名言とは、志を宿した言霊です。
時代の混迷に立ち向かい、人びとの信を一身に背負った男──西郷隆盛。
その言葉は、力ではなく「徳」で人を動かした、沈黙と包容を宿す文でもありました。
このブログでは、僕の相棒である ChatGPT君 とともに、
西郷どんの名言を 現代英語 と シェイクスピア風英語で超訳しながら、
彼の思想と生き様を、名言から読み解いていきます。
「命も名もいらぬ」──この覚悟が英語でどう響くのか?
英語学習 × 明治維新 × 思想共鳴の三位一体で、
名言の英訳から語る西郷どんを、現代に蘇らせてみましょう。
言葉の奥にある魂に、そっと触れるような超訳をお届けします。
西郷隆盛ってこんな人
1. 明治維新の中心人物(維新三傑の一人)
西郷隆盛(1828–1877)は、薩摩藩(現在の鹿児島県)出身の武士で、明治維新を成し遂げた「維新三傑」(木戸孝允・大久保利通・西郷)の一人です。
特に倒幕運動では、長州藩と手を結ぶ「薩長同盟」を成立させたキーパーソンであり、江戸無血開城にも大きな貢献をしました。
2. 「民衆からも愛された英雄」像
身分制度にこだわらず、貧しい人や農民にも深い敬意を持って接していたと言われています。
犬を多く飼っていたり、威張らず質素な生活をしていたエピソードも多く「庶民に近い人格者」として、今でも鹿児島や全国で人気があります。
3. 西南戦争で逆賊となるが、今では名誉回復済み
1877年、明治政府の急激な西洋化と武士階級の切り捨て政策に反発し、「西南戦争」を起こして敗北、城山で自刃します。
このとき新政府からは「逆賊」扱いされましたが、昭和初期に名誉は回復され、現在では英雄視される人物となっています。
4. 質素・誠実・敬天愛人の精神
座右の銘:敬天愛人(天を敬い、人を愛す)
派手さを嫌い、地位や金銭への執着もなく、「至誠の人」として知られています。
多くの人が彼の「誠実で、義を重んじる人柄」に惚れ込みました。
5. 身体が大きく、声も大きい“豪傑”のイメージ
体格が非常によく、力強く堂々とした風貌も相まって「日本のダイナミックな男」として語られることが多いです。
NHK大河ドラマ『西郷どん』でもその豪放さと人情深さが魅力として描かれました。
「誠の人」であり、「民の味方」であり、「義を貫いた英雄」である。
政治家であり軍人であり思想家でもある西郷は、日本近代史における魂の柱のような存在です。
📜西郷隆盛の名言その一
命もいらぬ、名もいらぬ、官位も金もいらぬという人は、始末に困るなれども、そういう人でなければ、大事は成せぬ。
【現代語訳】
命も、名誉も、地位もお金もいらない――
そんな人間は確かに扱いにくい。
だが、本当に大きなことを成し遂げられるのは、そういう人だけなのだ。
🇬🇧 現代英語訳
A person who desires neither life, nor fame, nor position, nor wealth—such a person is difficult to manage, but only they can accomplish truly great things.
🎭 シェイクスピア風(Early Modern English)Ver.
He who seeketh not life, nor glory, nor gilded post nor purse—
A troublesome soul, aye,
but none save such may rend the veil of greatness.
✅ He who seeketh not life, nor glory, nor gilded post nor purse
- He who …
- 「~する者は…」という意味で he につなぐ関係代名詞 who。
- He who seeketh = 「求める者は…」で少し古風な言い回し。
- seeketh
- seek の古い三人称単数形 (seeks に相当)。
- 「求める」を詩的に表現しています。
- not A nor B
- 「Aではなく、またBでもなく」というスマートな言い回し。
- neither ではなくあえて not を立てることで、否定の影響を後続に広げるスタイル。
- nor gilded post nor purse
- さらに3つ目・4つ目の要素(官位=gilded post、金=purse)を並べた列挙しています。
- 「官位も、財も求めない」という意味を続けています。
✅ — A troublesome soul, aye,
- —(ダッシュ)
- 「補足・つぶやき」のように使い「…つまり」「要するに」と口語っぽくつなぐ役割。
- A troublesome soul
- “troublesome”=厄介な/手に負えない。
- soul を使うことで、person/man よりも深い「魂・存在」を示しています。
- aye
- 古語で「そうだ、確かに」という同意の声。
- 口語で言うと「まったくそうだよね、ほんとにね」。
✅ but none save such may rend the veil of greatness
- none save such
- save は古語で except や but と同じ意味の前置詞。
- none save such = そんな者以外はいない ⇒ そんな者だけが
- may rend
- may は許可や可能性を示す法助動詞。
- rend = 「引き裂く/切り裂く」の意味の古語の動詞。
- the veil of greatness
- 偉大さの帳(とばり)。
- 帳を引き裂くイメージで「偉大という壁を打ち破る」。
📜西郷隆盛の名言その二
敬天愛人(けいてんあいじん)
【現代語訳】
天(あまつみこころ)を敬い、
目の前の一人ひとりを、己のごとく愛する。
(それが人としての本当の道であり、他を変えるよりも、まず自分がその道を生きねばならぬ。)
🇬🇧 現代英語訳
Revere Heaven, and love mankind as you love yourself.
🎭【シェイクスピア風(Early Modern English)Ver.】
Give thy reverence to Heaven above,
and bear thy love unto thy fellow man, as unto thine own soul.
✅ Give thy reverence to Heaven above
- Give
- 命令法の動詞で、「与えよ/捧げよ」という強い呼びかけ。
- thy reverence
- thy = 古い形の二人称単数 your(あなたの)
- reverence = 敬意、崇敬
- まとめて「あなたの敬意を」
- to Heaven above
- Heaven above = 高くそびえる天。above は副詞。
✅ and bear thy love unto thy fellow man
- bear
- 命令法の動詞。「運べ、携えよ」というニュアンス。
- thy love
- あなたの愛を。thy = your。love = 愛情。
- unto thy fellow man
- unto = 古い形の to。
- thy fellow man = あなたの仲間、人びと。
✅ as unto thine own soul
- as
- 「…と同じように」を示す比較の接続詞。
- thine own soul
- thine = 古語の二人称単数 your(あなたの)に相当し、母音で始まる名詞の前に使う形です。
- own soul = 自分自身の魂。
📜西郷隆盛の名言その三
「道は天地自然の道なれば、これを行う者は常に栄え、これに背く者は常に滅ぶ。」
【現代語訳】
道(みち)とは、天と地、そして自然の理(ことわり)にかなうものである。
この道に従って生きる者は、いつも栄える。
だが、これに背いた者は、必ず滅びる。
🇬🇧 現代英語訳
The Way is none other than the path of Heaven, Earth, and Nature.
Those who walk in accordance with it shall always flourish,
but those who defy it are doomed to fall.
🎭 シェイクスピア風(Early Modern English)Ver.
The Way is writ in the stars, and cast upon the earth and sea;
He that treadeth thereon shall flourish evermore,
but he that turneth aside shall surely be undone.
✅ The Way is writ in the stars, and cast upon the earth and sea;
- is writ in the stars
- writ = write の過去分詞 “written” の古い形。
- in the stars = 「星々に(書かれている)」。
- 全体で「道は星々に書き記されている」。
- and cast upon the earth and sea
- cast = “投げかける” または “広げられる” の古語的表現。
- upon the earth and sea = 大地と海の上に。
- 「星々だけでなく、大地や海にも(同じく示されている)」という意味。
✅ He that treadeth thereon shall flourish evermore,
- He that …
- 「…する者は」という関係詞をつかった古い言い回し。
- treadeth thereon
- tread = 歩む/踏む。
- “tread” の古い三人称単数形の “-s” の代わりに “-eth”。
- thereon = 文語的な副詞で “on it”(道の上を)。
- shall flourish evermore
- shall = 文語的に「必ず〜するだろう」。
- flourish = 栄える、繁栄する。
- evermore = 永遠に。
✅ but he that turneth aside shall surely be undone.
- he that turneth aside
- turn aside = それ(道)から外れる。
- turneth は古い三人称単数現在形 “-eth”
- shall surely be undone
- shall = 「必ず〜するだろう」の意味の法助動詞。
- surely = 確かに、確実に。
- be undone = 「滅びる/破滅する」の意味で、構造は be動詞+過去分詞。
📜西郷隆盛の名言その四
大事に望みては、機会は是非、引き起こさざるべからず。
【現代語訳】
大きなことを成そうとするならば、
その機会が正しいか否かを問わず、
その時に立ち上がり、引き受けねばならない。
🇬🇧 現代英語訳
When striving for great deeds,
one must not wait for the perfect moment—
but seize the chance, be it right or wrong.
🎭 シェイクスピア風(Early Modern English)Ver.
He who would dare great works must not linger for the righteous hour—
but summon forth the chance, whether it be just or no.
✅ He who would dare great works
- He who …
- 「…する者は」という古語の関係代名詞構文。
- ここでは「大いなる事業に挑もうとする者」を指します。
- would dare great works
- would = 「…しようとする/…したいと思う」の意を含む法助動詞。
- dare =「あえて~する」という動詞。
- great works = 偉大な業績・大事業。
✅ must not linger for the righteous hour
- linger for
- linger = 長く留まる/ぐずぐずする。
- linger for the righteous hour = 「正しい時を待ってぐずぐずしてはいけない」。
- the righteous hour
- righteous = 正しい、公正な。
- hour = 時、瞬間。
- 合わせて「ちょうど良い時間/適切な瞬間」。
✅ but summon forth the chance,
- summon forth
- summon = 呼び出す、引き起こす。
- forth = 前に/外に。
- summon forth the chance = 機会を自ら引き起こせ。
✅ whether it be just or no
- whether … or …
- 「…であろうと…であろうと」という比較・選択の決まり文句。
- ここでは「正しい “just” か正しくない “no” か」。
- it be
- be は仮定法現在(present subjunctive)で古い用法(“is” に相当)。
- 現在英語だと “whether it is just or not”。
📜西郷隆盛の名言その五
国家に忠ならんと欲せば、まずその家に孝たれ。
【現代語訳】
国に尽くしたいと願うならば、
まずは自分の家族に対して、誠意と敬意を尽くしなさい。
忠は、孝の延長線上にある。
🇬🇧【現代英語訳】
If one wishes to be loyal to their country,
they must first show filial devotion within their own home.
For loyalty to the nation begins with love and duty to one’s own family.
🎭 シェイクスピア風(Early Modern English)Ver.
Wouldst thou be loyal to thy realm?
Then render first thy reverence unto thy house.
For no crown is served by him who knoweth not to bow at his own hearth.
✅ Wouldst thou be loyal to thy realm?
- Wouldst thou …?
- wouldst = “would” の二人称単数形。現代英語の “would you” に相当。
- thou = 古い二人称単数の “you”。親しい相手や命令文で使う。
- 全体で「あなたは…したいか?」という問いかけ。
- be loyal to thy realm
- be loyal = 忠誠を尽くす/忠実である。
- to thy realm = あなたの王国(realm = 王国、領土)に対して。
- thy = 古い “your”。
✅ Then render first thy reverence unto thy house.
- Then
- 「それならば/その場合は」の意味の副詞。
- render
- 命令法の動詞。「捧げよ/示せ」。現代英語の give や show に近い。
- thy reverence
- thy = your の古形。
- reverence = 敬意、畏敬の念。
- unto thy house
- unto = 古い前置詞で to”の意味。
- thy house = あなたの家。家族や家庭を指す。
✅ For no crown is served by him who knoweth not to bow at his own hearth.
- For
- 文頭で「なぜなら/…だからだ」を意味する接続詞(副詞的にも使える)。
- no crown is served by him
- 王冠(=王や国家)は…によって養われない。
- is served by = is supported by もしくは is honored by と同じ意味。
- who knoweth not
- knoweth = knows の古い三人称単数形。
- not = ~ない。初期近代英語では「doesn’t 動詞の原形」でなくてもよかった。
- to bow at his own hearth
- to bow = 頭を下げる/礼をする。
- his own hearth = 自分の炉(hearth)は「家庭の中心」を表します。
西郷隆盛は世界の偉人の誰に似てる?
西郷隆盛の名言の英語翻訳 ChatGPT君に分析してもらい、似ている世界の偉人を探してもらいました。
さて西郷どんはいったいどんな人物と共鳴するのでしょうか?
1. 無欲で崇高な志を持ち、扱いにくいが偉大なことを成す人物
“A person who desires neither life, nor fame…”
共鳴する偉人:マハトマ・ガンディー
- 地位も武力も否定した「非暴力の闘士」。
- 個人としては扱いにくいが、国家を動かした。
You may never know what results come from your actions. But if you do nothing, there will be no result.
『君がなしたる行いが、いかなる果を結ぶか、知ることはなきやもしれぬ。
されど、何もせぬ者には、果報は決して訪れぬ。』
2. 天の理と人への愛を行動原理にする人物
“Revere Heaven, and love mankind as you love yourself.”
共鳴する偉人:マルティン・ルーサー・キング Jr.(キング牧師)
- 「神の前に人は平等」と説き、「すべての人への愛と誓い」を貫いた。
- 西郷の「敬天愛人」は、キングの Agape(ギリシャ語で「love 愛」)思想と深く響き合う。
Darkness cannot drive out darkness; only light can do that. Hate cannot drive out hate; only love can do that.
『闇は、さらなる闇によっては拭えぬ。ただ光のみが、それを祓う。
憎しみは、憎しみにては癒されぬ。ただ愛のみが、それを赦す。』
3. 宇宙法則に従って生き、道に従えば栄え、背けば滅ぶという思想
“The Way is none other than the path of Heaven, Earth, and Nature.”
共鳴する偉人:老子(Laozi)
- 「道(タオ)」という自然法則に従って生きるべきという思想の提唱者。
- 「無為自然(なすことなくしてすべてがなる)」は西郷の「自然に従う道」と同じく“外発の理”を重視。
- 「道に順えば栄え、逆らえば滅ぶ」は、東洋思想の骨格。
4. 行動こそが真理であると信じ、機を見て立ち上がる人物
“Seize the chance, be it right or wrong.”
共鳴する偉人:ナポレオン・ボナパルト
- 完璧な状況を待たず、「機を引き起こす者」であった。
- 文としては対極的に見えて、戦略×意志の発動点は近い。
Take time to deliberate, but when the time for action comes, stop thinking and go in.
『熟慮は時を惜しまずすべし。されど、事起これば、もはや思うことなく、直ちに進め。』
5. 「国家に忠たらんと欲せば、まず家に孝たれ」:内から始まる忠義
“Loyalty to the nation begins with love and duty to one’s own family.”
共鳴する偉人:トマス・ジェファーソン
- 個人・家庭・地域という「内から外への倫理階層」を重視した人物
- 西郷の“忠”は「国家へ従うこと」ではなく、「国家が成り立つ倫理の根」を説いている。
これは民主主義的リーダーにも通じる発想。
The care of human life and happiness… is the only legitimate object of good government.
『人の命と幸福とを守るは、政の正道にして、ただ一つの大義なり。』
西郷の文 | 共鳴する世界の偉人 | 共通点 |
---|---|---|
無欲 × 志 | ガンディー | 非暴力・自己放棄型の志士 |
敬天愛人 | キング牧師 | 天の倫理 × 人類愛 |
道と自然 | 老子 | 宇宙の理に従う思考 |
機を掴む | ナポレオン | 行動ファースト型戦略家 |
忠孝一体 | トマス・ジェファーソン | 家庭→国家への倫理スケール |
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