英語で自由英作文や小論文を書くときに困ったことはありませんか?
私は受験英語の英作文でもとても苦労しました。
留学準備のために英語の小論文を練習した時もとても苦労しました。
そして実際にアメリカの大学に入ってわかったことがあります。
英語の小論文はカンタンに書けるんです。
もちろん英語力が向上していたことも要因としてあるでしょう。
しかし、それよりなにより英語の論文は「パターンが決まっている」のです。
パソコンやスマホみたいにいろんな種類があっても基本は同じ型です。
だから機種変更をしてもすぐに使いこなすことができます。
英語の論文も同じです。
どんな内容でも書く形式が決まっているから困らないんです。
そして、その書き方は日本の学校で習う小論文とは大きく違います。
「天声人語」のような現代文の書き方は通用しない
受験生に人気の朝日新聞のコラムで「天声人語」というものがあります。
天声人語は、国語や小論文の先生、受験生から高い評価を得ているようです。
しかしながら、「英語で論理的な文章を書く」ためには天声人語はあまり参考になりません。
天声人語に限らず、受験で目にするほとんどの日本語の文章は英語の小論文と違う書き方になっています。
どれだけ日本の大学受験で現代文を読み込もうと、それは英語の小論文の話とは全く別のことです。
ちなみに私は受験生のときに天声人語を読もうとしました。
しかし、なんともとらえどころない表現ばかりで、なにが言いたいのかわからないものが多くありました。
結局、日本の小論文や現代文の理解に「挫折」したのを覚えています。
しかしアメリカに来てみると私が常々思っていた論理的な書き方がシステム化されていました。
「おっしゃあああ! これなら英語はハンデやけど考え方はハンデにならんぞ!」
と、全身にアドレナリンが駆けめぐったのを鮮明に覚えています。
別に天声人語を貶めたいわけではありません。
見る人が見ればすばらしい文章なのだと思います。
私にはその良さが見つけられないだけの可能性もあります。
ただここで再度、念押しさせていただきます。
英語の小論文を書くには、日本の受験勉強で見るような文章とはまったく異なる手法で論理展開が必要なのです。
今、このブログを読んでいらっしゃるあなたは英語で小論文を書く必要性がありますか?
もしそうであれば、まずここで「日本で習った論理的な文章」の手法をいったん忘れてください
でもご心配なく。英語の小論文の書き方はとてもシンプルです。
English 101 が基本の基
私はアメリカ以外の英語圏のことはわからないので、自分のわかる範囲で話をします。
大学や短期大学に入学すると1年時に English 101 というクラスを取ることになります。
アメリカは大学のクラスを3桁の数字で表す仕組みになっています。
- Chemistry 101
- Biology 102
- Marketing 201
などといった具合です。
101 (wan oh wan) は大学1年レベルの科目の最初のクラスという意味です。
だから「基本の基」という意味で、大学のクラス以外のいろんな表現に使います。
- Japanese Cooking 101(日本食の作り方の基本)
- Bartending 101 (カクテルの作り方の基本)
そしてこの English 101 で大学で必要な小論文の書き方を習得することになります。
もちろんアメリカの中学や高校でもレポートの課題は日本よりもたくさん出されますが、本格化するのは大学です。
小論文の書き方はネットで見つかる
英語の小論文を “essay” といいます。
日本語でエッセイというと「随筆」のことですが、これはフランス語が語源になっています。
英語だと「短く自分の意見を述べたもの」という意味になります。
もちろん essay にはいろんな種類があり、その定義はあいまいです。
しかし大学で必要となる小論文は “academic essay” になります。
単に essay だけで「小論文」という意味でよく使われます。
文章の量としては、数パラグラフ程度で構成されるものが essay の目安です。
もっと長い論文だと “paper” といいます。
研究論文は “research paper” といいます。
というわけで「essay の書き方」と調べればいくらでも見つかるはずです!
- “English essay format”
- “English essay structure”
🔗英語小論文の書き方の実践編へはこちらへどうぞ👇
英語の小論文のシンプルな構造
英語の essay はシンプルです。
それでは、その構造をみていきましょう。
① Introduction(導入)
・議論の内容と主張
② Body(内容)
・理由(根拠)を示す
③ Conclusion(結論)
・主張の再確認
すべてこの形で終わらせられます。
ではカンタンな例を挙げてみます。
どこぞの小学生が言いそうなことでやってみましょう。
- このおもちゃを買ってほしい
- このおもちゃを買うといいことがある
- だから、このおもちゃを買ってほしい。
これが「小論文」でしょうか?
彼の言いたいことはわかります。
ただ残念なことに、まだ「論理的」ではありません。
ここにすこし手を加えると、おもしろいことが起こります。
① このおもちゃを買ってほしい
「という主張を私は展開する。」
「そして、その主張は以下の根拠によるものである。」
② このおもちゃを買うといいことがある
第一に、私はおもちゃで遊ぶことで、明るく元気になれる。
肯定的な感情は脳科学的にも創造性を高めるという結果が出ている。
肯定的な感情と創造性の関連については、ハーバード・ビジネス・レビューのこの記事が参考となる。
一般的に、子供がおもちゃに対して肯定的な感情を持っていることは疑いない。
事実、クリスマスを楽しみにしている子供は多くいる。
それは子供にとって自分のすきなおもちゃを買ってもらえる特別な日だからだ。
それに合わせて多くのおもちゃメーカーがクリスマスの販売目標を普段よりかなり大きく見積もっていると推察できる。
そうでなければネットやテレビであれほど大規模で広告を打つことはないはずだからだ。
クリスマスをおもちゃがもらえる日という観点からみれば、一部の子供達だけでなく、世間一般の大多数の子供たちがおもちゃに肯定的な感情をもっていると判断できる。
それほどまでに、おもちゃが肯定的な感情を、私を含めた子供たちに呼び起こすことは、きわめて一般的であると解釈できる。
③ だから、このおもちゃを買ってほしい。
「と、上記の理由にて私は結論付ける。」
このようなことを言う小学生がいるかは定かではありませんが・・・
一気に「論理的」っぽくなった気がしませんか?
その理由は「理由(根拠)」にあります。
理由があると論理的
Logic will get you from A to B. Imagination will take you everywhere.
Albert Einstein
物理学者のアインシュタインがいうには「自らの可能性を無限に広げるのに必要なのは論理性ではなく想像力」とのこと。
しかし英語で小論文を書く場合に必要なのは imagination ではありません。
imagination に頼って essay を書くと「小説」になってしまいます。
論文で必要になるのは論理(logic)を使って「原因 ⇒ 結果」の流れを示すことです
どんな論文の構造でも、この因果関係(cause and effect)に依存しています。
「結果 ~ 原因」
・結果があるなら原因がある。
「主張 ~ 理由」
・意見があるなら根拠がある。
このような緊密な関係がなりたっている前提で「論理的な文章」は書かれる必要があります。
論理的であるからこそ読み手は「主張」を聞いてくれるんです。
ですので「読み手」への伝え方として、以下のようになるとよいと思います。
・主張(結果)
(読み手)いいたいことはわかったけど、なんでそうなんの?
・論述(原因)
(読み手)ふむふむ、なるほどね。 そんで?それから? ほーほー、なるほど。
・結論(結果)
(読み手)ああ、最初にそないゆうとったな!
このような流れで読み手に伝わればいいと思います。
こうやって論理(logic)を使うことで、読者をちゃんと「主張 → 論述 → 結論」へと導くことができます。
- 結果 ~ 原因 ~ 結果の再確認
- 主張 ⇒ 論述 ⇒ 結論
論文のフォーマットは決まっています。
だからといって形式だけを気にしても意味がありません。
論文の流れは因果関係のループ構造とリンクしている必要性があります。
Logic gets us from A to B to C to D
英語資格試験や受験の英作文では時間の余裕はありません。
ですので、あまり長い論理展開は行わないほうがいいと思います。
テストの話はさておき、あえて遠回しでも理由がつながれば論理的です。
サッカーやバスケなどでも何回パスをしたかは問題ではなく、ゴールを決めれば得点は入ります。
英語の書き方の参考にはなりませんが「論理のつなぎ方」の参考のため、先ほどの「おもちゃが欲しい小学生」の文章を解説します。
・主張
★ おもちゃを買ってほしい ★
・論述
① おもちゃがあれば、小学生の私の気分が明るくなる
② 明るくなると創造性が高まる、とハーバード大学の研究にある
③ 一般的にみて、おもちゃが子供をあかるくさせる
④ クリスマスが巨大なおもちゃ販売市場規模をもつ
ここの根拠はスマホなどを使ってデータをとることができないテスト中などの場面を想定してあえて書いています。
『それに合わせて多くのおもちゃメーカーがクリスマスの販売目標を普段よりかなり大きく見積もっていると推察できる。』
企業の売り上げデータが数値として取れれば話は終わりですが、テスト中にそんなことできませんよね。
だったら理性的な想像力を働かせてみます。
『そうでなければネットやテレビで大規模な広告を打つことはないはずだからだ。』
仮説としてはOKだとおもいます。広告を打つのは、売り上げが見込めるからですから。
もし議論などで根拠を厳しく問われるようなら、すぐにデータを取りに行きましょう。
⑤ おもちゃが自分を明るくすることは科学的根拠に基づき、ある程度の一般性をもつ主張である
・結論
★ おもちゃを買ってほしい ★
と、いうような感じです。
一見、「おもちゃを買ってほしい」だけなら自己中心的で感情的にみえます。
しかし、うまくやれば意外と「論理的」な領域にひきずり込めます。
自分のこと ⇒ ほかの人たちにも当てはまる
感情 ⇒ 脳科学的に説明可能
我々は自分で思うほど「論理的な生物」ではありません。
フィーリング中心になってしまうのは人間の性質です。
- 自分の感情は他の人たちにも当てはまるものか?
- 脳科学などの研究からメカニズムが解明されている感情なのか?
普段からこのような構図を頭の中につくるクセをつけておくのがよいと思います。
(とはいえ、おもちゃが実際に買ってもらえる保証はできませんが🤪)
⭐Closing Thought
ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌
英語小論文が「難しく感じる」最大の理由は、
英語そのものではなく、論理の組み立て方が日本語と異なっているからです。
国語の現代文が「書き手の意図の読解」を大切にしているとすれば、
英語小論文は「主張・理由・結論」のつながりを明示します。
どちらが優れている、という話ではありません。
ただし、使われる場面と目的が決定的に違うのです。
英語小論文では
- 何を主張するのか?
- なぜそう言えるのか?
- その主張はどこまで一般化できるのか?
これらを読み手が迷わない形で提示することが求められます。
論理展開の型さえ知れば、英語小論文は決して怖いものではありません。
むしろ、考え方さえ分かっていれば、いくらでも作ることができます。
英語を学ぶことは、単に別の言語を覚えることではなく、2つ目の考え方を手に入れることでもあります。
このブログが、英語で書いたり、考えたりすることへのハードルを少しでも下げるきっかけになれば幸いです。
ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡
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