石見銀山は世界との貿易においても、日本国内の勢力争いにとっても、非常に重要視されていました。

毛利をはじめとする中国地方の大名も、その後に天下人となる秀吉も家康も石見銀山を直轄地におくなどとても重要視していました。

ヨーロッパの地図に石見銀山

16世紀~17世紀にかけては世界で産出する銀の3分の1は日本産の銀で、そのほとんどは石見銀山からのものと言われているようです。

当時のヨーロッパで作成された地図にも石見銀山は掲載されています。

学校で「日本史」「世界史」などという分け方で勉強しても歴史は見えてきません。

石見銀山の解説を読んでいると、自然と世界へとテーマが広がっていきます。

銀の流れをみれば世界史がみえる

というわけで、その時代、ヨーロッパではどんなことがおこっていたのでしょうか?

石見銀山からだいぶ離れてしまいますが、金・銀をテーマにすこしお話をしてみます。

当時、現在のドイツにあたる神聖ローマ帝国(The Holy Roma Empire)のアウグスブルクにフッガー家という有力貴族がいました。

ローマ・カトリック教会や有力貴族に融資するほど強大な力を持っていたのですが、その力の源泉は銀山を所有していたことでした。

しかし、スペインがアステカやインカのようなアメリカ大陸の文明から略奪した金・銀をヨーロッパに持ち込み流通させました。

その結果、ヨーロッパで産出する銀の価値が低下し、フッガー家は没落することになります。

そもそもローマ・カトリック教会がフッガー家に借金をしていた理由は、現在のバチカンの中心であるサンピエトロ大聖堂(St. Peter Cathedral)の建設費を賄うためでした。

そしてその借金を支払うために悪名高い「免罪符(または贖宥状) indulgence」を発行します。

これは罪(法を犯す罪である crime ではなく、キリスト教を信仰する上の罪 sin )を、お金を払うことで前もって贖(あがな)うというものでした。

この当時、ローマ・カトリック教会は、イスラム勢力に圧迫を受けていたり、ドイツやフランスの権力者に武力で抑え込まれていたりと苦しい時期を経験していました。

そこで、ローマ・カトリック教会はルネサンスに代表されるように「古代ローマの栄光よ、もう一度!」と華美な文化を推し進め、キリスト教的な禁欲主義から離れていきます。

ルネサンスはキリスト教から離れることで開花する

ルネサンスはギリシャやローマの人間礼賛をテーマにしていました。

そのため人間やギリシャの神々がモチーフになっている芸術が多いです。

ボッティチェリの「ビーナスの誕生 The Birth of Venus」などは「異教の神」「女性の裸」というキリスト教本来の信仰からは断じて許しがたいもののはずです。

芸術のテーマが退廃的になれば、モラルも地に落ちていきます。

当時のローマ教皇の住居は毎晩「歓楽街」のような状況だったようです。

教会だけが民衆が苦しむ中で贅沢をし、それにもかかわらず借金をして巨大な教会をたて、そのために神(God)やキリストだけが持つ聖なる力であるはずの「赦し Remission」を金のために売る。

こんな「生臭坊主」の究極形が公然とおこなわれたのです。

ルターの反抗 Protestantism

これに激怒したのがプロテスタント主義(protestは抗議の意)の中心となるマルティン・ルター (Martin Luther)です。

ここからヨーロッパを二分する宗教戦争に突入していきます。

そこで迫害を逃れるため、そして信仰の自由を得るために新大陸へとプロテスタント系の人々は移住してきます。

それが近代のアメリカが生まれるきっかけになります。

プロテスタント系の人々の西ヨーロッパ以外への勢力拡大に対抗し、カトリックも海外布教に積極的になります。

その中心的存在がフランシスコ・ザビエル(Francisco Xavier)の所属するイエズス会(Society of Jesus)です。

「イエズス = Jesus = イエス(Iesuはラテン語)」というようにつながっています。

話がかなりとびましたが、このように金や銀の動きは、世界の趨勢の歴史をみるのにとても参考になります。

石見銀山に関連する英語表現

銀山: silver mine  

mine は「私のもの」をあらわす代名詞ですが、ほかに「鉱山」や「採掘する」の意味もあります。「mining 採掘」「miner 鉱山作業者」などもあります。

「ミネラルウォーター mineral water」も、そもそもは金属イオンを含む湧き水のことです。ヨーロッパの水は金属イオンを多く含む「硬水 hard water」だからでしょうか?

さらに困ったことに mine は「地雷、機雷」という意味でも使います。「mine sweeper」で機雷掃海艇です。

坑道: mining tunnel
採掘所: mining site
製錬所: smelter  

製錬 smelting は「鉱石から金属を取り出す工程」です。

精錬所: refinery  

精錬 refining は「不純物の多い金属から純度の高い金属を取り出す工程」です。

鉱石: ore

鉄鉱石は iron ore のようにいいます。

落盤: cave-in

ハイフンでつないで一つの単語として使います。

採掘: excavation

発掘現場という意味で excavation site といいます。

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