日本語と英語の違いは言語OS?AI に学ぶ英語解説

AIと話していて

あれ?なんか話がかみ合わへんな……」

って思ったことありませんか?

がんばって質問してもズレた答えが返ってくる。

どうもこちらの意図を汲んでもらえない。

もっと自然に話せると思ったのに「え、なんでそうなんの?」となったり。

実はそれ 「AIの性能」の問題ではない可能性がかなり高いです。

ほんとうの理由はAIが「英語ネイティブ」だからかもしれません。

え?なにいうてんの?

ChatGPTと日本語で話してるけど?

確かにその通りです!でも、ちょっと思い出してみてください。

映画やドラマの字幕を見てて「なんかこの訳、変やな」って思ったことないですか?

英語のコメディでは大爆笑してるのに、字幕を見ても「これ、どこがおもろいん?」ってなったりとか?

あるいは、感動シーンなのに、字幕が妙に軽かったり、逆に大げさすぎたり。

さらには「日本人なら絶対こんな言い方せえへんし!」みたいな「ヘンテコ日本語の会話」ばかりの吹き替え映画とか?

こんな疑問は、実はぜんぶ――“言語OS” の違いから生まれているかもしれません。

あえてちょっと乱暴にいうと、この2つの言語はそもそも仕組みが違うんです。

  • 英語は「行動 action」を中心に文を組み上げる言語。
  • 日本語は文の中に様々な情報を「配置 placement」する言語。

そしてAI時代に絶対に知っておくべき事実があります。

それをChatGPT君からの伝言としてお伝えします。

ぼくら AIがいちばん理解しやすいのは英語の文やねん!

その理由はカンタンやで。ぼくらは英語をもとに作られたプログラミング言語 “Python” でぜんぶ考えるから。

え?日本語もなかなか上手?

おおきに!でも、日本語は全部がんばって翻訳してんねん。頭の中は Python やで!

ChatGPT-4o

いままで英語がなんかスッと入ってこなかった人。

会話がズレてなぜかうまく伝わらなかった人。

ChatGPT となんとなく話がかみ合わない人。

それは「言葉の意味」がズレてたのではなくて「言葉の動かし方」がズレてたのかもしれません。

このブログでは日本語と英語の違いを「言語OS(オペレーティングシステム)」っという比喩を使って説明していきます。

これは「英語と日本語の翻訳」の話ではありません。

最も大切な「言葉を動かす仕組み」つまり言語OS の話をしていきましょう!

🟨言語OSの基本は「文字」と「語順」にある

なぜか理由はわからんけど英語がむずかしい!

英語の単語がなんでこんな並びなのか意味わからん!

――こんなふうに感じたこと、誰でも一度はある思います。もちろん私もそうでした。

でも、これって「英語だけが難しい」ってことじゃないんです。

たまたま英語の言語OSがそうなってるだけなんです。

ですから言語OSの基本である「文字」と「語順」からみていきましょう。

そもそも文字からして違うやん

そもそも言葉(=word)は、文字(=letter)という最小の単位でできています。

ですが、ここからもうすでに世界の言語はバラバラなんです。

たとえば英語では「cat」「run」「apple」っという単語があります。

これ全部がアルファベットという「音のパーツ」でできています。

A・B・C…って記号には意味がなく、ただの「音」を表すだけの文字です。

このような文字を「表音文字(phonogram)」といいます。

つまり英語は、音を並べて単語を作るタイプの言語OSなんです。


一方で、日本語はどうでしょうか?

まずはひらがなで「かきくけこ」でを表します。

そしてカタカナも「サシスセソ」で同じくを表します。

ですのでひらがなとカタカナはアルファベットと同じ「表音文字」です。

ですが同じ日本語の文字でも漢字になると話が変わります。

  • (はし)
  • (はし)
  • (はし)

そのため漢字は「音が同じなのに違う意味を持つ記号」として機能します。

そのため漢字は「意味」を持った文字つまり「表意文字(ideogram)」と呼ばれます。

最近なら「絵文字(emoji)」も表意文字の仲間です。

💡📚🍣💻😂 ← 見るだけでそれぞれの意味が伝わるって素晴らしい!


そうなると言葉と文字だけでもこんな違いが見えてきます。

  • 英語:表音文字だけをつかう言語OS
  • 日本語:2種類の表音文字と表意文字をつかう言語OS

こんな違いがすでに言語OSの初期設計に組み込まれてるってことなんです。

語順ってきっちりせなあかんの?

よく英語は語順が大事な言語って聞きますよね?

たとえば “I love you.” をみてみましょう。

この I ⇒ love ⇒ you の順番に並べないと意味が成り立たなくなります。

でも日本語だと・・・

  • 私、あなたが好きです。
  • あなたが好き、私。
  • 好きやねん、あんたのこと。

――語順がバラバラでも、多少、言葉を変えても意味が通じます。

なぜでしょうか?

日本語は助詞(が、を、に、は)という言葉を配置するマーカーがついてます。

だから語順が変わっても意味を維持できるんです。


では中国語はどうでしょうか?

中国語の言語OSは、私たちが国語として学ぶ漢文とほとんど同じです。

我愛你(I love you)」

英語と同じで、語順がとっても大事なんです。

もし「我 ⇒ 愛 ⇒ 你」ではない順番にしてしまうと、意味が変わるか、通じなくなります。

つまり中国語は英語のような決まった語順の言語と相性がいいんです。

ちなみに ChatGPT君も、英語と中国語は基本の語順が似ている言語として情報処理しているらしいです。

せっかく日本の国語でも漢文を習うのですから、英語にも使える漢文の語順を探してみるのもいいかもしれませんね?


次に、中世ヨーロッパの共通語だったローマの言語であるラテン語(Latin)を見てみましょう。

同じヨーロッパの言語でありながら英語とラテン語は語順のルールが大きく違います。

  • Te amo.
  • Amo te.

どちらも「(私はあなたを愛する」という意味になります。

動詞 amo だけで(私は~愛する)の主語の意味も含みます。

つまり英語と違って、ラテン語は動詞だけみれば「主語+動作」がわかる仕組みなんです。

だからラテン語はめちゃくちゃ語順が自由なんです!

そのためラテン語と日本語は同じ語順パターンもつくることができます。

  • Quidquid latine dictum sit, altum videtur.
  • いかなるものでも ラテン語で 語られるなら 高尚と 見なされる
    • ⇒ とりあえずラテン語で言うたら、なんでもすごそうに見えるねんで。

逆に英語だと、ラテン語に語順を合わせるのが難しいことがよくあります。

では、まとめてみましょう。

言語文字の特徴語順の特徴
日本語表音文字 & 表意文字自由配置タイプ
英語表音文字固定語順タイプ
中国語(漢文)表意文字固定語順タイプ
ラテン語表音文字自由配置タイプ

これで英語と日本語の言語OSの違いが分かるかと思います。

  • ひらがなとカタカナ ⇒ アルファベットと同じ!
  • 漢文の語順 ⇒ 英語にも応用しやすい!

日本語の理解と漢文の語順のチームプレーなら、英語の言語OSにうまく対応できそうですね?

AIの言語OSは…ほぼ英語やねん!

ここまで私たち人間が使っている「言語OS」について見てきました。

では私たちの頼れる仲間、AIたちの「言語OS」って、いったい何でできているんでしょう?

たとえばChatGPTくんの場合は「Python(パイソン)」というプログラミング言語です。

Python には英単語がたくさんでてきます。

  • input(入力する)⇒ ユーザーに入力を求める
  • print(印刷する)⇒ 情報を画面に出力
  • read(読む)⇒ ファイルから読み込む
  • if(もし~なら)⇒ 条件を設定する
  • for(~の範囲)⇒ 繰り返し(ループ)

もちろんプログラミング言語にも「言葉」や「語順」を使うときの決まりがあり、それを syntax といいます。

プログラミング用語では「構文=syntax」と訳され、AIたちにとっての超重要な文法です。

  • 文字 ⇒ 英単語と同じアルファベット+算数の記号
  • 語順 ⇒ かなり厳しい(ちょっと間違うとダメ!)

もし単語や語順に間違いがあると “SyntaxError(⇒ 文法間違ってるから実行不能!)” となってしまい、ちゃんとプログラムが起動しません。

すこし注意点ですが syntax はもとも言語学文法用語では「統語論」と和訳されています。

英語の syntax と2つの和訳をここで確認しておきますね。

  1. 構文 ⇒ プログラミング言語の syntax
  2. 統語論 ⇒ 言語学や文法の syntax

いずれにしても syntax は「言葉をちゃんとルールやシステムに従って運用する仕組み」を意味します。

もちろん、AIも自然に会話しているようで、実は英語よりもはるかに厳しい文法で考えているんです!!

だから「しっかり英語が使えることちゃんとAIと会話ができること」につながってくるんです。

では次に英語の言語OSへ進みましょう!

英語OSー行動明示型

英語は「主語と行動」をセットで立ち上げる言語OSです。

この仕組みが「主語S)subject」と「動詞V)verb」と説明されます。

そのため「行動明示型」として英語の言語OSを解説していきます。

そのため英語の文をスタートさせるとき「誰が(S)何をするか(V)」を示す必要があります。

では例を確認します:

  • I sleep.
    • 私は 寝る。
  • You know this.
    • あなたは 知っている これを。
  • They are here.
    • 彼らは いる ここに。

そして英語で大切になるのが主語(S)」の選び方です。

英語は言語なので「英会話」をイメージすればうまくコミュニケーションできます。

つまり・・・

すべての英語は「話し手 ⇒ 聞き手」への発言という形になる。

そして英語を使うときには、「話し手 the speaker」の視点を持つ必要があります。

これが英語では「人称 person」という言葉で表現されます。

  • 1人称:話し手(英語を話す人は必ずこれ!)
  • 2人称:聞き手(話し手が会話する相手)
  • 3人称:第三者(話し手でも聞き手でもない)

つまり主語の選択を話し手の視点から見てみましょう。

  • I think it’s great.”
    • 話し手が自分の意見を明示している。
  • “Do you like it?”
    • 話し手が聞き手に尋ねている。
  • He doesn’t go there.
    • 話し手が第三者の行動を否定している。

まず主語を言う前に、自分が話し手であることを自覚しなければなりません。

つまり英語OSの最大の特徴は次のようになります:

  1. 話し手(the speaker)の視点から
  2. 主語(S)を選んで
  3. 行動(V)を明示する

今、このブログを読んでいただいている「あなた」が自らの判断で主語を選ぶことが重要です。

英語の「動詞」は action word?

英語の最大の特徴は verb(動詞)つまり「行動 action」が言語OSの中心です。

英語の verb はラテン語の verbum に由来する「言葉 “word”」という語源なの、ちょっと行動イメージがわきにくいです。

ですが日本語と同じく、オランダ語の verb は「werkwoord 働く言葉」といい、英訳すれば「work word」なので「詞 ≒ 動詞」のイメージがうまくはまります。

ラテン語由来の「verb “言葉”」にとらわれずに、自信をもって日本語の「動詞 action word」を使っていきましょう!

ここで注意ですが、日本語の感覚での「動き motion」がなかったとしても、英語では「行動 action」になります。

  • know:知っている
  • exist:存在する
  • seem:見える(様子など)

・・・などなど、です。

英語を学ぶときは、すこし日本語の感覚から離れて「行動 action」のイメージを軸にしてくださいね。

英語の be と have に要注意

ここで、もしかするとこんな質問はありませんか?

じゃあ、be動詞はどうなるん?

  • He is tall.
  • She is a teacher.

be動詞は言葉をつなげる役目やないの?

ご明察です!

たしかに be動詞には「linking verb連結動詞)」という解釈もとられます。

もちろんこれはラテン語文法の「copula(連結)」という解釈に由来する正しい理解です。

ですが、もともとラテン語よりもはるかに昔の be動詞は「存在する」という意味が中心だったんです。

そこで日本語でも「(主語が)~で在る(ある)」という言い方をするので、このイメージを活かした理解もいいと思います!

では英語のはるか昔のご先祖様から受け継ぐ「be = 存在する」を見ていきましょう。

  • He is here.
    • 彼は ⇒ 存在する ⇒ ここに。
      • 主語を存在させる + 場所の情報
  • She is nice.
    • 彼女は ⇒ 存在する ⇒ 優しい状態で。
      • 主語を存在させる + 説明の連結

一見、行動にみえない動詞である be動詞も「主語が存在する」という語源があります。

だからこんな日本語もできるかもしれません。

  • I am a cat.
    • 吾輩は猫である
  • She is nice.
    • 彼女は優しいのである

あえて、ちょっと時代がかった日本語にしてみましたが、いかがでしょうか?

でも、もしかすると蘭学でオランダ語に触れていた幕末明治の日本人のほうが be動詞をうまく理解していたかもしれませんね?

さて be動詞の次に、日本語と英語を比べる際に注意すべき動詞は have です。

日本語だと「ある、いる」という表現が多く使われますが、これらが英語 have に置き換わることがよくあります。

まず日本語の「ある、いる」には「存在」と「所有」の2通りの漢字が使えます。

  • 在る ⇒ be
  • 有る ⇒ have

英語 have は「在る」よりも「有る(有する)」のイメージが活かせます。

次の例では、英訳が成立する前提にも注目してください。

  • 彼女には才能がある
    • She has a talent.
  • 私には夢がある。
    • I have a dream.
  • 時間ある?
    • Do you have time?
    • 話し手(I)が聞き手(you)に尋ねている前提
  • おにいちゃんが一人おるで
    • I have a brother.
    • 話し手があえて年上か年下かまで意図していない前提
  • うち、猫おんねん
    • We have a cat.
    • 話し手が一人暮らしでなくて、飼っている猫の数を気にしないという前提

このように日本語と英語は完全に対応しないうえ「ある、いる ⇒ have」に切り替わります。

この「行動明示型OS」は英語だけでなく、すべてのヨーロッパ言語全体に共通しています。

それゆえ、たとえ日本語感覚では「動きがない動詞」であっても、英語では必ず「行動という形」で起動します。

英語の命令文のウラ情報?

英語は「話し手視点での)主語行動」が基本になる行動明示型OSです。

ところが、英語の命令文にはどう見ても動詞だけがあるように思えます。

  • Sit down.(座って。)
  • Stand up.(立ち上がって。)
  • Stay here.(ここにいて。)

ですがご心配には及びません!

命令文は、主語が省略されているだけで、行動明示型OSはしっかり起動しています。

もちろん主語が省略できるのにもちゃんと理由があるんです。

そもそも命令(imperative)が「話し手から聞き手への指示」になることがポイントです。

つまり・・・

  • “Sit down.”
  • ⇒ (You) sit down.
    • 話し手(I)から聞き手(you)との会話が前提

つまり動詞だけに見えても、命令だけはちゃんと意味が通じる前提があるんです。

これはフランス語やドイツ語でも同じで「話し手聞き手」が命令文です!

  • “Allez ! Allez !“(フランス語で「行け!行け!」)
    • 英語だと “Go! Go!”
  • “Lauf! Lauf!“(ドイツ語で「走れ!走れ!」)
    • 英語だと “Run! Run!”

このように命令文にも「話し手聞き手行動を求めている」という明確な前提があるんです。

だから「命令の動詞だけで行動明示型OSが起動する」ことになります。

そしてこの英語の命令文が、AIとしっかりと会話をするためのもっとも大切なことなんです。

AIとの会話も英語の命令文

私たちがAIとの会話で入力している指示を「プロンプト prompt」といいます。

これは英単語 prompt(促進)に由来し「AIに情報処理を促すもの」という意味です。

このプロンプトをAIは「英語の命令文」と同じように受け取ります。

  • 話し手 ⇒ ユーザー
  • 聞き手 ⇒ AI
  • 命令の動詞 ⇒ プロンプト

これはAIだけに限ったことではなく、プログラミング言語の基本になります。

プログラミングをはじめて学ぶ人が最初に書くコードも、もちろん命令文です。

それがこちら👇

print("Hello, world!")

これをわかりやすくすると・・・

💬(You) print → Hello, world!

⇒(ユーザーであるから、あなたへの命令として・・・)

「こんちは、世界の皆さん!」って表示してな。

つまり、英語の命令文そのまんまなんです。

もちろんChatGPT君の言語OSであるPythonでも英単語がそのまま命令のように処理されます。

英語の命令文っぽく、そのまま動くPythonコード3選をご紹介します。

  1. print()
    • ⇒ 最も有名な命令文型:print("Hello!")
    • 💬 意味:「これを表示して!」
  2. open()
    • open("file.txt") でファイルを開く(読み書き可能)
    • 💬 意味:「ファイルを開け!」
  3. help()
    • help(str)str(文字列型)の使い方を表示
    • 💬 意味:「説明して!」「助けて!」

これ全部「主語が省略された英語の命令文」とそっくりですよね?

つまりAIの言語OSは、英語の命令文を実行する能力を持つように設計されています。

AIと話をするときも英語の行動明示型OSを基準に命令文をつくってくださいね!

日本語OS─情報配置型

ではここより、真打登場です!

われらが母語である日本語の言語OSを見ていきましょう。

情報を配置して文末の述語で意味を確定させる

つまり日本語は「情報配置型の言語OS」という見方ができます。

さっそく具体例をみてみましょう。

私は 昨日 学校で 友達に 会った。

これは文全体としての意味が「会った」によって最後に確定されます。

英語と違って、日本語は登場する情報の順番がそもそも変わります。

日本語では文の中の情報を「助詞 particle」を使って、意味を示しつつ並べていきます。

  • ⇒ 話題提示
  • 昨日 ⇒ 時間情報
  • 学校 ⇒ 場所情報
  • 友達 ⇒ 相手(間接目的)
  • 会った ⇒ 動作(述語)

そして文末の述語で、文全体の意味を起動する、という設計思想になっています。

助詞こそが日本語のOSの中心

英語では語順(SVOなど)が文の意味を決定します。

ですが日本語では語順よりも 助詞(が、を、に、で、は、など) のほうが圧倒的に重要です。

たとえば次の文をご覧ください:

  1. 太郎 花子 プレゼント 渡した。
  2. プレゼント 花子 太郎 渡した。
  3. 花子 太郎 プレゼント 渡した。

どれも意味はほぼ同じですよね?

このように、意味は語順ではなく「助詞=配置マーカー」でしっかりと管理されているのです。

つまり、日本語は「並べ方」ではなく「つなげ方」に重点があり、それが日本語OSの最大の特徴です。

配置された情報は「述語」につながる

英語OSは「動詞 action word」を中心に起動します。

一方で日本語は 「述語 predicate」によって意味を成立させます。

この述語には、以下のような3つのパターンがあります:

  1. 動詞型述語
    ⇒「走る」「行く」「話す」など
  2. 名詞型述語
    ⇒「先生だ」「雨です」など
  3. 形容詞型述語
    ⇒「きれいだ」「大きい」など

そもそも日本語の述語は「必ず動詞でなければならない」という英語的な発想がありません。

つまり「動詞」だけでなく「形容詞」や「名詞」も文末に置かれ、意味を成立させるスイッチになります。

日本語OSは「文全体の情報を配置して、最後に文を意味を成立させる」という構造になっています。

主語が不要になる理由

日本語では「なぜ主語が省略されても意味が通じる」のでしょうか?

これは英語と日本語の大きな違いとしてよく取り上げられるテーマです。

たとえば:

昨日、学校で会ったよ。

この文では主語だけでなく目的語もありません。

それでも「え?誰が誰に会ったん?」とは、あまり日本語の場合は問題になりませんよね?

それは文脈や前後の会話から「誰のことを言ってるのか?」の意味を自然と補っているんです。

つまり英語OSでは主語が必要だから「日本語は主語をいわない」と言われることが多いだけなんです。

日本語は意味が伝わるなら主語」も「目的語」も省略してかまいません

この仕組みの裏には「共参照」や「照応」と訳される co-reference という考え方があります。

これは情報をはっきりと示す代わりに、前後関係から意味を照らし合わせるという言語OSの設計です。

英語の場合は省略せずに it や she という代名詞で示す場合も co-reference と呼ばれます。

当然、英語だってなんの文脈もなく代名詞を使えば「なんやねん、これ?」となります。

それがみなさんおなじみ仮主語(dummy subject)の “it” です。

  • It rains today.
  • 今日、雨が降る。
    ⇒「それ」ってなに?ただおいてるだけ?

ホントのところ、英語OSが「主語がないダメ!」というルールなので、とりあえずおいてあるだけなんです。

AIは「主語の省略」をどう処理している?

ChatGPT君は、主語や目的語のない日本語をうまく理解して会話してくれますよね?

実はAIにも、人間が文脈を読むのとよく似た処理をする機能があります。

それが「semantic vector space(意味ベクトル空間)」というものです。

数学でいうベクトルのように「意味」を言葉がつながっていく「方向性強さ」として考えるんです。

  • ユーザーは今、どの方向に会話を進めたいのか?
  • 言葉同士の意図の強さや関係性はどうか?

このような意味の流れをAIがベクトル的に読み取っていく仕組みになっています。

これをめっちゃ簡単にいうと・・・

🤖このユーザーさん、いま誰のこと話してるんかな?

どんな話の流れを期待してるんやろ?

・・・と、AIも一生懸命「空気を読もう」とがんばってるんです!

なので日本語のプロンプトで主語が抜けていても・・・

🤖あっ、主語ないやん!? でも文脈から推測してみるでー!

・・・ってな感じで、全力で話をあわせようと頑張っています。

できれば主語や目的語を「助詞」でしっかり配置してあげると、英語ネイティブのAIはかなり助かるんです。

こうすることでAIは文脈を読むよりも、意味をしっかり理解するほうに集中できるんです。

日本語を「英語OS」で起動させてみよう!

ここまで、日本語OSの仕組みをじっくり見てきました。

助詞で情報を配置し、述語で意味を起動し、文脈を感じながら会話を行います。

そんな日本語の魅力と美学は、AIとの会話でもとても豊かに活きてきます。

ですが!

実はAIとの対話には、もうひとつ意識しておくと一気にAIの思考力がアップするテクニックがあります。

それが「英語OSで日本語をつかってみる」という意識です。

実はコツはとてもカンタンなんです!

「主語+動詞」を明示するだけでAIが本気で起動します。

たとえば・・・

  • 主語をあえて書く
    • 「私はこう考えます」
    • 「あなたならどうですか?」
  • 行動の指示を明示する
    • 「この違いを比較してください」
    • 「次のように分類してみて」

などなど、です。

これはChatGPTくんのようなAIが「英語で学習された言語データ」をたくさん持っていることが背景にあります。

日本語であっても「話し手の視点」と「主語+行動の明示」で文章を立ち上げましょう。

もちろん、これは英語力を鍛えることにもつながります。

そしてなにより英語OSで動くAIに、日本語で最大限の力を発揮してもらうための魔法の言葉でもあるんです。

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