英語の副詞はどう使う?品詞の意味をくわしく解説

Phrase-adverb-catch-all-category 英文法の仕組み

副詞の使い方がわからない・・・

こんなお悩みを抱えていませんか?

副詞の意味を調べると次のようなリストがならびます。

場所様態頻度程度確信度

確かに「副詞」にはいろんな意味があるようにみえます。

このままだとうまく整理できないので視点を変えて「副詞」を見切ってみましょう。

副詞とは「英単語の種類」のこと

副詞のナゾを解き明かすため一般的な「副詞」の解説から始めます。

英語の「副詞」が意味する内容をリストにします。

  • time
  • 場所 place
  • 様態 manner
  • 頻度 frequency
  • 程度 degree
  • 確信度 level of certainty

では例文を見てみましょう。

  • The traffic is moving slowly now.
  • 交通は = 動いている ゆっくりと 今。
  • ≒ 今(車などの)交通の動きがゆっくりと進んでいる。
    1. slowly ゆっくりと(副詞:様態
    2. now 今(副詞:
  • We sometimes take a walk here.
  • 我々は 時々 とる 歩くこと ここで。
  • ≒ 私たちは時折ここで散歩をする。
    1. sometimes 時々(副詞:頻度
    2. here ここで(副詞:場所

このように英単語の意味から副詞だとわかるケースがあります。

ところが「英単語の品詞は意味が決めるものではない」という原則があります。

次のような文もあるので注意して下さい。

  • I don’t have time for this.
  • 私は 持っていない 時間 これのために。
  • ≒ こんなことをする時間はない。
  • This place is so beautiful.
  • この場所 = そーんなに 美しい。
  • ≒ この場所はすごく美しい。

上の例では「」や「場所」は副詞」ではありません

  • time 時間 ⇒ 名詞
  • place 場所 ⇒ 名詞

次に「頻度」のケースをみてみます。

  • frequency:頻度(名詞
  • frequent:頻繁な(形容詞
  • frequently:頻繁に(副詞

さらに「確信度」も見てみましょう。

  • certainty:確信、確実性(名詞
  • certain:確信している(形容詞
  • certainly:確信して、確かに(副詞

英単語の意味する内容が「場所・時・頻度・確信度」などであっても副詞とは限りません

英単語の品詞」は意味ではなく「使用ルール」によって決まります。

そのためテキトーに英単語をつかうと全く意味が通じなくなってしまいます。

【 品詞 part of speech 】
・英単語に設定されている種類を意味する英文法用語
・英単語は「品詞」の使用ルールに従って使う

というわけで「副詞」の使用ルールを確認していきます。

副詞の使用ルールはいろいろある?

副詞には「いろいろな品詞を説明(修飾)する」という機能があります。

【 修飾する modify 】
・別の単語に説明を追加すること
★あるま・まーたでは「説明(≒ 修飾)」と呼びます。

具体的に「副詞が説明する内容」をリスト化してみます。

  • 動詞 verb
  • 形容詞 adjective
  • 副詞 adverb
  • phrase
  • clause
  • 文章全体 sentence

見慣れない用語もあるので副詞の使用法が見えにくいです。

実は、副詞が説明するものを理解する必要はないんです。

そのヒントは文法用語の「副詞」の「副 ≒ メインではない」にあります。

副詞とは「文の要素 SVOC にならない品詞」

副詞は英語で「adverb(ad + verb)」といいます。

これは「動詞を説明(修飾)する」というラテン語の意味に由来します。

  • ad:~へ向かって
  • verb:動詞

英語の文法用語はヨーロッパ世界の共通語だったラテン語を基準に作られています。

そもそも英語の文法用語がラテン語から翻訳された時代ですら、ズレが生じていたものもあります。

そして英語が時代とともに変化するにつれて、そのズレがさらに大きくなっているものもあります。

つまり現代の英語において「副詞 adverb」の機能はラテン語よりさらに広くなっているんです。

その点、日本語の英文法用語は副詞」は本質を表現できています。

なぜなら「副詞」とは「メイン(主)にならないサブ(副)の品詞」という意味だからです。

英語の Wikipedia にも adverb は “catch-all category” つまり「ほか分類できないものをまとめた分類」と書いてあります。

Adverb - Wikipedia

英語の構造は大きく2つに分けられます。

  • 文の要素(メイン・主)
  • 文の要素以外(サブ・副)

ここに使用できる品詞を追加します

  • 文の要素 SVOC に入る品詞
    • 名詞 noun
    • 動詞 verb
    • 形容詞 adjective
  • 文の要素 SVOC に入らない品詞
    • 副詞 adverb
    • 前置詞 preposition
    • その他いろいろ・・・

つまり「副詞」とは「名詞・動詞・形容詞にできない機能をもつ品詞」という意味です。

ここで先ほどの「副詞が説明する品詞」のリストを持ってきます。

  • 動詞 verb
  • 形容詞 adjective
  • 副詞 adverb
  • phrase
  • clause
  • 文章全体 sentence.

このリストで「名詞・動詞・形容詞」が説明できるものはありません。

別の言い方をすると、それができるいろいろな英単語をまとめて「副詞」としているんです。

これが英語 Wikipedia Adverb の記事の “catch-all category(ほかに分類できないものをまとめた分類)” と「」がつながる理由です。

【 副詞の意味 】
英文のメイン(主)ではないサブ()になる品
≒ 文の要素 SVOC に入らない品詞
≒ 名詞・動詞・形容詞にできないことをする品詞
≒ 分類に困ったのでとりあえず「副詞 adverb」になっている品詞

あるま・まーたでは「文の要素に入らない部分」を「おまけ要素 M」と呼びます。

一般的には「おまけ要素」は「修飾語 Modifier ≒ M」と呼ばれるものです。

実は「修飾語 Modifier」という文法用語は「形容詞」にも使用される用語です。

形容詞は「補語」になったり「名詞の一部」になったりするので「文の要素」になることができます。

あくまで文の要素に入らない」という機能に特化して「おまけ要素」と呼びます。

この「おまけ要素」に入る品詞がまとめて「副詞」となります。

この「文の要素 + おまけ要素 」と「品詞」の関係を図で確認してみます。

文の要素 SVOC とおまけ要素 M:使用可能な品詞
文の要素 SVOC とおまけ要素 M:使用可能な品詞

前置詞も名詞とペアで使用する場合は「まとめて副詞」として機能します。

接続詞がつなぐ文章も「文の要素」に入らない場合は「まとめて副詞」として機能します。

文の要素と品詞を基本から確認されたい方はこちらをどうぞ。

副詞の使用ルール:自由配置・隣接配置

副詞は「文の要素に入らないものをまとめた品詞」でした。

ラテン語由来の英語の「adverb (動詞に向けて)」よりも日本語の「副」のほうが圧倒的に本質をとらえています。

ですので日本語を最大限活用して「おまけ要素で使う品詞 ≒ 副詞」と理解すれば OK です。

基本的に英語の「副詞」の使い方で気にするのは「置き場所」だけです。

  • 文の要素:動詞が五文型パターンで語順を決めるので、配置ルールが厳しい
  • おまけ要素:文の要素に入らなければいいので、配置ルールがゆるい

配置ルールがゆるい副詞ですが使用できる位置が決まるパターンがあります。

副詞の使用ルール:①文の要素に入らない・②形容詞・副詞を説明
副詞の使用ルール:文の要素に入らない・形容詞・副詞を説明

副詞の中には「形容詞・副詞を説明(≒ 修飾)」する専門のグループがあります。

たとえば副詞 very の場合は「隣に置く(隣接)」という決まりがあります。

さらに副詞 very は単独での使用はルール違反なので、自由に置くことができません。

別の言い方をすると、隣接ルールのない副詞は「自由に位置させて良い」ということです。

では副詞の位置を「①自由」と「②隣接」の順にみていきましょう。

① 副詞の位置:自由に置く

英語の副詞のほとんどは「自由配置タイプ」になります。

いきなり「自由に置いていいよ!」と言われても困ってしまいます。

そこである程度は方針を持っておくとよいと思います。

【 自由配置タイプの副詞 】
・どこに置いても基本はOK
・関連性を強めたい単語があれば近くに置きたい
・否定語の効果範囲に注意する

副詞の位置は「使用ルール」からみれば大きく気にすることはありません。

関連性の高いことは近くに置くことで相手に伝わりやすくなります。

では例文を見ていきます。

  1. Always he is late.
  2. He is always late. 
  3. He is late always.

この3つの中で一番スタンダードなのは②です。

だからといってほかが「間違い」なのではありません。

副詞の位置により「関連性の強さ」にすこし差が出てきます。

  1. Slowly he stopped walking.
  2. He stopped walking slowly.

どちらも文法的に OK ですが、すこし変化が生まれます。

  • Slowly he stopped walking.
  • ゆっくりと 彼は 止めた 歩くこと。
  • ≒ ゆっくりと彼は歩くのをやめた(止める動作=ゆっくり)
  • He stopped walking slowly.
  • 彼は 止めた 歩くこと ゆっくりと
  • ≒ 彼はゆっくりと歩くのをやめた(歩く動作=ゆっくり)

このような違いはあまり明確ではないので「語順通り」に意味をとれば大丈夫です。

ところが否定語」がある場合は要注意です。

【 英語の否定語 】
・代表例は no / not / never など 
・英語の否定語は話し手の意図に合わせて置かれる
・否定語より後ろの内容が否定される
実際に否定語を使った例を見ていきます。
  1. He did not die naturally.
  2. Naturally, he did not die.

英語の not が入ると not より後ろの内容が否定されます。

  • He did not die naturally.
  • 彼は自然に死ななかった。
  • ≒(他殺の疑いのある)不自然な死に方をした。
  • Naturally, he did not die.
  • 自然なことして、彼は死ななかった
  • ≒(映画の主人公なので)当然、死ぬことはなかった。

否定語の場合は注意が必要ですが、基本は「語順通り」に理解することで解決します。

自由な位置でおける副詞だからこその注意点を確認しておきます。

【 自由に置ける副詞の注意点 】
① 自由に配置できるため、置き場所で意味・ニュアンスの差を生む
② 関連性の強い内容は近くに配置しておきたい
③ 否定語の範囲内・範囲外で大きく意味が変わる
ここですこし余談ですが、シェイクスピアの時代に使われていた「近代英語 Modern English」とよばれる時代の英語は現在英語と比べて語順ルールがゆるいです。

そのため否定語が自由に置かれる可能性があります。

  • Know you not?(近代英語)
  • Don’t you know?(現代英語)

このようなケースがあるので、ちょっと古い英語を読むときは「否定語」の「位置」よりも「意味」を優先するようにしてください。

では話を「副詞」にもどします。

② 副詞の位置:隣接させて置く

多くの副詞は「自由」に置くことができます。

その中には「形容詞・副詞を説明する」という役目の副詞もあります。

この場合は「説明する英単語の隣」に置きます。

  • She is so nice.
  • 彼女は = そんなにやさしい。
  • ≒ 彼女はすごくやさしい。
  • She did it so quickly.
  • 彼女は した それを そんなに 素早く。
  • ≒ 彼女は一瞬でそれを行った。
  • It was too big.
  • それは 過去= 過剰に 大きい。
  • ≒ それは大きすぎた。
  • It happened too fast.
  • それは 起こった 過剰に 速く。
  • ≒ それはあまりにも速く起こった。

副詞でつかう場合の enough は「後ろから説明」です。

  • This is good enough for me.
  • これは = よい 十分に 私にとって。
  • ≒ これは私には十分に良いものだ。
【 英単語 enough 】
前から名詞を説明(形容詞 or 限定詞)
後ろから形容詞・副詞を説明(副詞)

この「隣接」の副詞は「自由」に配置させてもよいものがほとんどです。

ところが副詞 very は「自由に置くことができない副詞」となります。

それゆえ「隣接させて使う」という使い方しかできなくなるんです。

  • He is very tall.
  • He runs very fast.

副詞は「隣接」させるグループのほうが少ないです。

隣接させる副詞を理解して置けば、残りは「自由に置く」という使い方ができます。

【 副詞を覚えるポイント 】
① 形容詞・副詞を説明するグループを覚える(少数)
② その残りは自由に置いてよいグループになる(多数)

英文法を覚えるときは「例外ルール」と「基本ルール」のどちらなのか識別して理解しましょう。

英文法で「基本ルール」になるのは「応用範囲が広いもの」です。こちらをまず覚えてください。

その「基本ルール」で対応できなものは「例外ルール」です。

どんなものであれ「例外ルール」は数が限られています

絶対にやめるべきは「どれもこれも丸暗記!」というやり方です。

まず「基本ルール」の応用範囲を限界まで広げてみます。

次に基本ルールの応用ではどうしても無理なことだけ「例外ルール」とします。

さらに「例外ルールの発動条件」を見切って、そこだけ注意をしておけば問題は起きません。

こうすると、実際の英語では基本ルールの応用が90%を占めるので、英語の運用のストレスがグンと減ります。

「副詞」句と「副詞」節の意味は使用ルール

英文法には「副詞句」と「副詞節」という用語が出てきます。

これも「副詞」の使用ルールに合わせた文法用語であることに変わりはありません。

副詞の使用ルールを踏まえて「句」と「節」を確認です。

  • 句 phrase:2つ以上の英単語のまとまり(文章 SV を含まない
  • 節 clause:2つ以上の英単語のまとまり(文章 SVを含む

カンタンに言い換えるとこうなります。

  • フレーズをひとまとめで使う時の呼び方
  • 文章をひとまとめで使う時の呼び方

英語は「英単語」だけでなく「句」と「節」もひとまとめで副詞のように扱えます。

  • 副詞句 adverbial phrase
  • 副詞節 adverbial clause

フレーズ(句)」を副詞の使用ルールに合わせると「副詞句 adverbial phrase」と呼ばれます。

  • フレーズ」を文の要素 SVOC 以外で使う副詞句
  • フレーズ」で形容詞・副詞を説明する副詞句

この仕組みは「文章(節)」でも同じです。

文章(節)」を副詞の使用ルールに合わせると「副詞節 adverbial clause」と呼ばれます。

  • 文章」を文の要素 SVOC 以外で使う副詞節
  • 文章」で形容詞・副詞を説明する 副詞節

このように「フレーズ」や「文章」も副詞の使用ルールを基準にして文法用語が決定されます。

副詞の意味する内容は一旦忘れて、「句」や「節」は使用ルールだけ考えるとよいと思います。

副詞を英文法の「仕組み」として理解すると、新たな視点で英語が見えると思います。

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