みなさんはギリシャの英語の正式名をご存じですか?
実はよく知られる Greece ではないんです😂
それでは実際に、英語版Wikipediaを見てみましょう。
Greece, officially the Hellenic Republic, is a country in Southeast Europe.
『ギリシャ、正式にはヘレニック共和国は、南東ヨーロッパの国である。』
Greece – Wikipedia
なんと公式には the Hellenic Republic ということらしいんです!
ではなぜ西洋文明の始まりともいえるこの国は2つの名前を持つのでしょうか?
そしてなんと、このギリシャの国名をめぐる物語は、
ギリシャ神話に登場する「パンドラの箱」から始まるんです!
🎁正式名 Hellenic(ヘレニック)の由来
――神話を共有する人々が「民族」になる
実は「Hellenic(ヘレニック)」という言葉は、
- ギリシャ的な
- ギリシャ文化の
という主に文化や民族を中心とした文脈で使われます。
これは日本語でも世界史の中で「ヘレニズム(Hellenism)」として登場します。
この Hellenic の語源をたどると、ギリシャ神話の世界に行き着きます。
そこで登場するのが Pandora(パンドラ)です。
パンドラはゼウスの命で「神々に作られた最初の女性」とされ、
「開けてはいけない箱(ギリシャ語では壺)」をもって地上の世界に送られました。
その箱が開かれたことで、病や争い、不幸といったあらゆる厄災が世界に広がった。
これが有名な「パンドラの箱(Pandora’s Box)」の物語です。
(🔗物語の詳細はウィキペディアを参考下さい👇)

さてここから、神話の中でパンドラの血筋は人間の世界へと広がり、
最初のギリシャ人とされる「ヘレネ(Hēlenē)」までつながります。
このヘレネの次の世代の人々こそが Hellenes(ヘレネス)です。
これこそが、ギリシャ人が自分たち自身を呼んだ名前になります。
つまり、
- Hellenes:自分たちの名前
- Hellas:自分たちの土地
という認識が、神話を通して語り継がれていきます。
そもそも、世界共通で神話にはある特徴がみられます👇
🧬価値観を共にする人々が、自分たちの起源や世界における位置づけを共有するための物語である。
だからこそ、
- Hellenes(民族名)
- Hellas(国名)
- Hellenic(文化・形容)
という言葉が、二千年以上たった今でも生き残っているのです。
🌿英語の Greece(ギリシャ)の由来
――「ギリシャ」は、ローマ人から見た名前
我々がよく知る「ギリシャ」そして Greece という国名は、
ギリシャ人自身が名乗った名前ではないんです。
では Greece の語源をみてみましょう。
🧬Greece:ラテン語 Graecia
https://en.wiktionary.org/wiki/Greece
(📌古代ギリシャ語 ραικοί(Graikoi))
この Graikoi とは、もともとギリシャ本土(エピロス地方周辺)に住んでいたグループの名前でした。
哲学者 Aristotle(アリストテレス)は、
以前は Graikoi と呼ばれ、のちに Hellenes と呼ばれるようになった人々が住んでいた。
と著書に記しています。
この呼び名を、ローマ人はイタリア南部のギリシャ人居住地を通して知ることになります。
そこから
- Graikoi(部族名)
- Graecia(ローマ人による国名)
- Greece(現代英語)
と意味が段階的に拡張していきました。
つまり、もともと Greece とは、
🌿ギリシャ人が自認する「国名」ではなく、ローマ人から見た「名前」が由来だったんです。
一方で、
ギリシャ人自身は自分たちを Hellenes と呼び、国を Hellas と呼び続けました。
そのため、現在も正式国名は the Hellenic Republic になっているんです。
🏛️聞き取れない言葉は Greek?
――音だけでは、意味は伝わらない
ギリシャ語のことは英語 Greek と言いますが、
英語には、こんなおもしろい言い回しがあります。
🏛️It’s Greek to me.
(それは私にはギリシャ語だ)
この意味は「何を言っているか分からない😭」という意味です。
この言い回しでの Greek は
『聞こえてはいるが、意味が浮かばない言葉』を表しています。
この感覚はギリシャ文字を見るとわかります。
α, β, γ, Δ, Σ
といったものは数学や物理で使われるのでご存じの方も多いでしょう。
とはいえ、ギリシャ語をちゃんと読んで理解できる人は英語圏でも数が限られます。
この「身近だけど全然わからない言葉」が Greek の比喩になっています。
またギリシャ人自身も、自分たちとは言葉の通じない人々を
『barbaroi(バルバロイ=異民族の総称)』 と呼んでいました。
これは英語の barbarian(未開人)の語源で、
『相手の言葉が「バー、バー(bar bar)」としか聞こえない』ことに由来すると言われています。
つまり言葉は聞こえても、意味が理解できないなら「他人」になってしまいます。
だからこそ、
✨相手の言葉をしっかりと聞いて理解しようとする!
誰もが赤ちゃんの時に、一番最初にやった意思疎通の基本ですね。
⭐Closing Thought
ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌
私自身が、留学初期にアメリカ南部で暮らし始めた頃、
現地の英語がほとんど聞き取れず「😱本当に同じ英語なのか?」と当惑する毎日でした。
ところが不思議なもので、慣れるに経つにつれて、ちゃんと分かるようになっていきました。
いま振り返ると、当時は苦労したあの Southern accent(南部訛り)が、自分のアイデンティティの一部だと思います。
もちろんアメリカ人と話すときに、小ネタとして披露すると「いい反応」がもらえてうれしい限りです🤪
もしかすると聞き上手のほうが、英語の上達も早いかもしれませんよ?
ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡
ちょっとユニークな英語塾
志塾あるま・まーたは、楽しみながら英語を広く深く学べるオンライン英語塾です。
高校を半年で中退した塾長が、アメリカ留学中に人工言語エスペラントと出会ったことをきっかけに、ゼロから“世界で通用する英語力”を習得できました。
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