英語では、動物と肉で名前が変わることがあります。
たとえば、
🐄 cow(牛) ⇒ beef(牛肉)
🐖 pig(豚)⇒ pork(豚肉)
🐑 sheep(羊) ⇒ mutton(羊肉)
こうみると日本語は「動物+肉」にするだけです!
それに比べると英語はどうしてこうもややこしいのでしょう?
😵世界中で使われる言語やねんから、もう少し分かりやすくならんもんかな~。
と、私はずっと思ってきました。
しかし、これには英語の成り立ちにかかわる歴史がかかわっているんです!
🐺古英語では動物と肉は同じ名前
実は、もともと昔の英語(古英語)では、
動物に関する英単語がややこしかったわけではないんです。
基本的に、
✅古英語では「動物」の名前と「肉」の名前と同じです!
たとえば、
🐖古英語 swin(現代英語の swine)
https://en.wiktionary.org/wiki/swin#Old_English
⇒ 豚と豚肉のどちらも意味する
一般的に「豚」を意味する pig は、元々は「子供の豚」を表す語でした。
一方で swine は「大人の豚」を指していた言葉です。
(📌英語 swine はドイツ語の Schwein(豚)と同じゲルマン語由来です)
実例としては、
🦪pearls before swine(豚に真珠)
といったことわざで使われています。
では、現代英語に残る大きな違いはどこから来たのでしょうか?
その背景には、
英語がフランス語とぶつかる「ある歴史的事件」がありました!
🌹ノルマン人がフランス語を持ちこむ
時は1066年、
英語の歴史の中でも「最大の転換点」と呼べる出来事が起こります。
それが『ノルマン人征服』です。
この年、フランスに領土を持っていたノルマン人がイングランドを征服します。

これが英語の言語の歴史に影響を与えることになり、
古英語(Old English)から中英語(Middle English)への変化点になりました。

フランス語が支配階級の言葉になる
当時のノルマン人は、古フランス語(Old French)を話す人たちでした。
一方、イングランドにもともと住んでいたアングロ=サクソン系の人たちは、古英語(Old English)を話していました。
この2つの言語は、異なった特徴を持つ言語グループに属します:
- 古フランス語 ⇒ ロマンス語の仲間
- 古英語 ⇒ ゲルマン語の仲間

そして、ノルマン人征服以降、
当時の社会には言語においても分業が生まれます。
👨🌾英語 ⇒ 市民・農民
(村、牧場、畑)🫅フランス語 ⇒ 王族・貴族
(城、宮廷、裁判、政治)
このように社会階級の区別が、そのまま言語の区別になりました。
そして動物と肉の名前の違いが生まれたのは、動物を見る場所が異なっていたからです。
具体的には…
🐄生きている動物(古英語)
⇒ 畑・牧場・日常生活🥩食べ物としての肉(古フランス語)
⇒ 食材・料理・食事の場
というように、見る場所が変われば言葉も変わります。
このように中英語の時代に、
英語はフランス語を少しずつ取り込みながら、現代英語に近い形へと変化していきました。
🌈動物は英語、肉はフランス語
フランス語と混ざった歴史をもつ英語には、
cow を育てて、beef を食べる😋
という不思議な特徴が生まれました。
ですがここで注意です!
🚨全ての英語の肉名がフランス語というわけではありません!
当然のことですが、
フランス語を話す貴族が、イギリスで食べていた肉だけがフランス語由来です。
ではここから、
フランス語源がそのまま肉名になったものをご紹介します!
🐄cow(牛)/ beef(牛肉)
⇒ フランス語:bœuf🐖pig(豚)/ pork(豚肉)
⇒ フランス語:porc🐑sheep(羊)/ mutton(羊肉)
⇒ フランス語:mouton🐂calf (子牛)/ veal(子牛肉)
⇒ フランス語:veau
そして重要なこととして、
原則的に、フランス語も動物とその肉を同じ言葉で表します。
- bœuf(牛/牛肉)
- porc(豚/豚肉)
- mouton(羊/羊肉)
- veau(子牛/子牛肉)
むしろ世界の言語をみると、
✅同じ種類の動物なら、肉も同じ言葉でよい!
というほうが圧倒的に多数派です😂
ただ一部、フランス語でも vache(乳牛)のように、役割によって区別されることもあります。
- vache(乳牛)
⇒ 乳を出す・農業資源として重要 - bœuf(牛/牛肉)
⇒ 動物と肉の一般名称
それではここから、
英語にあるすこし特殊な肉名の由来へ進みます。
シカ肉 venison の由来は狩猟肉
🫎deer(鹿)/ venison(鹿肉)
https://en.wiktionary.org/wiki/venison
⇒ フランス語:venaison
英語の venison(鹿肉)の語源は、フランス語では venaison(狩猟肉)です。
さらに語源をさかのぼると、ラテン語の venari(狩る、追う)になります。
当時のフランスでは、鹿が代表的な狩猟対象だったため、venaison が英語では「鹿肉」を指す語(venison)として定着しました。
まずノルマン人たちはイギリスに来たときに、狩猟を「王や貴族の特権」として扱いました。
その理由は、
🏹狩猟が軍事訓練につながるため、被支配階級からの反乱を防止する意味合いもあったから。
というわけです。
これは日本の中世の武士たちが「巻狩(まきがり)」といって、
騎馬集団を率いて弓で狩猟することが、軍事訓練の意味もあったことからもわかります。
ヤギ肉 chevon はアメリカの造語
🐐goat(山羊)/ chevon(山羊肉)
https://en.wiktionary.org/wiki/chevon
⇒ フランス語:chèvre
この chevon はフランス語から作られた造語です。
🧬chèvre(山羊) + mutton(羊肉)の語尾の組み合わせ!
20世紀にアメリカでヤギ肉を売るために作られたマーケティングのための言葉というわけです。
英語でも goat meat よりも chevon のほうが、おいしそうに聞こえるようですね😋
もちろん中英語に chevon は存在していません😂
ちなみに、フランス語でヤギ(chèvre)といえば、
画家のマルク・シャガール(Marc Chagall)が有名です。
シャガールはロシアの農村で育ったユダヤ人で、
フランスが創作活動の中心でしたが、絵画の中にヤギを主要なテーマとしてよく登場させています。
ハト肉 squab は北欧の語源?
🕊️pigeon(鳩)/ squab(鳩肉)
https://en.wiktionary.org/wiki/squab
⇒ スウェーデン語:skvabb(ぽっちゃり、まるまる)
この squab はスウェーデン語由来とされますが、詳細は未確定です。
鳩肉そのものはイギリスで食べられていましたが、
フランス語に置き換わらなかったのは、フランス語を話す貴族階級の宮廷料理として定着しなかったからです。
🥩中英語に存在しなかった肉は animal + meat
ここまで見てきたように、
英語で動物名と肉名が分かれているケースではフランス語の影響がありました。
しかし中英語の時期(おおよそ11〜15世紀)以降に、人類が食べるようになった動物は数多くあります。
それらの多くには、肉名がそもそも存在していません。
たとえば、普段食べないものを選ぶと…
- カンガルー
- ライオン
- ワニ
当然、これらは中世ヨーロッパの食文化として存在しなかった肉です。
その結果、英語ではとても素直な方法が選ばれました。
✅動物の名前 + meat(肉)
つまり
- kangaroo meat
- lion meat
- crocodile meat
という形です。
こうして見ると、日本語の発想とほぼ変わらないのが分かります。
肉を意味する meat と flesh の違い
現代英語で meat は「肉」を意味しますが、
もともとは 「食べ物」全般 を意味する言葉でした。
一方で、
純粋に「肉(身体の肉)」を表していたのが flesh です。
その名残が、今も英語に残っています。
✅He is my flesh and blood.
⇒ 彼は私の肉親です(*肉体と血縁)
ここでの flesh は「食材の肉」ではなく『肉体・身体・生命そのもの』を表しています。
つまり、
- meat
⇒ 食べ物としての肉 - flesh
⇒ 身体としての肉
という役割分担が、英語の中には今も生きています。
このように、中英語に入ってきた「フランス語の肉名」に加えて、
英語が本来持っている「素直な肉の命名」も覚えておいて下さい😉
⭐Closing Thought
ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌
英語の動物と肉の名前が違うことは、
イギリスとフランスの歴史につながっていました。
もちろん日本語にもたくさんフランス語がたくさん入っていますが、
なかなかその由来までは見えにくいものも多いと思います。
ちなみにフランス語からきた日本の造語と言えば…
やはり個人的1位は「タカラジェンヌ」ですかね?
- Paris(パリ:都市名)
- Parisian(パリの人:男性形)
- Parisienne(パリの人:女性形)
ちょっと頑張りすぎという気もしますが、知名度は抜群です😂
そう考えると…
✨新しい言葉は、成り立ちはどうであれ、それを使う人たちがいるからこそ残る!
それは英語でも、日本語でも、同じことなのかもしれません。
ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡
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