みなさんは学校や会社などで、
🧑🏫自分の意見をはっきり主張しましょう!
――と指導されたことはありますか?
そして、こんなアドバイスをされた経験もあるかもしれません👇
🧑🏫意見と事実を区別して話しましょう!
でも、
一生懸命頑張って意見を言ったのに…
- 言いたいことが整理されていない
- 感情や感覚だけで話している
- 主張と結論が一致していない
……なんて言われた経験はありませんか?
そしてなによりもひどいのは、
🤪それはあなたの「感想」ですよね?
――と切り返されてしまうかもしれません。
そうなると…
😭自分の考えていることって事実?意見?もしかして感想?!
……と、考えれば考えるほど分からなくなるかもしれません。
でも、大丈夫です😊
ちょっと視点を整理するだけで「意見」と「事実」って分かりやすくなるんです!
📜事実と意見の定義を知ろう!
原則として、知らない言葉に出会った場合はまず辞書を引きましょう。
(🤖ChatGPTなどのAIに聞くのもいいのですが辞書と併用するのがおススメです😊)
みなさんがご覧になっているのは英語の先生(私)のブログですから――
英語の定義に従って「事実 “fact”」と「意見 “opinion”」の関係をもう少し構造的に見ていきましょう!
さて、オックスフォード英語辞典によると…
✅fact: a thing that is known or proved to be true.
⇒ 事実とは「真実であると周知・証明されている事柄」
そして、
✅opinion: a view or judgement formed about something, not necessarily based on fact or knowledge.
⇒ 意見とは「物事に対する見方や判断であり、それは必ずしも事実や知識に基づいたものである必要はない。」
――とのことです。
ここでなかなか興味深いことがわかりませんか?
事実と意見はきっちりと分かれているわけではないんです。
つまり、意見(opinion)として言えることは、
- 事実に基づく内容
- 事実に基づかない内容
――のどちらも言ってもOKなんです😉
そう考えると――
🧑🏫意見と事実を区別して話しましょう!
と、いうこのアドバイスにそもそも無理があるんです😭
しかし、事実と意見が曖昧に溶け合う時代だからこそ――
- 「思考の出発点」を据えたデカルト
- 「解釈の本質」を暴いたニーチェ
この2人の偉大な西洋哲学者の言葉が光り出します✨
🌍西洋哲学に学ぶ思考法
オックスフォードの英語辞書を見ても「意見」と「事実」の違いはあいまいでした。
それもそのはず。
なんと「意見と事実の違いとは何か?」という問題には、明確な答えが出ていないからです。
- 人間が“分かる”とはどういうことか?
- “事実”をどう知覚し、“意見”をどう形成するのか?
この謎は、最新の脳科学・心理学・AI研究でも依然として未解決のままです。
(📌ここでの「最新」とはブログの最新更新時とご理解ください)
だからこそ――
この課題と真正面からぶつかったデカルトとニーチェの洞察は、いま読んでもまったく古びていません。
彼らの視点を現代語訳すると…
✅デカルト
⇒(自分の考え=事実の出発点である)
☑️ニーチェ
⇒(事実よりも「解釈」に責任をもて)
――こんなふうに理解できます。
🤔ホンマにデカルトもニーチェもそんなこと言ってるんかな?
と、思われた方もおられるでしょう。
では、ここから実際にこの2人の思想を見ていきましょう!
デカルト:思考が事実の始まり
まずデカルトの名言と言えば――
『我思う、ゆえに我あり』
というあまりにも有名な言葉があります。

デカルト自身はフランス語で書いていますが、ラテン語のほうが有名になりました。
- Je pense, donc je suis.(フランス語)
- I think, therefore I am.(英語)
- Cogito, ergo sum.(ラテン語)
どうも日本語だといまいち重要性がつかみにくい内容ですが――
その理由は、この言葉が聖書と科学が矛盾し始めた時代のヨーロッパで生まれたからです。
中世ヨーロッパでは長らくキリスト教による「真実」が社会の中心でした。
ですが、
- 望遠鏡が木星の衛星を見つける
- 地動説が強まる
- 聖書の記述と観測結果が合わない
というような矛盾が知られるにつれ「真実」そのものへの不信感が高まり、社会は混乱していました。
そしてデカルト自身もこの混乱の中にいながら悩んでいました。
そこでデカルトは、ある大胆な決断をします。
💡なにが真実かわからないなら、いったん全部疑ってしまおう。
外の情報は揺らいでも、ひとつだけ揺らがないものがある。
それは――『疑っている自分の思考』そのものです。
🎯世界がどうであれ『私は今、考えている』いう事実だけは否定できない!
この一点を確信した瞬間に、
『我思う、ゆえに我あり』という思考の出発点が生まれました。
これが西洋哲学の転換点となり「論理的な推論」や「自分の視点」を大切にする近代の思考法が生まれます。
みなさんが、
『🤔自分の考えは、意見なの?事実なの?感想なの?』
――と迷うその瞬間、すでに『自分の思考を観察する力』を働かせています。
これこそまさに「考えることからすべてが始まる」という姿勢そのものです!
ですが、思考はスタートできても、
『では世界はどう見えるのか?』という問いは残されています。
この問いをまるごと引き受けたのが、19世紀の異端児ニーチェです。
では、ここからニーチェの視点を借りて「事実と解釈」の本当の関係に踏み込んでいきましょう!
ニーチェ:事実はなく解釈がある
ではニーチェの名言からご紹介します。
There are no facts, only interpretations.
『事実は存在しない、存在するのは解釈だけである。』
ニーチェの生きた19世紀のヨーロッパではキリスト教だけでなく、様々な社会の変革が起き大きな混乱が生じていました。
このニーチェの言葉は――
共有できるはずの「事実」ですら見る者の「視点」の数だけ姿を変える。
つまり「事実をどの視点から見るのか?」という解釈(interpretations)だけが存在する。
――ということを表しています。
もちろん、ニーチェは事実を否定したのではありません。
🔍事実というものは「視点」というレンズを通してしか見えない
というとてもシンプルな洞察を述べただけなんです。

デカルトが「考える私」から真理を探そうとし、ニーチェが「見る立場」を問い直した。
この2人に共通するのは「視点(perspective)」であり、ここからすべての「解釈」は生まれます。
それでは、実践的なコミュニケーションで使える「視点の活用法」へに進んでいきましょう!
🌈解釈を4つの視点に分類!
デカルトとニーチェが示したように――
私たちが語るあらゆるものは、結局は「解釈(interpretation)」になります。
そしてこれはコミュニケーションの場でも同じです。
😭どれだけ考えても、相手に届くのは「あなたの解釈」でしかない。
では、どうすればその解釈を正しく伝えられるのでしょうか?
ここで役に立つのが、デカルト以降の哲学でも重要とされる――
『主観』と『客観』という区別です。
まずはシンプルにこう理解すればOKです👇
✅主観(subjective)
⇒ 自分には分かるが、他人には共有できない部分☑️客観的(objective)
⇒ 自分以外にも確認・再現できる部分
(哲学では深い議論になるのですが、ここでは実用レベルに割り切りましょう😊)
次に、ここで意見と事実の定義を再確認します👇
- 意見(opinion)
⇒ 物事の見方・判断- 事実(fact)
⇒ 周知・証明されていること
そして、これらすべてを組み合わせると――
自分の解釈を分類できる「4つの視点モード」をつくることができます。
🟦客観 × 事実 ⇒ 情報提供モード
→ 誰が測っても同じ結果になる情報
(例)科学・統計・歴史など🟥主観 × 事実 ⇒ 体験提示モード
→ 自分は確かに経験したが、再現はできない
(例)感覚・思い出・独自の体験など🟩客観 × 意見 ⇒ 認識共有モード
→ 社会・文化・法律・価値観で共有される基準
(例)倫理・合意・慣習など🟨主観 × 意見 ⇒ 信念主張モード
→ 個人の思想・美学・信念
(例)アイデンティティ・哲学・美意識など
ではここから、
この4つの視点を活用する方法をくわしく見ていきましょう!
🟦情報提供モード(客観 × 事実)
――あなたの視点が世界とつながる――
ここは「誰が見ても同じになる世界」です。
科学・統計・歴史・公式データなど、事実は「あなた」ではなく「世界の側」に根拠を持ちます。
そのため、
- 再現性(replicability)
- 検証可能性(verifiability)
――などが基準になります。
この情報提供モードの役割は、
- 誤解を最小化する
- 意見の土台(premise)を提供する
- 議論の「安全地帯」をつくる
などがあります。
では「あなたの解釈」を伝える前に使うと効果的な「前置き表現」も見ていきましょう。
🌸日本語で使える前置き表現
- まず事実としてお伝えすると、
- これはデータとして確認できますが、
- 統計上は○○という結果が出ていますが、
- 観測された事実としては、
🎩英語で使える前置き表現
- According to the data,
- Statistically speaking,
- It is a confirmed fact that…
- Research shows that…
情報提供モードとは、
🎯「私はこう思う」ではなく「世界はこうなっている」と情報を伝えるモード。
主観を使わずに、議論の基盤を整える働きを持ちます。
🟥体験提示モード(主観 × 事実)
――あなたという唯一の観測点から見える世界――
ここで扱うのは「確かに自分には起きたが、他者には確認できない事実」 です。
あなたの記憶・感覚・経験は誰も再現できません。
でも「あなただけが分かる体験」を提示することはできます。
実際にこんな例があります👇
- 怖かった
- 痛かった
- 幸せだった
- 現場でこう見えた
- 私の環境ではこう起きた
これらは科学的に再現できなくても「心理学的事実(phenomenological fact)」として重要な領域です。
この体験提示モードの役割は、
- 感情や経験に基づく“リアリティ”を共有
- 他者が気づけない視点を補強
- 議論に深みを与える
などがあります。
では効果的な「前置き表現」も見ていきましょう。
🌸日本語で使える前置き表現
- 私自身の経験としては、
- 個人的な体験ではありますが、」
- 主観的には○○と感じましたが、
- あくまでも私が見た範囲ではありますが、
🎩英語で使える前置き表現
- In my experience,
- From what I observed,
- Subjectively speaking,
- As far as I could see,
体験提示モードとは…
🎯事実を「本当の姿」を知るためにあなた独自のデータを提示するモード
これは「客観的事実の補助」としてとても有効に機能します。
🟩認識共有モード(客観 × 意見)
――視点を共有する社会を作る――
これは文化・倫理・法律・慣習・社会的合意の領域です。
それは誰かの「感想」ではなく、共同体が積み上げてきた「合意」です。
ここでの意見は「個人ではなく社会」を背負います。
実際に例をみてみましょう👇
- 子どもは守るべきだ(倫理)
- 法律は守るべきだ(社会合意)
- 教育は重要だ(価値観)
これらを全否定する社会が存在しているのでしょうか?
もしあるとしても、それは我々の基準では「社会」とは呼べないものでしょう。
この認識共有モードは…
- 社会的基準を共有し、論点を揃える
- 対話のための価値感を一致させる
- 説得のための「公共的土台」を形成する
――といった「一般常識」や「社会通念」を参照するときの領域です。
では、使えると便利な「前置き表現」も見ていきましょう。
🌸日本語で使える前置き表現
- 一般的には○○とされていますが、
- 社会的には○○と考えられています。
- 多くの人が共通して持つ認識としては、
- 倫理的には○○とするのが標準です。
🎩英語で使える前置き表現
- Generally speaking,
- Socially speaking,
- It is widely accepted that…
- From an ethical standpoint,
認識共有モードとは…
🎯「公共の価値判断」を借りて説得力を補強するモード
つまり論理そのものよりも「合意(consensus)」が重要になります。
🟨信念主張モード(主観 × 意見)
――世界がまだ知らない「あなたの視点」を生み出す――
この領域は個人の哲学・思想・世界観・美学を扱います。
誰にも証明できないけれども、あなたにしか語れない。
たとえばこんなことです👇
- 私はこう生きたい
- 世界はこうあるべきだ
- 芸術とはこうだ
- 人間とはこういう存在だ
まさに自分が自分であるための根底にあるものです。
この信念主張モードは…
- 独自の価値観を提示する
- 新しい概念や理論を生む
- 創造的な議論のきっかけになる
という「最も誤解されやすいが、最も創造的な領域」です。
ただし――
ここは諸刃の剣(double-edged blade)でもあります。
💣伝え方を間違えると「独りよがり」になる危険性も大きい!
だからこそ「慎重な前置き」が極めて重要です!
🌸日本語で使える前置き表現
- ただの私個人の考えでしかないのですが、
- ここからは私の信念になりますが、
- これはあくまでも一つの仮説にすぎませんが、
- 個人的な価値観としてみれば、
🎩英語で使える前置き表現
- This is purely my belief, but…
- From my philosophical standpoint,
- This is just one hypothesis, but…
- As a personal value,
信念主張モードは
🎯「最強の創造性」を持つが、受け入れにくく最も誤解されやすい。
だからこそ…
📌慎重に前置きをすることで誤解を防ぐ作業が必要になる!
こうすることでコミュニケーションの場に安全に投入できるようになります。
ではここまでの4つの視点のポイントをまとめると…
| 視点モード | 説得力の源泉 | 誤解リスク |
|---|---|---|
| 🟦情報提供 | データ | 小 |
| 🟥体験提示 | 体験のリアリティ | 中 |
| 🟩認識共有 | 文化・倫理 | 中 |
| 🟨信念主張 | 哲学・価値観 | 大 |
これら4つとも必要で、バランスよく使っていきましょう。
重要なことは――
🌍自分が「どの視点モード」で相手に話しているかを自覚すること
これこそがコミュニケーションを効果的に成立させる第一歩になります。
⭐Closing Thought
ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌
一番大切なのは、事実と意見を機械的に分けることではありません。
それよりも大切なのは――
『自分がどの視点で語っているのか?』
――ということをきっちりと聞き手に伝えることです。
視点さえ共有できれば、議論でも報告でもぶつからずに進めることができます。
それこそがコミュニケーションの知恵と呼ぶべきものでしょう。
では、せっかくですから最後に…
ちょっとニーチェのまねをして締めてみましょう😝
There is no fact-or-opinion, only our perspectives.
『事実と意見は区別せんでもええんちゃう。大切なのは、“自分の視点” を自覚しながら対話することやから。(超意訳🤪)』
ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡
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