ヒノキとスイセンの英語名に見るギリシャ神話と日本との意外な共通点

英語で広がる世界の教養

英語の語源をたどると、神話に由来するものが多くあります。

たとえば、ヒノキスイセンの英名の由来は、ギリシャ神話に行き着きます。

そしてその背景を見ていくと、なぜだか日本の感覚ともつながるように思えてきます。

ではここから、

ヒノキとスイセンの英語名と「人間と植物の物語」を見ていきましょう。


🌲ヒノキの英名 cypress とギリシャ神話

ヒノキ(檜)は英語では、

  • Hinoki cypress
  • Japanese cypress

と呼ばれます。

この cypress は日本のヒノキだけを指す言葉ではなく、一般に「イトスギ(糸杉)」の仲間を指します。

そしてこの cypress という語は、

ギリシャ神話の美少年 Kyparissos(キュパリッソス) にちなむとされます。

キュパリッソスは、狩猟の神であるアポロンをはじめ神々に大切にされていました。

ところが不運なことにキュパリッソスは、仲が良かった鹿を狩りの際に誤って殺してしまいます。

そのことを永遠に悲しみ続けるために、彼は神々に願います。

「自分の姿をヒノキに変えてください」

そして彼はヒノキになったと伝えられます。

当時のギリシャではヒノキが「死者を嘆くシンボル」として見られていました。

大切なものを失った悲しみそのものが「木」になって残ったという物語です。

ちなみに日本語では神様は「柱」で数えます。

人間が神社にまつられると「一柱」になるのは、

」と「死者へ敬意」になにか共通の意識が働いているのでしょうか。

Cyparissus - Wikipedia

🌼スイセンの英名 narcissus とギリシャ神話

スイセンは英語で Narcissus と言います。

これも、ギリシャ神話の Narcissus(ナルキッソス) に由来します。

ナルキッソスは美青年で『言い寄る相手をことごとく跳ねつけた』という話は有名です。

その結果、復讐の女神 Nemesis(ネメシス) によって、彼はある呪いをかけられます。

自分自身に恋をするように。

彼は水面に映った自分の姿から目を離せなくなり、

やがて水辺に咲くスイセンになってしまいます。

ここでも、植物への変化は単なる「罰」というよりは、

ナルキッソスの「人間としての心のありよう」がスイセンという形で残ったともいえます。

ちなみに現代英語では、

  • narcissism(自己愛・自己陶酔)
  • narcissist(自己愛傾向の強い人)

という言葉がここから生まれています。

ちなみに nemesis という語には、現代でも「宿敵・仇敵」という意味があります。

神話は昔話なのに、言葉としては今も生きている。

これが語源を学ぶときの面白さです。


☸️人と動物と植物がつながる世界

ここまで読むと、こう感じる人もいるかもしれません。

神話には何か歴史の事実や後世への教訓があるのだろうか?

それももちろん重要な視点ではあります。

しかし「人が植物になる」という発想は、

人間と自然の境界が、あいまいな世界』でないと生まれません。

もっと言うなら、

人権国家そして社会制度など近代社会の価値観に偏りすぎると、

もはや神話は「遠い昔の人たちの妄想」にしか見えないかもしれません。

  • 悲しみが木になる。
  • 自己へのまなざしが花になる。

これらは人間が自然の一部であるという前提でしか成立しないんです。


ギリシャ神話が日本的に見える理由

ここで、少し日本の話を思い出してみます。

日本の神話や民話でも、人が自然物になる話は珍しくありません。

山や川や森には人格や気配が宿る感覚もあります。

もともとインドで生まれた仏教思想も、日本で大きな変化を遂げます。

その一つが、

山川草木悉皆成仏(さんせんそうもく しっかい じょうぶつ)

という思想です。

これは『山や川や草や木もまた「仏としての性質」を宿しうる』という発想です。

つまり自然の中のあらゆるものと人間がつながっていることになります。

アイヌ語に残る「カムイ」もまさにこの世界観の上で存在しています。

もちろんこれらを宗教や言語として分析することもできます。

けれどここでは、もっと静かにこう捉えてみようと思います。

神話や物語の中にあるのは「その人たちが世界と向き合っているのか」ということ。

ギリシャ神話に出てくる「木になった青年」や「花になった青年」は、

その意味で、どこか日本の感覚にも似て見えるのです。


⭐Closing Thought

ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌

ギリシャ神話が日本的に見えるのは、物語が似ているからではないと思います。

🌍人と自然を切り分けない、世界の見方そのものが似ているからでしょう。

ヒノキやスイセンは、

その古い世界観が、言葉として今も静かに生きている証なのかもしれません。

そして、それを一番強く感じさせてくれるのは、古い神社仏閣にあるご神木かもしれません。

ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡

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