英単語 win, lose, submit, surrender の意味と使い方|”勝利”をつかめば全てわかる?

英語で広がる世界の教養

日本語では「勝つ」と「得る」そして「負ける」と「失う」はまったく別の動詞です。

ところが英単語の win は、

  1. 勝つ
  2. 得る

という意味で使われます。

そして lose も同じように、

  1. 負ける
  2. 失う

という意味があります。

そのため1つだけの意味の丸暗記だと、こんなところでつまずきます👇

🏆Nobel Prize winner
⇒ 戦ってないのに、ノーベル賞受賞者

さらに、

  • We lost.
    ⇒ なぜ「負けた」になるの?
  • We are lost.
    ⇒ なぜ「迷った」になるの?

これは単純に『win と lose が多義語だから!』というわけではないんです。

それよりもむしろ、

意味の中心がズレた丸暗記によく起きがちな誤解と言えます。


🥇win / lose に victory を入れて考える

ここで視点をちょっと変えてみましょう。

win / lose の意味を「victory(勝利)」とつなげて考えてみます。

すると、win と lose は次のように整理できます。

  • win(勝つ)
    ⇒ victory を 得る
  • lose(負ける)
    ⇒ victory を 失う

つまり英語では、

勝利は「出来事」ではなく「所有物」として扱われているのです。

たとえば、こんな言い方があります。

⚔️We shall seize the victory!
(我々が勝利をつかむのだ!)

このように勝利が「所有物」になるのがお分かりいただけると思います。

もちろん日本語でも、

  • 勝ち星を拾う
  • この試合を取る
  • 勝てる試合を落とした

と言ったりしますよね?

この感覚が英語は「動詞 winlose に組み込んである」と考えると分かりやすいかもしれません。

win / lose の応用表現

この視点に立つと、win / lose の使い方が一気に整理されます。

まず win の応用表現です。

  • win trust(信頼を得る)
  • win support(支持を得る)
  • win friends(友を得る)

つまり、

win → 評価・承認・支持を「得る

となります。


つぎに lose の広がりを見てみます。

  • lose control(制御を失う)
  • lose direction(方向を失う)
  • lose temper(平静を失う)

つまり、

☑️lose → 管理・判断・方向を「失う

となります。

そしてここから、ちょっと応用すると…

😭We are lost.
⇒ 我々は迷ってしまった。

これは「進む方向を失った(≒迷った)」という過去分詞から派生しています。

このように win / lose の意味の土台は「得る / 失う」だということが見えてきます。


フランス語とドイツ語でも同じ発想

この考え方は、英語だけの特殊なものではありません。

 🥐フランス語
  • gagner(勝つ/得る)
  • perdre(負ける/失う)
🥨ドイツ語
  • gewinnen(勝つ/獲得する)
  • verlieren(負ける/失う)

どちらの言語でも、

  • 勝つ ⇒ 得る
  • 負ける ⇒ 失う

という英語と同じ発想です。

これは、ヨーロッパ言語圏に広く共有された「世界観」と言えます。


🥈降参系の動詞にも victory を入れてみる

ここまでで勝負系の win/lose には

🌿victory(勝利)を「得る失う

という考えができるようになりました。

これは「降参」するタイプも動詞にも応用できます!

つまり

🎁victory(勝利)を「提出・譲渡」する
降参する

ではここから、

一見バラバラに見えていた動詞を victory でまとめていきましょう!


surrender|明け渡す・献上する

surrender は、ラテン語源を分解するととても素直です。

  • sur-(上へ)
  • render(差し出す・引き渡す)

つまり、

☝️上位の相手に、持っているものを差し出す。

という構造を持っています。

例えば、

  • surrender the city
    (都市を明け渡す)
  • surrender control
    (支配権を手放す)

というように「都市・武器・主権・支配権」を相手に明け渡します。

ここで重要なのは、surrender の本質が、

『相手に対し膝をつくイメージではない』という点です。

日本語なら「降参」よりも――

明け渡す」「献上する」のほうが、より語源的に近いといえます。


submit|下に置かせる

submit は、surrender とはまったく逆の方向を持つ動詞です。

  • sub-(下へ)
  • mittere(送る・置く)

ラテン語の由来から見ると、

👇下位に置かせる。支配や管理の下に入れる。

という意味になります。

  • submit a report
    (報告書を提出する)
  • submit to authority
    (権威に屈する)

これらに共通するのは「管理下に入る」というニュアンスです。

だから submit は、

  • 降参させる
  • 提出させる

という「強制・上下関係」を含んだ意味を自然に持ちます。

つまり、

  • surrender
    ⇒ 勝利を相手に差し出す
  • submit
    勝利を相手の足元に提出する

という違いが見えてきます。

さらに、ここから展開して、

💪柔道やレスリングなどの「関節技」を submission と言います。

その理由は、相手の関節をキメることで「相手に勝利を提出させる」からです。


give up|自分から手放す

give up は「動詞+副詞」はゲルマン語源の直感的な表現です。

  • give(与える)
  • up(上へ/外へ)

この表現では、相手は重要ではありません

  • give up the fight
    (戦いを放棄する)
  • give up hope
    (希望を捨てる)
  • give up trying
    (挑戦することをあきらめる)

これらはすべて、

✋この勝利は自分が管理しないと決める
⇒ もうお手上げや~😭

という意味になります。

つまり give up は victory を「放棄する」という表現です。

自分の判断で「勝利を放り上げる」のが give up です。


give in (to)|相手・圧力に譲る

この give in (to) は give up と似て見えますが、意味の向きがはっきり違います。

  • give(与える)
  • in(相手側へ・中へ)
  • to(相手・圧力)

というゲルマン語源の構成から見ると submit に近い表現になります。

  • give in to pressure
    (圧力に押される)
  • give in to temptation
    (誘惑に負ける)
  • give in to demands
    (要求に屈する)

これらの表現では、

👉勝利が、相手の管理する領域内へ向けて移動する

という意味が見えてきます。

つまり、

  • give up
    ⇒ 勝利を手放す(相手不在)
  • give in (to)
    ⇒ 勝利を相手や圧力に渡してしまう

という違いがあります。


ここまでをまとめると…

  • surrender:勝利を明け渡す
  • submit:勝利を下に置かせる
  • give up:勝利を放棄する
  • give in:勝利を相手に譲る

といったように「降参」も「勝利」とうまくつながっています。


🤝win-win の意味をどう考える?

ではここから、

win-win にも話を進めていきましょう。

英語だと a win-win scenario のように「2者間での利害調整」の意味合いで使います。

そのため次の3パターンがあります。

  1. win lose
    ⇒ どちらかが得をする
  2. win win
    ⇒ どちらも得をする
  3. lose lose
    ⇒ どちらも損する

ここまでなら win-win が一番よさそうです。

ですが、もうすこし話を進めてみましょう。

仮に「贈賄」ならどうでしょうか?

  • 賄賂を渡す側 → win
  • 賄賂を受ける側 → win

あるいは「麻薬取引」なら?

  • 薬物を売る側 → win
  • 薬物を買う側 → win

どちらも形式上は win-win です。

しかし、私たちは直感的にこう思うはずです。

😡これは絶対によくないことやんか!

なぜでしょうか?

その答えは単純です😉

🙄当事者間だけで成立している win-win だから!

そこで、英語の win / lose を victory(正当性)として捉えるなら、

🤔win-win は社会全体にとって lose ではないのか?

と深く考える視点が不可欠になります。

それは、もうすでに日本の近世から生まれた商人の精神に宿っていたのです。


近江商人の「三方良し」とは?

近江商人とは日本の中世や近世にかけて琵琶湖の周辺の商業で活躍した商人たちのことです。

彼らが大切にしていた職業倫理に「三方良し」があります。

それは、

  1. 売り手良し
  2. 買い手良し
  3. 世間良し

という当事者2人の「win-win」に、さらに『社会(世間)win(良し)』を加えたものです。

これこそが win-win を越える、

😆win-win-win(三方良し)です!
⇒ 社会にとっても良いことは持続可能!

英語の win-win は短期的な得を正当化する可能性があります。

しかし近江商人の「三方良し(win-win-win)」は、長期的に継続する得を生み出します。

ぜひ日本語の「三方良し」を win-win の代わりにたくさん使っていきましょう!


⭐Closing Thought

ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌

英語の win や lose の意味は「victory(勝利)」を加えること機能します。

さらに「勝利」と「敗北」そして「降参」という3つの victory の動きも大切です。

やはり、なにごとも2つだけより3つのほうが安定しそうですね?

A win-win situation might still make others lose.
A win-win-win could be the only victory that leaves no one behind.

ウィンウィンって、他の人たちが損することもあるんちゃうかな。
 三方良しになると、みんな丸く収まりそうな気がするねんけど(超意訳🤪)』

ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡

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