事実と意見はどう区別する?デカルトとニーチェに学ぶ自分の解釈を伝える4つの視点

学問と教育

みなさんは学校や会社などで、

🧑‍🏫自分の意見をはっきり主張しましょう!

――と指導されたことはありますか?

そして、こんなアドバイスをされた経験もあるかもしれません👇

🧑‍🏫意見事実を区別して話しましょう!

でも、

一生懸命頑張って意見を言ったのに…

  • 言いたいことが整理されていない
  • 感情や感覚だけで話している
  • 主張と結論が一致していない

……なんて言われた経験はありませんか?

そしてなによりもひどいのは、

🤪それはあなたの「感想」ですよね?

――と切り返されてしまうかもしれません。

そうなると…

😭自分の考えていることって事実意見?もしかして感想?!

……と、考えれば考えるほど分からなくなるかもしれません。

でも、大丈夫です😊

ちょっと視点を整理するだけで「意見」と「事実」って分かりやすくなるんです!

📜事実と意見の定義を知ろう!

原則として、知らない言葉に出会った場合はまず辞書を引きましょう。

(🤖ChatGPTなどのAIに聞くのもいいのですが辞書と併用するのがおススメです😊)

みなさんがご覧になっているのは英語の先生(私)のブログですから――

英語の定義に従って「事実 “fact”」と「意見 “opinion”」の関係をもう少し構造的に見ていきましょう!

さて、オックスフォード英語辞典によると…

fact: a thing that is known or proved to be true.

事実とは「真実であると周知・証明されている事柄

そして、

opinion: a view or judgement formed about something, not necessarily based on fact or knowledge.

意見とは「物事に対する見方や判断であり、それは必ずしも事実や知識に基づいたものである必要はない。

――とのことです。

ここでなかなか興味深いことがわかりませんか?

事実と意見はきっちりと分かれているわけではないんです。

つまり、意見(opinion)として言えることは、

  1. 事実に基づく内容
  2. 事実に基づかない内容

――のどちらも言ってもOKなんです😉

そう考えると――

🧑‍🏫意見事実を区別して話しましょう!

と、いうこのアドバイスにそもそも無理があるんです😭

しかし、事実と意見が曖昧に溶け合う時代だからこそ――

  • 思考の出発点」を据えたデカルト
  • 解釈の本質」を暴いたニーチェ

この2人の偉大な西洋哲学者の言葉が光り出します✨

🌍西洋哲学に学ぶ思考法

オックスフォードの英語辞書を見ても「意見」と「事実」の違いはあいまいでした。

それもそのはず。

なんと「意見と事実の違いとは何か?」という問題には、明確な答えが出ていないからです。

  • 人間が“分かる”とはどういうことか?
  • 事実”をどう知覚し、“意見”をどう形成するのか?

この謎は、最新の脳科学・心理学・AI研究でも依然として未解決のままです。

(📌ここでの「最新」とはブログの最新更新時とご理解ください)

だからこそ――

この課題と真正面からぶつかったデカルトニーチェの洞察は、いま読んでもまったく古びていません。

彼らの視点を現代語訳すると…

デカルト
(自分の考え=事実の出発点である)
☑️ニーチェ
(事実よりも「解釈」に責任をもて)

――こんなふうに理解できます。

🤔ホンマにデカルトニーチェもそんなこと言ってるんかな?

と、思われた方もおられるでしょう。

では、ここから実際にこの2人の思想を見ていきましょう!

デカルト:思考が事実の始まり

まずデカルトの名言と言えば――

我思う、ゆえに我あり

というあまりにも有名な言葉があります。

ルネ・デカルト - Wikipedia

デカルト自身はフランス語で書いていますが、ラテン語のほうが有名になりました。

  • Je pense, donc je suis.(フランス語)
  • I think, therefore I am.(英語)
  • Cogito, ergo sum.(ラテン語)

どうも日本語だといまいち重要性がつかみにくい内容ですが――

その理由は、この言葉が聖書と科学が矛盾し始めた時代のヨーロッパで生まれたからです。

中世ヨーロッパでは長らくキリスト教による「真実」が社会の中心でした。

ですが、

  • 望遠鏡が木星の衛星を見つける
  • 地動説が強まる
  • 聖書の記述と観測結果が合わない

というような矛盾が知られるにつれ「真実」そのものへの不信感が高まり、社会は混乱していました。

そしてデカルト自身もこの混乱の中にいながら悩んでいました。

そこでデカルトは、ある大胆な決断をします。

💡なにが真実かわからないなら、いったん全部疑ってしまおう

外の情報は揺らいでも、ひとつだけ揺らがないものがある。

それは――『疑っている自分の思考』そのものです。

🎯世界がどうであれ『私は今、考えている』いう事実だけは否定できない!

この一点を確信した瞬間に、

『我思う、ゆえに我あり』という思考の出発点が生まれました。

これが西洋哲学の転換点となり「論理的な推論」や「自分の視点」を大切にする近代の思考法が生まれます。


みなさんが、

『🤔自分の考えは、意見なの?事実なの?感想なの?』

――と迷うその瞬間、すでに『自分の思考を観察する力』を働かせています。

これこそまさに「考えることからすべてが始まる」という姿勢そのものです!

ですが、思考はスタートできても、

『では世界はどう見えるのか?』という問いは残されています。

この問いをまるごと引き受けたのが、19世紀の異端児ニーチェです。

では、ここからニーチェの視点を借りて「事実と解釈」の本当の関係に踏み込んでいきましょう!

ニーチェ:事実はなく解釈がある

ではニーチェの名言からご紹介します。

There are no facts, only interpretations.

『事実は存在しない、存在するのは解釈だけである。』

ニーチェの生きた19世紀のヨーロッパではキリスト教だけでなく、様々な社会の変革が起き大きな混乱が生じていました。

このニーチェの言葉は――

共有できるはずの「事実」ですら見る者の「視点」の数だけ姿を変える。

つまり「事実をどの視点から見るのか?」という解釈(interpretations)だけが存在する。

――ということを表しています。

もちろん、ニーチェは事実を否定したのではありません。

🔍事実というものは「視点」というレンズを通してしか見えない

というとてもシンプルな洞察を述べただけなんです。

フリードリヒ・ニーチェ - Wikipedia

デカルトが「考える私」から真理を探そうとし、ニーチェが「見る立場」を問い直した。

この2人に共通するのは「視点(perspective)」であり、ここからすべての「解釈」は生まれます。

それでは、実践的なコミュニケーションで使える「視点の活用法」へに進んでいきましょう!

🌈解釈を4つの視点に分類!

デカルトとニーチェが示したように――

私たちが語るあらゆるものは、結局は「解釈(interpretation)」になります。

そしてこれはコミュニケーションの場でも同じです。

😭どれだけ考えても、相手に届くのは「あなたの解釈」でしかない。

では、どうすればその解釈を正しく伝えられるのでしょうか?

ここで役に立つのが、デカルト以降の哲学でも重要とされる――

主観』『客観』という区別です。

まずはシンプルにこう理解すればOKです👇

主観(subjective)
⇒ 自分には分かるが、他人には共有できない部分

☑️客観的(objective)
⇒ 自分以外にも確認・再現できる部分

(哲学では深い議論になるのですが、ここでは実用レベルに割り切りましょう😊)

次に、ここで意見事実の定義を再確認します👇

  • 意見(opinion)
    物事の見方・判断
  • 事実(fact)
    周知・証明されていること

そして、これらすべてを組み合わせると――

自分の解釈を分類できる「4つの視点モード」をつくることができます。

🟦客観 × 事実情報提供モード
→ 誰が測っても同じ結果になる情報
(例)科学・統計・歴史など

🟥主観 × 事実体験提示モード
→ 自分は確かに経験したが、再現はできない
(例)感覚・思い出・独自の体験など

🟩客観 × 意見 ⇒ 認識共有モード
→ 社会・文化・法律・価値観で共有される基準
(例)倫理・合意・慣習など

🟨主観 × 意見 ⇒ 信念主張モード
→ 個人の思想・美学・信念
(例)アイデンティティ・哲学・美意識など

ではここから、

この4つの視点を活用する方法をくわしく見ていきましょう!

🟦情報提供モード(客観 × 事実)

――あなたの視点が世界とつながる――

ここは「誰が見ても同じになる世界」です。

科学・統計・歴史・公式データなど、事実は「あなた」ではなく「世界の側」に根拠を持ちます。

そのため、

  • 再現性(replicability)
  • 検証可能性(verifiability)

――などが基準になります。

この情報提供モードの役割は、

  • 誤解を最小化する
  • 意見の土台(premise)を提供する
  • 議論の「安全地帯」をつくる

などがあります。

では「あなたの解釈」を伝える前に使うと効果的な「前置き表現」も見ていきましょう。

🌸日本語で使える前置き表現
  • まず事実としてお伝えすると、
  • これはデータとして確認できますが、
  • 統計上は○○という結果が出ていますが、
  • 観測された事実としては、
🎩英語で使える前置き表現
  • According to the data,
  • Statistically speaking,
  • It is a confirmed fact that…
  • Research shows that…

情報提供モードとは、

🎯「私はこう思う」ではなく「世界はこうなっている」と情報を伝えるモード。

主観を使わずに、議論の基盤を整える働きを持ちます。

🟥体験提示モード(主観 × 事実)

――あなたという唯一の観測点から見える世界――

ここで扱うのは「確かに自分には起きたが、他者には確認できない事実」 です。

あなたの記憶・感覚・経験は誰も再現できません。

でも「あなただけが分かる体験」を提示することはできます。

実際にこんな例があります👇

  • 怖かった
  • 痛かった
  • 幸せだった
  • 現場でこう見えた
  • 私の環境ではこう起きた

これらは科学的に再現できなくても「心理学的事実(phenomenological fact)」として重要な領域です。

この体験提示モードの役割は、

  • 感情や経験に基づく“リアリティ”を共有
  • 他者が気づけない視点を補強
  • 議論に深みを与える

などがあります。

では効果的な「前置き表現」も見ていきましょう。

🌸日本語で使える前置き表現
  • 私自身の経験としては、
  • 個人的な体験ではありますが、」
  • 主観的には○○と感じましたが、
  • あくまでも私が見た範囲ではありますが、
🎩英語で使える前置き表現
  • In my experience,
  • From what I observed,
  • Subjectively speaking,
  • As far as I could see,

体験提示モードとは…

🎯事実を「本当の姿」を知るためにあなた独自のデータを提示するモード

これは「客観的事実の補助」としてとても有効に機能します。


🟩認識共有モード(客観 × 意見)

――視点を共有する社会を作る――

これは文化・倫理・法律・慣習・社会的合意の領域です。

それは誰かの「感想」ではなく、共同体が積み上げてきた「合意」です。

ここでの意見は「個人ではなく社会」を背負います。

実際に例をみてみましょう👇

  • 子どもは守るべきだ(倫理)
  • 法律は守るべきだ(社会合意)
  • 教育は重要だ(価値観)

これらを全否定する社会が存在しているのでしょうか?

もしあるとしても、それは我々の基準では「社会」とは呼べないものでしょう。

この認識共有モードは…

  • 社会的基準を共有し、論点を揃える
  • 対話のための価値感を一致させる
  • 説得のための「公共的土台」を形成する

――といった「一般常識」や「社会通念」を参照するときの領域です。

では、使えると便利な「前置き表現」も見ていきましょう。

🌸日本語で使える前置き表現
  • 一般的には○○とされていますが、
  • 社会的には○○と考えられています。
  • 多くの人が共通して持つ認識としては、
  • 倫理的には○○とするのが標準です。
🎩英語で使える前置き表現
  • Generally speaking,
  • Socially speaking,
  • It is widely accepted that…
  • From an ethical standpoint,

認識共有モードとは…

🎯「公共の価値判断」を借りて説得力を補強するモード

つまり論理そのものよりも「合意(consensus)」が重要になります。

🟨信念主張モード(主観 × 意見)

――世界がまだ知らない「あなたの視点」を生み出す――

この領域は個人の哲学・思想・世界観・美学を扱います。

誰にも証明できないけれども、あなたにしか語れない。

たとえばこんなことです👇

  • 私はこう生きたい
  • 世界はこうあるべきだ
  • 芸術とはこうだ
  • 人間とはこういう存在だ

まさに自分が自分であるための根底にあるものです。

この信念主張モードは…

  • 独自の価値観を提示する
  • 新しい概念や理論を生む
  • 創造的な議論のきっかけになる

という「最も誤解されやすいが、最も創造的な領域」です。

ただし――

ここは諸刃の剣(double-edged blade)でもあります。

💣伝え方を間違えると「独りよがり」になる危険性も大きい!

だからこそ「慎重な前置き」が極めて重要です!

🌸日本語で使える前置き表現
  • ただの私個人の考えでしかないのですが、
  • ここからは私の信念になりますが、
  • これはあくまでも一つの仮説にすぎませんが、
  • 個人的な価値観としてみれば、
🎩英語で使える前置き表現
  • This is purely my belief, but…
  • From my philosophical standpoint,
  • This is just one hypothesis, but…
  • As a personal value,

信念主張モード

🎯「最強の創造性」を持つが、受け入れにくく最も誤解されやすい

だからこそ…

📌慎重に前置きをすることで誤解を防ぐ作業が必要になる!

こうすることでコミュニケーションの場に安全に投入できるようになります。


ではここまでの4つの視点のポイントをまとめると…

視点モード説得力の源泉誤解リスク
🟦情報提供データ
🟥体験提示体験のリアリティ
🟩認識共有文化・倫理
🟨信念主張哲学・価値観

これら4つとも必要で、バランスよく使っていきましょう。

重要なことは――

🌍自分が「どの視点モード」で相手に話しているかを自覚すること

これこそがコミュニケーションを効果的に成立させる第一歩になります。


⭐Closing Thought

ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌

一番大切なのは、事実と意見を機械的に分けることではありません。

それよりも大切なのは――

『自分がどの視点で語っているのか?』

――ということをきっちりと聞き手に伝えることです。

視点さえ共有できれば、議論でも報告でもぶつからずに進めることができます。

それこそがコミュニケーションの知恵と呼ぶべきものでしょう。

では、せっかくですから最後に…

ちょっとニーチェのまねをして締めてみましょう😝

There is no fact-or-opinion, only our perspectives.

『事実と意見は区別せんでもええんちゃう。大切なのは、“自分の視点” を自覚しながら対話することやから。(超意訳🤪)』

ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡

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