both, either, neither, whether の意味と使い方!古英語の両数 ”dual” で完全解説

照応曼荼羅英文法

みなさんは both, either, neither の使い方に悩んだことはありませんか?

よく見る和訳はこれです👇

  1. both ⇒「両方〜だ」
  2. either ⇒「どちらか一方〜だ」
  3. neither ⇒「どちらとも〜でない」

たしかにその通りなのですが…

😭和訳だけみても実際の使い方がよくわからへん!

と、いった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

そこで、ご紹介したいのが――「両数(dual number)」です!

🤔え?両数?そんなん聞いたことないけど!?

――と思われた方でも大丈夫です!

ではさっそく両数の正体を探っていきましょう🕵️‍♂️

2️⃣古英語には「両数」があった

現代英語では名詞の数は2種類に分かれます。

  1. 単数(singular)⇒ 1つ
  2. 複数(plural)⇒ 2つ以上

ですが、

英語は1000年以上の歴史の中で大きく変化してきました👇

そして千年ほど昔の「古英語(Old English)」では――

なんと単数複数のあいだに「両数(dual)」というものがあったんです!

  1. 単数(singular)⇒ 1つ
  2. 両数(dual)⇒ 2つ
  3. 複数(plural)⇒ 3つ以上

この両数複数の区別は、

人称代名詞(personal pronoun)にもありました。

2️⃣両数 dual3️⃣複数 Plural
wit(私たち2人)(私たち3人以上)
ġit(あなたたち2人)ġē(あなたたち3人以上)

このように――

古英語では「2つ」と「3つ以上」を分けた世界観を持っていたんです。

(🔗古英語の代名詞両数 “dual” について詳しくはこちらを参照ください👇)

Old English/Pronouns - Wikibooks, open books for an open world

この両数という区別があるのは、

ゲルマン語グループの特徴で、英語だけでなくドイツ語オランダ語などにも同じ構造があります。

ではここから、

古英語から受け継ぐ「両数(2つ)」という視点で見ると…

both(両方 YES)
⇒ 2つともエエで!

either(片方 YES)
⇒ 2つのうちどっちかだけやで!

neither(両方 NO)
⇒ 2つともダメやで!

そしてさらに

⚠️whether(2択の質問)
⇒ 2つあるうちのどっちなん?

――ということもできるんです。

さて、ここまでで次の疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう👇

🤔あれ?「どっち」って which ではなかったっけ?

はい、その通りなんです!

実は、この「選択の疑問詞」の使い方そのものが、古英語から変化しているんです😂

というわけで――

ここから whetherwhich を深掘りしていきましょう!

両数の whether と複数の which

まず「選択の疑問詞」について、日本語を確認してみましょう👇

  • どちら?(2つ)
  • どれ?(3つ以上)

これはなんと…

古英語の両数複数にぴったり当てはまっているんです👇

2️⃣どちら?2つ=両数
⇒ 昔の英語では whether(古英語 hwæþer“)

3️⃣どれ?3つ以上=複数
⇒ 昔の英語では which(古英語 “hwilc“)

つまり2つの「選択の疑問詞」に役割分担があったのです!

『😲うわ!日本語と全くおんなじやん!』

――と、いう話はさておきまして…

実際に、2択の疑問詞 whether は初期近代英語の聖書(King James Bible)でも使われています👇

Whether of them twain did the will of his father?

彼ら2人のうちのどちらが父の意志に従ったのか?』

twain ⇒「2=two」の古語表現)

Matthew 21:31, King James Bible

ちなみに、

two の古形である twain between の語源にもなっています。

🧬between(古英語 betwēonum に由来)
by(側に、近くに) + twain(2つ)

https://en.wiktionary.org/wiki/between

現代英語の between は「3つ以上の間」でも使いますが、もともと「2つの間」を意味する両数に関係する単語でした。


ですが、ここから――

現代英語の文法になると、両数と複数の区別が消えていくことになります。

そのため「選択の疑問詞」はすべて which が担当します。

実際にみてみると、

2️⃣Which of the two is correct?
⇒ その2つのうちどちらが正確?

3️⃣Which of the three is true?
⇒ その3つのうちどれが正確?

――といったように、日本語ネイティブにとって使いにくい方向へ変化しました😂

そのため which を見たら、

🤔何を選ぶの?』という選択のイメージを浮かべるようにしましょう!

(ちなみに関係代名詞 which でも「先行詞を選択してから、追加で意味をつなぐ」という選択のイメージを応用できます😊)

🌱4つの両数表現の語源と意味

ではここから「両数(dual)」という視点から4つの語の語源意味を見ていきます。

それでは――

  1. whether ⇒ 2つに分岐
  2. either ⇒ Yesを選ぶ
  3. neither ⇒ Noを選ぶ
  4. both ⇒ 2つをまとめる

という語源がわかりやすい順序ですすめましょう!

whether:世界を2つに分ける

意外かもしれませんが、両数で一番わかりやすいのは whether です。

その理由は語源を見るとわかります。

🧬whether(古英語 hwæþer に由来)
who(誰?) + ther(比較=どちら?)

https://en.wiktionary.org/wiki/whether

つまり『who の比較表現(=who の2者比較)』だったのです😂

そのため、

🤔whether(2人のうちどっち?)
2択(両数専用)の疑問詞へ派生!

――という成り立ちがあるんです。

これと同様に『one(1つ)other(片方)』の関係にも “-ther” の語源構造が残っています。


ところが前述のように、

現代英語では whether の「2択の疑問詞」の使い方がほぼ消えてしまいました。

その代わりに「2つの分岐」を意味する接続詞として使います👇

He wondered whether he should stay or go.
(彼は、留まるべきか、進むべきかどうか迷った。)

Whether or not you’re right, I believe you.
(君が正しかろうが、そうでなかろうが、いずれにしても俺は君を信じる。)

このように「whether2つに分岐」というイメージを覚えておいてください。

either/neither:yesか?noか?

もし、みなさんが「whether」という2択を迫られたとしましょう。

そこで取りうる反応は2つだけです。

  1. Yes(肯定)
  2. No(否定)

この Yes/No の応答 を担当するのが either / neither というわけです。

この理由を語源から見てみましょう👇

🧬either = aye + whether
⇒ 2択に対して “YES

(📌ayeyes の古い形で “Aye, aye, sir!(アイアイ、サー)” などが古い時代の映画などではよくあります)

https://en.wiktionary.org/wiki/either

そして、

🧬 neither = ne + whether
⇒ 2択に対して “NO

(📌ne は現代英語の not に近い用法で使われていました)

https://en.wiktionary.org/wiki/neither

つまり、

eitherneitherwhether(2択)に対し、それぞれはい /いいえで回答した派生語だったんです。

分かりやすくまとめると…

  • whether
    ⇒ 2つの選択肢がある(分岐)
  • either
    ⇒ その2つのどちらに進んでも YES(肯定)
  • neither
    ⇒ その2つのどちらにも進まず NO(否定)

ここからさらに、

文脈から生まれる同意へ応用してみます👇

  • 肯定の同意Me, too.
    (肯定の文脈を受けて「私も」)
  • 否定の同意Me, neither.
    (否定の文脈を受けて「私も」)

ここでの too は「追加」という意味で使います。

(🔗too の語源から意味を詳しく知りたい方はこちらをどうぞ👇)

また「否定の同意」についてはほかの表現もあります。

be動詞を使用する場合で見ると…

I am not, either.
⇒ 私は YES を選ばない(肯定しない)

Neither am I.
⇒ 私は NO を選ぶ(否定する)

――というどちらの言い方も可能になります!

🔍ちなみに “Neither am I.” の否定語の倒置はV2語順という仕組みが関係しています。

(🔗英語の倒置を引き起こすV2語順の解説はこちらをどうぞ👇)


both:分かれた2つをまとめる

最後に登場するのが both です。

🧬both(古英語 bā þā に由来
both the / both those(2つのその、それらの)

https://en.wiktionary.org/wiki/both

つまり、もともと2つの語だったんです👇

『📌(両数)þā(指示詞 that/those などの仲間)

そうなると、

  • whether が「2つの分岐」を生み、
  • either / neither がその分岐に「それぞれの回答」を示し、
  • both は分かれた2つをひとつにまとめる

という流れになります。


ではここで both の使い方の注意点を見ていきます。

You can take both.
(あなたは 可能性として とる 両方を
両方ともとってOK

☑️You can take either.
(あなたは 可能性として とる いずれかを
どちらかひとつをとってOK

そしてさらに

⚠️both と either が明確に区別されない場合もあります。

both sides
⇒ 均等なイメージで「両側」

☑️either side
⇒ それぞれに注意を向けて「両側」

このような場合もあるので注意してくださいね!

🗺️両数を意識すると英語がわかる

現代英語ではひとまとめの「複数」から、あえて「2つだけの世界(両数)」を取り出してみましょう。

すると、次のように語が自然に2層へ分かれます👇

 機能両数(2だけ)複数(3以上)
全体bothall
選択eitherany
否定neithernone
疑問whetherwhich

(📌前述のように whether は現代英語では which に置き換わりました)

実際には both / either / neither複数のグループに入ります。

しかし英語では「2つ」を特別扱いする構造が残っているんです。

ではあえて両数を分けてみましょう。

  • all(全体)
    両数なら both
  • any(選択)
    両数なら either
  • none(否定)
    両数なら neither

ではここから、

複数の1人称代名詞 “us(私たち)”を使って考えていきます。

複数の名詞が「両数」とつながると “2人” になります👇

  • both of us
    私たち2人のどちらも
  • either of us
    私たち2人のうちのいずれか
  • neither of us
    私たち2人のうちのいずれでもない

すべて明確に「2の世界(dual)」に閉じています。


そして「複数」の表現では「2も含むが3以上が中心」となります👇

  • all of us
    ⇒ 私たちのうちみんな(全数)
  • any of us
    ⇒ 私たちのうちいずれか(複数から選択)
  • none of us
    ⇒ 私たちのうちだれもない(複数に対し無、ゼロ)

このような表現は2人も可能ですが、構造的には「3以上のまとまり」が見えてきます。

こうなっている理由は、

✅古英語では両数複数という区別があった。
✅現代英語の文法から両数が消えても、単語にはその影響が残っている。

という歴史があるからなんです。

両数表現の品詞のホントの話

さて、語源から見えてきた「両数」を、今度は実際の文で使うために「品詞」の視点から眺めてみましょう。

辞書でこれら4単語の品詞を調べてみると…

  • 代名詞
  • 限定詞(定冠詞 the などと近い用法)
  • 副詞
  • 接続詞

――などなど、バラバラに見えるものが続きます😂

でもご心配なく!

もともとこれら両数表現は、古英語では「名詞(代名詞)」を軸にしています。

そこから、

  • both A and B
  • either A or B
  • neither A nor B
  • whether A or B

といった2つのものをつなぐ「接続詞」のような使い方まで派生していきます。

ですが実際問題として、

そこまで品詞はきっちり区別できないので…

✅both, either, neither, whether の「品詞」はゆるく考えてOKです!

でも、ほんとうにそれでいいのでしょうか?

こんな疑問を感じても…

『😭日本語の情報で英語の本質を学ぶには限界があるかも?』と悩んだりしていませんか?

そんな時は――🤖ChatGPT(生成AI )に聞いてみよう!

というわけで…

🤖AIに聞きたいプロンプトの一例:

both, either, neither, whether などの両数の表現には、代名詞、副詞、接続詞などいろいろな品詞が割り振られていますが、古英語の時代では品詞は固定化されておらず「2つのものをつなげる言葉」としての意味のほうを重視して使用されており、それが現代英語にも引き継がれていると考えればよいですか?

――という聞き方なら、おそらくいい回答が引き出せるかと思います。

(私は GPT, Gemini, Perplexity では確認済みです😉)

結局のところ、

✅両数の表現は『2』の世界を生み出す。

と、シンプルに考えると英語の真の姿が見え始めます。

たとえ品詞の境界はゆるくても、この「両数の世界」を押さえていれば、英語の構造は迷いなく読めるようになります。

⭐Closing Thought

ここまでお読み下さった皆さん、ありがとうございました😌

古英語から受け継ぐ「両数」と「複数」の区別がわかると、英語を見る視点が大きく変わると思います。

それに英語の両数は、

  • 両方
  • どちら?
  • どっち?

という日本語の自然な感覚と似ていますよね?

実は、ほかにも古英語日本語ってよく似ているものはたくさんあるんです😆

一方でロマンス語グループは「2」を特別扱いしません。

では、フランス語はどうするのか?というと…

👸両数(dual)がなければ(deux)を使えばいいじゃない?

という実に「🍰フランスらしい発想」で解決します🤪

たとえば、

2️⃣both(両方)
tous les deux(≒ all the two

この大胆さ!なにやら革命的な響きすら感じてしまいます。

ではまた、別の記事でお会いしましょう🫡

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